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第九章
二十一話 【虎男】
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「このゴドルって、よく出るのか?」
返事は無かった。
惣一郎も苦無を追加で浮かす。
弁慶が深呼吸すると、筋肉が盛り上がり身体が一回り大きくなる。
ベンゾウも深く集中し、2本の小刀から怪しいオーラを漂わせる。
左のゴドルが、後ろに飛ぶと竹を蹴り一気に惣一郎へ向かって爪を立てる!
弁慶がタイミングを合わせ侃護斧で迎え撃つと、飛びながら横の竹を掴みタイミングをずらすゴドルは、空振りした弁慶に襲いかかる!
そこにベンゾウの後ろからの一閃!
ゴドルの背中に横一文字に深い傷を残す。
血が噴き出し仰反るゴドルは、大きく口を開き背後のベンゾウを蹴り上げるが、すでにそこには居ないベンゾウ。
惣一郎がそこに苦無を撃ち込むと、左腕と左脇腹に穴を開ける。
膝を突くゴドルの頭を、侃護斧が吹き飛ばす。
すぐ二匹目に目をやるが、いない!
惣一郎はカール達を気にするが、無事の様だ。
弁慶も探している。
ベンゾウもいない!
すると前の竹が大きく揺れる!
上を向くと、両手を広げてゴドルが口を大きく開き、急降下して来る!
惣一郎と弁慶は落下位置を離れると、ゴドルはそのまま地面に受け身も取らず衝突する!
背中には、ベンゾウが2本の小刀を立て乗っていた。
惣一郎はすぐ周りを見渡すが、もう他には居なかった。
「旦那様、珍しいなんてもんじゃ……」
あぁ、さっきの答えね。
弁慶の蹴られた腹は…… 大丈夫普通に割れている!
被害は気絶したハイジぐらいか。
カールも包丁を片手にハイジを守っていた様だ。
「ご主人様」
「ん?」
「ゴドル倒したの、ベンゾウ初めて!」
「えっ、そんな強いのか!」
「さぁ? 遭うのも初めて」
あっそ……
惣一郎はゴドル三匹を収納して荷車を見ると、煽り部分がいくらか曲がっていた。
この位で済んでよかった。
カールはゴドル三匹を無傷で倒す惣一郎達に、驚いていた。
何時迄もここに居ると、また現れかねないので、惣一郎達は先を急ぐ事にする。
しばらく竹林を注意しながら進み続けると、ようやく終わりが見えてきた。
ゴドルの襲撃はもう無いと思いたい。
草原へと景色は変わり、遠く向こうから複数の人影がこちらに向かって来ている様だった。
20人前後の集団がコチラに近付くと、
「おい、冒険者か?」
っと、声をかけられる。
「竹林を抜けて来たのか?」
「ええ、何かあったのですか?」
冒険者風の団体は、大袈裟なほど武装していた。
「この先の竹林で、ゴドルと言う魔獣の目撃があってな、討伐依頼で向かっている」
ありゃ、横取りしちゃったかな?
「その様子じゃ遭わなかった様だな!」
惣一郎以外はみんな黙っていた。
「う、うん」
「隊長! やっぱりデマなんじゃ無いですか?」
「ふむ、その確認だけでも行くしかあるまい」
肩を落とし、また歩き始める冒険者の団体。
「いない可能性も見えて来たが、この辺りは盗賊も出る。気を緩めるな!」
リーダーらしき冒険者が歩き出した仲間に檄を飛ばすと、
「お陰で気が楽になったよ! この先ゴスガイルの街までは安全のはずだ。邪魔したな!」
ゴドルの討伐依頼を受けた冒険者達……
夜の眷属騒ぎは知られて無かったのだろうか?
この辺りの村が無くなったはずなのに……
冒険者の後ろ姿を見ながら惣一郎は、違和感を覚えていた。
陽が暮れるまで進んだ惣一郎達は、テントで夜を過ごし、翌日の午後には、大きな街に着いた。
返事は無かった。
惣一郎も苦無を追加で浮かす。
弁慶が深呼吸すると、筋肉が盛り上がり身体が一回り大きくなる。
ベンゾウも深く集中し、2本の小刀から怪しいオーラを漂わせる。
左のゴドルが、後ろに飛ぶと竹を蹴り一気に惣一郎へ向かって爪を立てる!
弁慶がタイミングを合わせ侃護斧で迎え撃つと、飛びながら横の竹を掴みタイミングをずらすゴドルは、空振りした弁慶に襲いかかる!
そこにベンゾウの後ろからの一閃!
ゴドルの背中に横一文字に深い傷を残す。
血が噴き出し仰反るゴドルは、大きく口を開き背後のベンゾウを蹴り上げるが、すでにそこには居ないベンゾウ。
惣一郎がそこに苦無を撃ち込むと、左腕と左脇腹に穴を開ける。
膝を突くゴドルの頭を、侃護斧が吹き飛ばす。
すぐ二匹目に目をやるが、いない!
惣一郎はカール達を気にするが、無事の様だ。
弁慶も探している。
ベンゾウもいない!
すると前の竹が大きく揺れる!
上を向くと、両手を広げてゴドルが口を大きく開き、急降下して来る!
惣一郎と弁慶は落下位置を離れると、ゴドルはそのまま地面に受け身も取らず衝突する!
背中には、ベンゾウが2本の小刀を立て乗っていた。
惣一郎はすぐ周りを見渡すが、もう他には居なかった。
「旦那様、珍しいなんてもんじゃ……」
あぁ、さっきの答えね。
弁慶の蹴られた腹は…… 大丈夫普通に割れている!
被害は気絶したハイジぐらいか。
カールも包丁を片手にハイジを守っていた様だ。
「ご主人様」
「ん?」
「ゴドル倒したの、ベンゾウ初めて!」
「えっ、そんな強いのか!」
「さぁ? 遭うのも初めて」
あっそ……
惣一郎はゴドル三匹を収納して荷車を見ると、煽り部分がいくらか曲がっていた。
この位で済んでよかった。
カールはゴドル三匹を無傷で倒す惣一郎達に、驚いていた。
何時迄もここに居ると、また現れかねないので、惣一郎達は先を急ぐ事にする。
しばらく竹林を注意しながら進み続けると、ようやく終わりが見えてきた。
ゴドルの襲撃はもう無いと思いたい。
草原へと景色は変わり、遠く向こうから複数の人影がこちらに向かって来ている様だった。
20人前後の集団がコチラに近付くと、
「おい、冒険者か?」
っと、声をかけられる。
「竹林を抜けて来たのか?」
「ええ、何かあったのですか?」
冒険者風の団体は、大袈裟なほど武装していた。
「この先の竹林で、ゴドルと言う魔獣の目撃があってな、討伐依頼で向かっている」
ありゃ、横取りしちゃったかな?
「その様子じゃ遭わなかった様だな!」
惣一郎以外はみんな黙っていた。
「う、うん」
「隊長! やっぱりデマなんじゃ無いですか?」
「ふむ、その確認だけでも行くしかあるまい」
肩を落とし、また歩き始める冒険者の団体。
「いない可能性も見えて来たが、この辺りは盗賊も出る。気を緩めるな!」
リーダーらしき冒険者が歩き出した仲間に檄を飛ばすと、
「お陰で気が楽になったよ! この先ゴスガイルの街までは安全のはずだ。邪魔したな!」
ゴドルの討伐依頼を受けた冒険者達……
夜の眷属騒ぎは知られて無かったのだろうか?
この辺りの村が無くなったはずなのに……
冒険者の後ろ姿を見ながら惣一郎は、違和感を覚えていた。
陽が暮れるまで進んだ惣一郎達は、テントで夜を過ごし、翌日の午後には、大きな街に着いた。
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