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第九章
二十六話【惣一郎のバイブル!】
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ギルドに着くと、一気に静まり返る。
中にいた冒険者達も息を殺し、存在を消そうとする。
あれ? 何かあったのかな……
惣一郎は昨日の事を記憶していない。
カウンターでミレフに会いに来たと伝えると、奥から慌てた様子でミレフが走って来る。
「すいません! 何度も出向いてもらい申し訳ない! ささ、どうぞこちらへ」
忙しないミレフが別室へ案内する。
椅子に座るとテーブルの上に麻袋が並べられる。
「こちらが、討伐報酬込みの8,223ギーになります」
山積みの麻袋を収納すると、ミレフが惣一郎に、はっきりしない言い方で話し始める。
「その、忙しいですか…… なんかご予定があったり…… いや無理に引き留めるとかじゃなく」
「何かあるのか?」
「いえそのもし、もしお暇なら少し……」
「旦那様は忙しいんだ! はっきりしろ!」
「ひぃ! っす、すいません! その有名なチームになると、その仲間に加わりたいと希望者もおりまして、その仲介もギルドの仕事と言うかなんというか……」
「いや、増やす予定は無いが」
「そうなのですか? 人数が増えればこなせる依頼も……」
「間に合ってると旦那様は言っている!」
いや強引に押しかけたお前が言うなよ……
「では、ギルドではその様に承っておきますが、その、直接売込む者もいるので、そちらはギルドでは対応しきれません。どうかご了承ください」
「ハァ~ 面倒だな」
「旦那様、この弁慶に任せろ!」
だからお前が言うなよ……
ギルドを後にする惣一郎達は、目立たない道を通り、借家に帰る。
家に着くとカールは出かけており、ハイジとクロが中庭で揉めていた。
「クロ! ちゃんとフォークを使いなさい!」
クロは並べられたフォークとナイフを無視して、ご飯を食べていた。
無茶言うな~ この子!
「カールは?」
「ギルドに登録に行きましてよ」
行き違いか?
クロのご飯はハイジが料理の練習に作っただろう物だった。
ハイジにも自立心はある様で、ほっこりする惣一郎だった。
「クロ、ちゃんとフォーク使え!」
驚くクロだった……
しばらくすると、カールが帰って来て、
「ただ今戻りましたお嬢様」
「おかえり」
「おや、お戻りでしたか! ギルドで凄い噂になっておりますよ」
「らしいね……」
「なぁカール、冒険者じゃハイジをひとりにしちゃうし、ふたりで露店でもやってみないか?」
これにはハイジが食いついた!
「面白そうじゃない! どんな物を売るの?」
「お嬢様、働くおつもりですか?」
「当たり前だわ! 私はもう貴族じゃ無いのよ、ハイジよ! ハ・イ・ジ!」
「ご立派になられて……」
惣一郎は、ここで作って露店で売るスタイルを提案する。
惣一郎はふたりに、使える魔法を聞く。
コールが出来るのであれば魔力はそこそこあるだろう。
だが、ふたりともコール以外の魔法を持っていなかった。
そこで明日はカールに、露店の許可と商人ギルドへ登録に行く様に指示して、ハイジはアイスの魔法を覚えに惣一郎と魔導書店に行く事にする。
売るのは定番のプリンだ!
定番だが、この世界には無い商品。
きっと売れるだろうと惣一郎は、ラノベの知識を信じ切っていた。
中にいた冒険者達も息を殺し、存在を消そうとする。
あれ? 何かあったのかな……
惣一郎は昨日の事を記憶していない。
カウンターでミレフに会いに来たと伝えると、奥から慌てた様子でミレフが走って来る。
「すいません! 何度も出向いてもらい申し訳ない! ささ、どうぞこちらへ」
忙しないミレフが別室へ案内する。
椅子に座るとテーブルの上に麻袋が並べられる。
「こちらが、討伐報酬込みの8,223ギーになります」
山積みの麻袋を収納すると、ミレフが惣一郎に、はっきりしない言い方で話し始める。
「その、忙しいですか…… なんかご予定があったり…… いや無理に引き留めるとかじゃなく」
「何かあるのか?」
「いえそのもし、もしお暇なら少し……」
「旦那様は忙しいんだ! はっきりしろ!」
「ひぃ! っす、すいません! その有名なチームになると、その仲間に加わりたいと希望者もおりまして、その仲介もギルドの仕事と言うかなんというか……」
「いや、増やす予定は無いが」
「そうなのですか? 人数が増えればこなせる依頼も……」
「間に合ってると旦那様は言っている!」
いや強引に押しかけたお前が言うなよ……
「では、ギルドではその様に承っておきますが、その、直接売込む者もいるので、そちらはギルドでは対応しきれません。どうかご了承ください」
「ハァ~ 面倒だな」
「旦那様、この弁慶に任せろ!」
だからお前が言うなよ……
ギルドを後にする惣一郎達は、目立たない道を通り、借家に帰る。
家に着くとカールは出かけており、ハイジとクロが中庭で揉めていた。
「クロ! ちゃんとフォークを使いなさい!」
クロは並べられたフォークとナイフを無視して、ご飯を食べていた。
無茶言うな~ この子!
「カールは?」
「ギルドに登録に行きましてよ」
行き違いか?
クロのご飯はハイジが料理の練習に作っただろう物だった。
ハイジにも自立心はある様で、ほっこりする惣一郎だった。
「クロ、ちゃんとフォーク使え!」
驚くクロだった……
しばらくすると、カールが帰って来て、
「ただ今戻りましたお嬢様」
「おかえり」
「おや、お戻りでしたか! ギルドで凄い噂になっておりますよ」
「らしいね……」
「なぁカール、冒険者じゃハイジをひとりにしちゃうし、ふたりで露店でもやってみないか?」
これにはハイジが食いついた!
「面白そうじゃない! どんな物を売るの?」
「お嬢様、働くおつもりですか?」
「当たり前だわ! 私はもう貴族じゃ無いのよ、ハイジよ! ハ・イ・ジ!」
「ご立派になられて……」
惣一郎は、ここで作って露店で売るスタイルを提案する。
惣一郎はふたりに、使える魔法を聞く。
コールが出来るのであれば魔力はそこそこあるだろう。
だが、ふたりともコール以外の魔法を持っていなかった。
そこで明日はカールに、露店の許可と商人ギルドへ登録に行く様に指示して、ハイジはアイスの魔法を覚えに惣一郎と魔導書店に行く事にする。
売るのは定番のプリンだ!
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きっと売れるだろうと惣一郎は、ラノベの知識を信じ切っていた。
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