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第九章
二十五話【ぶらり散歩】
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翌朝、惣一郎は弁慶の胸の中で目を覚ます。
「プッハ! 死ぬわ!」
この世界に似つかわしくないゴージャスな下着に身を包むふたりが起きる。
「おはよう旦那様♡」
「ご主人様お腹すいた♡」
起きて第一声がそれか!
朝食の準備を始めるとすぐに、ハイジが入って来る。
「おはよう、あら朝食はまだかしら?」
惣一郎は寝過ぎた様だった。
惣一郎はトーストをフライパンで焼く。
バターをたっぷり塗り、焼いて両面押さえながら焼く。
これはこれで結構美味い!
知っているトーストとは違うが、バターが隅々まで溶け込んでサクサクとしている。
だが普通のトーストも食べたくなる。
惣一郎はこの世界に電化製品を持ち込むのにずっと抵抗を持っていた。
ソーラーパネルや充電器などネットで買えるのだが、便利過ぎると歯止めが効かなくなる。
惣一郎はこの世界の不便を楽しみたいのだった。
それ以外は十分持ち込んでいる、惣一郎の妙なこだわりでもあった。
食後カールに仕事について聞いてみる。
「取り敢えずは冒険者として登録し直し、簡単な依頼をこなして行こうかと」
なんのツテもないふたりがするには妥当だろう。
ただそれだとハイジを養うだけで、成長はしないだろう。
9歳だがしっかりしているハイジは、もっと何か責任を持たせる方が合ってる気がする。
何かいい商売でも……
以前読んだラノベでは、プリンや卵焼きで商売していたな……
街で食材など見ながら考えるかと、惣一郎は出かける準備をする。
クロは興味なさそうなので、留守番する事に。
ベンゾウと弁慶の3人で街に行く。
この街には魔導書店が数件あり、その内の一件を覗く事にする。
「いらっしゃい、何かお探しで?」
カウンターの中年の男性が話しかける。
この店は店内に色々な魔導具も並んでおり、奥のカウンターの裏には本が並んでいた。
「おお~ ポイなポイ!」
惣一郎以外には理解しずらい言葉だろう。
魔導具を一つ一つ、もの珍しく見て回る惣一郎は、所々で店員に説明を求める。
マジックバッグ類は勿論、マジックボックスと言う箱まであった。
大型の箱で量も相当入りそうだ。
最近よく見る、通信用の魔道具も携帯電話の様に並んでいる。
火種が要らないランプや、送風機、ホットプレートの様な物まであり、心躍る惣一郎だった。
だが珍しいだけで、欲しいものは無かった。
惣一郎には間に合っている物ばかりだったのだ。
魔法はあるが魔力が少ないこの世界だからなのか、惣一郎の心を掴む強力な物がない。
魔導書のラインナップも充実してはいるが……
「何かおすすめ的な物は無いかな?」
「当店では一点ものは……[カミラ]の所なら多少扱っているかと、変わり者だし」
期待していた惣一郎は肩を落とし、礼を言って店を出る。
「そのカミラに期待するか……」
市場を眺めながらカミラの魔導書店を目指す。
「露店か… 露店で生計を立てるのもありだな」
惣一郎は市場で安定して手に入る食材をチェックし、買い物しながら歩いて行く。
中心地から少し離れたカミラの店に来てみると、ドアに研究日と書かれた札が下がっており、どうやら休みの様だった。
「やってね~!」
肩を落とす惣一郎を、ひょいっと弁慶が軽々と肩に持ち上げる。
「旦那様、そう落ち込まないで! ギルドにお金貰いに行こう!」
「うん、そうだね。でも恥ずかしいから降ろして下さい」
「ケラケラケラ」
気を取り直して、ギルドへ行こう!
中心地へ戻る惣一郎と、弁慶に登ろうとするベンゾウだった。
「プッハ! 死ぬわ!」
この世界に似つかわしくないゴージャスな下着に身を包むふたりが起きる。
「おはよう旦那様♡」
「ご主人様お腹すいた♡」
起きて第一声がそれか!
朝食の準備を始めるとすぐに、ハイジが入って来る。
「おはよう、あら朝食はまだかしら?」
惣一郎は寝過ぎた様だった。
惣一郎はトーストをフライパンで焼く。
バターをたっぷり塗り、焼いて両面押さえながら焼く。
これはこれで結構美味い!
知っているトーストとは違うが、バターが隅々まで溶け込んでサクサクとしている。
だが普通のトーストも食べたくなる。
惣一郎はこの世界に電化製品を持ち込むのにずっと抵抗を持っていた。
ソーラーパネルや充電器などネットで買えるのだが、便利過ぎると歯止めが効かなくなる。
惣一郎はこの世界の不便を楽しみたいのだった。
それ以外は十分持ち込んでいる、惣一郎の妙なこだわりでもあった。
食後カールに仕事について聞いてみる。
「取り敢えずは冒険者として登録し直し、簡単な依頼をこなして行こうかと」
なんのツテもないふたりがするには妥当だろう。
ただそれだとハイジを養うだけで、成長はしないだろう。
9歳だがしっかりしているハイジは、もっと何か責任を持たせる方が合ってる気がする。
何かいい商売でも……
以前読んだラノベでは、プリンや卵焼きで商売していたな……
街で食材など見ながら考えるかと、惣一郎は出かける準備をする。
クロは興味なさそうなので、留守番する事に。
ベンゾウと弁慶の3人で街に行く。
この街には魔導書店が数件あり、その内の一件を覗く事にする。
「いらっしゃい、何かお探しで?」
カウンターの中年の男性が話しかける。
この店は店内に色々な魔導具も並んでおり、奥のカウンターの裏には本が並んでいた。
「おお~ ポイなポイ!」
惣一郎以外には理解しずらい言葉だろう。
魔導具を一つ一つ、もの珍しく見て回る惣一郎は、所々で店員に説明を求める。
マジックバッグ類は勿論、マジックボックスと言う箱まであった。
大型の箱で量も相当入りそうだ。
最近よく見る、通信用の魔道具も携帯電話の様に並んでいる。
火種が要らないランプや、送風機、ホットプレートの様な物まであり、心躍る惣一郎だった。
だが珍しいだけで、欲しいものは無かった。
惣一郎には間に合っている物ばかりだったのだ。
魔法はあるが魔力が少ないこの世界だからなのか、惣一郎の心を掴む強力な物がない。
魔導書のラインナップも充実してはいるが……
「何かおすすめ的な物は無いかな?」
「当店では一点ものは……[カミラ]の所なら多少扱っているかと、変わり者だし」
期待していた惣一郎は肩を落とし、礼を言って店を出る。
「そのカミラに期待するか……」
市場を眺めながらカミラの魔導書店を目指す。
「露店か… 露店で生計を立てるのもありだな」
惣一郎は市場で安定して手に入る食材をチェックし、買い物しながら歩いて行く。
中心地から少し離れたカミラの店に来てみると、ドアに研究日と書かれた札が下がっており、どうやら休みの様だった。
「やってね~!」
肩を落とす惣一郎を、ひょいっと弁慶が軽々と肩に持ち上げる。
「旦那様、そう落ち込まないで! ギルドにお金貰いに行こう!」
「うん、そうだね。でも恥ずかしいから降ろして下さい」
「ケラケラケラ」
気を取り直して、ギルドへ行こう!
中心地へ戻る惣一郎と、弁慶に登ろうとするベンゾウだった。
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