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第九章

十五話 【夜の眷属】

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景色は徐々に岩が増え、木々がその隙間から伸びており、切立った雪化粧の山が見えると風も冷たくなって行く。

陽が傾き出した頃、キリの村に到着するが……

村人の姿が見えなかった。

空きっぱなしの門をくぐり、中に入っても人の気配が無い。

廃村になったのか?

建物は古いが傷んではおらず、生活感は感じられた。

すると、一軒の家から第一村人発見!

「あんたら、旅人か? 早く何処かに隠れるんだ! もうすぐ夜が来るぞ!」

意味深な事を言うだけ言って、家の中に消えていった。

なんそれ?

荷車を収納し、歩いて村を見て回る。

やはり、家の中に人はいる様だったが、誰も出て来なかった。

次第に辺りは薄暗くなり、惣一郎達も村の隅の木々が生えた緑多めの場所にテントを出し、休む事にする。

村の様子に不安のハイジ達。

ベンゾウの食欲は変わらない。

夜が来ると言うなら朝には事情が聞けるかな?

惣一郎達は早めに寝る事にする。




夜中に、バサバサと羽音が聞こえ目を覚ます惣一郎。

ハイジ以外はみんな目を覚ます。

「何の音でしょうか?」

カールがハイジを心配そうに言葉にする。

「夜が来るの正体かな?」

弁慶が起き出して「様子を見てきます」と言うのを惣一郎が止める。

「いや、寝てろ! 俺が見て来るよ」

弁慶の頬が赤くなる。 っぽ♡

惣一郎は当たり前の様に付いてこようとするベンゾウも止めて、呪羅流民を持ち外へ出る。

複数聴こえる羽の音は暗闇の中、星に照らされ空にシルエットだけ残す。

コウモリ?

惣一郎は苦無を出しておく。

村の広場まで来ると、シルエットが惣一郎に気付き、近付いて来る。

女だった。

裸の女にコウモリの羽、顔もコウモリで豚の様な鼻をしている。

不気味だった! オッパイ以外は……

集まり出すコウモリ女が、空中で様子を覗っていると、耳の奥に頭痛を伴う高い音が聞こえ、襲いかかってきた。

「言葉は通じないかな?」

足の鉤爪で惣一郎を掴もうとする一匹目が、近付く前に、宙で2つに別れる。

「ベンゾウさん、待ってろって言っただろが」

「ご主人様を守るのが、ベンゾウの仕事!」

そう言いながら惣一郎は苦無で空のコウモリ女を二匹撃ち落とす。

するとまた、あの音がして眉間に皺を作る!

襲い掛かるコウモリ女の羽が、空中で切り取られ、惣一郎の横をスライディングして行くと、空の最後の一匹は、すでに遠くに逃げていた。

羽を切り落としたベンゾウが、地面に音もなく着地するとこちらに振り向き、親指を立てる。

ハイハイ、生かしておいたのね!

不気味なコウモリ女は、地面で惣一郎を警戒する。

「言葉はわかる?」

返事はない。

魔獣なのかな? 惣一郎は以前見たビルゲンの様に魔族の類いなのかと思っていた。

仕方ないと、鉄球で気絶させると紐で縛り上げる。

オッパイは見事だった。

うっすらと東の空が明るくなり出すと、遅れて弁慶もやって来た。

言う事を聞かない仲間ばかりだ。

「旦那様! 無事か?」

「ああ、寝てて良いのに」

「旦那様が心配に決まっているだろ!」

すると朝陽が射し、後ろのコウモリ女が悲鳴を上げ緑の炎をあげ燃え出す。

「ありゃ、吸血鬼の類いだったか」

朝を迎えると、村人がぞろぞろと現れ始める。





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