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第九章
十八話 【謎の男】
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村を襲う複数の影、召喚獣のコウモリ女が夜の空を飛び回っていた。
弁慶とカールが構える!
急降下してくる鉤爪を、弁慶が無雑作に掴み地面に叩きつける。
カールも襲ってくる召喚獣の爪のある足先を包丁で削ぎ落とす!
「なっ! なんて切れ味だ!」
耳をつん裂く音を立て、広場に集まり出すコウモリ女。
ハイジはコールの返事もせずに、指示を飛ばす!
「1番、今よ!」
すると広場の隅から四方を石に縛られた大きな緑の網が、広がりながら空に飛ぶ!
一度に10匹近くが、網に絡め捕らえると地面に落ちる。
落ちた網に絡まったコウモリ女を、弁慶が侃護斧で軽く叩いて気絶させて行く。
その援護をカールがする。
罠を投げ終えた班の村人も弁慶に続く。
「3番、今よ!」
なんとも状況を的確に捉え、指示をするこの少女、とても9歳とは思えない。
「2番、4番! 今よ!」
空の影の大半を絡め取り、地面に落とす。
空にはもう二匹しか残っていなかった。
網に絡まり暴れる召喚獣を、次々と弁慶と村人が気絶させて行く。
勝負は決まったと、惣一郎にコールする。
『こっちは片付いたわ。別にあん……
惣一郎はコールを切った。
目の前の異常な光景に余裕がなかった。
布を纏った人影は、魔法陣に浮いた女性に何かを吹き込んでいる様に見えた。
顎が外れた様に大きく開いた口から、女性の口に何かが流れ込むと、女性のお腹が膨れて行く。
するといきなり惣一郎の目の前に、鎧姿の騎士が重さで地面をえぐりながら現れると、剣で城の壁ごと惣一郎を斬りつける!
左腕のプロテクターで受けるも、飛ばされる惣一郎!
すぐさま起き上がり、呪羅流民を構える。
「ネズミか?」
中央の人影の声は男だった。
フードを脱ぎ振り返る男は、酷い火傷の痕でただれた顔をしていた。
ベンゾウが飛び降り、騎士を蹴る!
体格的に無理があるが、騎士は鎧を凹ませ吹っ飛ぶ。
グラビティーを使ったのだろう。
冷静に中央の男が話しかけて来る。
「何者だ?」
「俺が聴きたいわ! 村を襲って何してんだこんな場所で!」
騎士が起き上がり、剣を構える。
死臭が凄かった…… 騎士の中身も死体か。
惣一郎は鉄球を出すと、
「ベンゾウ、騎士は任せろ」
っと、騎士に鉄球を飛ばす!
ベンゾウは閃光になり、一瞬で中央の男の背後に周り込み、小刀で斬りつける!
男は腕ごと胴体をずらして落ちるが、その上半身はまだ、光りを失わない目をしていた。
「やるではないか」
ベンゾウは、ふたつになっても余裕のある男を、警戒し距離を取る。
鎧が原型を無くすほど、潰れ臭い液体を漏らし動かなくなると、惣一郎は男に話しかける。
「あんた魔族か? その状態でずいぶんと余裕だな」
するとハイジからコールで、
『召喚獣が全て消えましたわ! 魔族を倒したのですね!』
まだだ!
男は不敵な笑みを浮かべ、
「冒険者にしては強いな、何者か答える気はないのかね?」
男の周りに赤黒いオーラが現れると宙に浮く。
召喚獣に回してた魔力だろう。
「人に名を尋ねる時は、自分からだろ?」
「フフフ、ハァハハハ!」
男は笑いながら魔法陣の中に入る。
すると天まで昇る光りに包まれ、男は口からまた何かを出し女性に入れる。
惣一郎は鉄球を飛ばすが、魔法陣の光りに当たり鈍い音を立てて落ちる。
印が切れた。
ベンゾウも斬りつけようと突っ込んで行くが、光りに当たり跳ね返る!
ダメージは無さそうだ。
流し込み終えた男は目に力を無くし、そのまま地面に落ちる。
すると今度は女性の遺体が起き上がり、男の声で喋り出す。
「我は[ベリル]察しの通り魔族のベリルだ」
「乗り移ったのか?」
「名乗ったぞ」
「ああ、ゴキコロリだ!」
惣一郎は咄嗟にこの名を出した。
「何故ここに来た」
「たまたまだ!」
「フン、お陰で不完全に定着してしまった」
「其奴の召喚術は、使い勝手が良かったのだが」
惣一郎はベリルから、見えない背中の位置でククリ刀を高速で回転させていた。
「なんの音か知らんが無駄だ、この結界の中までは届かん」
オレンジ色にまで熱を帯びた円盤は、シュッと女に向け飛ぶ!
光りにぶつかると火花を散らし勢いを殺されるが、ゆっくりとすり抜け、中で暴れ回る!
すでに印は解かれ、回転の惰性だけで光の柱の中を切り刻んで暴れ回るククリ刀、慌てる女性の右腕を落とし、地面に刺さる。
「ぎゃーー」
「き……さまーーーーー」
すると男の遺体からマントを剥ぎ取り、丈は短いが、体を覆うと何かの魔道具を出し、
「覚えておれ! ゴキコロリ!!」
っと姿を消した。
「転移魔法か!」
光りの柱もゆっくりと消えていく。
地面に刺さったククリ刀はもう使えなそうだった……
弁慶とカールが構える!
急降下してくる鉤爪を、弁慶が無雑作に掴み地面に叩きつける。
カールも襲ってくる召喚獣の爪のある足先を包丁で削ぎ落とす!
「なっ! なんて切れ味だ!」
耳をつん裂く音を立て、広場に集まり出すコウモリ女。
ハイジはコールの返事もせずに、指示を飛ばす!
「1番、今よ!」
すると広場の隅から四方を石に縛られた大きな緑の網が、広がりながら空に飛ぶ!
一度に10匹近くが、網に絡め捕らえると地面に落ちる。
落ちた網に絡まったコウモリ女を、弁慶が侃護斧で軽く叩いて気絶させて行く。
その援護をカールがする。
罠を投げ終えた班の村人も弁慶に続く。
「3番、今よ!」
なんとも状況を的確に捉え、指示をするこの少女、とても9歳とは思えない。
「2番、4番! 今よ!」
空の影の大半を絡め取り、地面に落とす。
空にはもう二匹しか残っていなかった。
網に絡まり暴れる召喚獣を、次々と弁慶と村人が気絶させて行く。
勝負は決まったと、惣一郎にコールする。
『こっちは片付いたわ。別にあん……
惣一郎はコールを切った。
目の前の異常な光景に余裕がなかった。
布を纏った人影は、魔法陣に浮いた女性に何かを吹き込んでいる様に見えた。
顎が外れた様に大きく開いた口から、女性の口に何かが流れ込むと、女性のお腹が膨れて行く。
するといきなり惣一郎の目の前に、鎧姿の騎士が重さで地面をえぐりながら現れると、剣で城の壁ごと惣一郎を斬りつける!
左腕のプロテクターで受けるも、飛ばされる惣一郎!
すぐさま起き上がり、呪羅流民を構える。
「ネズミか?」
中央の人影の声は男だった。
フードを脱ぎ振り返る男は、酷い火傷の痕でただれた顔をしていた。
ベンゾウが飛び降り、騎士を蹴る!
体格的に無理があるが、騎士は鎧を凹ませ吹っ飛ぶ。
グラビティーを使ったのだろう。
冷静に中央の男が話しかけて来る。
「何者だ?」
「俺が聴きたいわ! 村を襲って何してんだこんな場所で!」
騎士が起き上がり、剣を構える。
死臭が凄かった…… 騎士の中身も死体か。
惣一郎は鉄球を出すと、
「ベンゾウ、騎士は任せろ」
っと、騎士に鉄球を飛ばす!
ベンゾウは閃光になり、一瞬で中央の男の背後に周り込み、小刀で斬りつける!
男は腕ごと胴体をずらして落ちるが、その上半身はまだ、光りを失わない目をしていた。
「やるではないか」
ベンゾウは、ふたつになっても余裕のある男を、警戒し距離を取る。
鎧が原型を無くすほど、潰れ臭い液体を漏らし動かなくなると、惣一郎は男に話しかける。
「あんた魔族か? その状態でずいぶんと余裕だな」
するとハイジからコールで、
『召喚獣が全て消えましたわ! 魔族を倒したのですね!』
まだだ!
男は不敵な笑みを浮かべ、
「冒険者にしては強いな、何者か答える気はないのかね?」
男の周りに赤黒いオーラが現れると宙に浮く。
召喚獣に回してた魔力だろう。
「人に名を尋ねる時は、自分からだろ?」
「フフフ、ハァハハハ!」
男は笑いながら魔法陣の中に入る。
すると天まで昇る光りに包まれ、男は口からまた何かを出し女性に入れる。
惣一郎は鉄球を飛ばすが、魔法陣の光りに当たり鈍い音を立てて落ちる。
印が切れた。
ベンゾウも斬りつけようと突っ込んで行くが、光りに当たり跳ね返る!
ダメージは無さそうだ。
流し込み終えた男は目に力を無くし、そのまま地面に落ちる。
すると今度は女性の遺体が起き上がり、男の声で喋り出す。
「我は[ベリル]察しの通り魔族のベリルだ」
「乗り移ったのか?」
「名乗ったぞ」
「ああ、ゴキコロリだ!」
惣一郎は咄嗟にこの名を出した。
「何故ここに来た」
「たまたまだ!」
「フン、お陰で不完全に定着してしまった」
「其奴の召喚術は、使い勝手が良かったのだが」
惣一郎はベリルから、見えない背中の位置でククリ刀を高速で回転させていた。
「なんの音か知らんが無駄だ、この結界の中までは届かん」
オレンジ色にまで熱を帯びた円盤は、シュッと女に向け飛ぶ!
光りにぶつかると火花を散らし勢いを殺されるが、ゆっくりとすり抜け、中で暴れ回る!
すでに印は解かれ、回転の惰性だけで光の柱の中を切り刻んで暴れ回るククリ刀、慌てる女性の右腕を落とし、地面に刺さる。
「ぎゃーー」
「き……さまーーーーー」
すると男の遺体からマントを剥ぎ取り、丈は短いが、体を覆うと何かの魔道具を出し、
「覚えておれ! ゴキコロリ!!」
っと姿を消した。
「転移魔法か!」
光りの柱もゆっくりと消えていく。
地面に刺さったククリ刀はもう使えなそうだった……
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