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第九章
十四話 【リスタート!】
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執事のノートをベッドに寝かせ、ナポリタンで口の周りを赤くする、3人と1匹。
惣一郎は使えなくなったノートの折れた短剣を見ていた。
召喚して使役する魔法武器…… こんなのも在るんだな……
翌朝、朝食の準備をしていると、ノートが目を覚ます。
「私は…… 生きてるのか」
「当たり前だ! 勝手に押しつけて、誰が殺すか!」
………
「ノート!」
「お嬢様……」
「約束通り、貴族に嫁ぐならこの先のキリの村までだ。普通の生活を望むなら手を貸すが、どうする?」
「「 ……… 」」
「復讐は敵わぬと知り、クライス家はもうありません。ノート…… もう一度始めてみませんか? 最初から……」
「お嬢様……」
しっかりした9歳の女の子だ。
「ならば私は、いえ私達は、ここで死んだ事にいたしましょう」
「惣一郎殿、我らに新たに生きていく、名を頂きたい」
はい? ナニ言ってんのこの人? 勝手に名乗ればいいだろうに…… 何コレ? 恒例行事になってない?
「惣一郎様、是非新たに生きる私達に!」
「マジで……」
朝食後、キリの村へ向け歩き出す。
「さぁ行くわよ、カール!」
左右に跳ねた髭から取ったとは言えない……
「はい、ハイジお嬢様」
ノーコメントで……
「もうカール! お嬢様は必要なくってよ!」
「そうでしたね、ハイジ」
クリクリの長い髪をバッサリ短く切った金髪の少女は、元気に走り出す。
新たな人生を……
所々に生えた木が、先の見通しを邪魔する道を、荷車に揺られながらのんびり進む。
カールとハイジは、新たなスタートを踏みしめようと歩いている。
ベンゾウも付き合い歩き、惣一郎は荷車で弁慶に拘束され…… 抱きつかれていた。
鬱陶しいが、ふたつのクッションが惣一郎を拒めなくしていた。
惣一郎は、魔導具を出しマルジさんに報告のコールをする。
『今、大丈夫ですか?』
『おお、惣一郎殿! 心配しておりました。その後何か動きは?』
『ええ、やはり復讐でした。もう終わりましたので報告にと』
『そうでしたか…… 重ね重ね申し訳ない』
『まぁ、多少は覚悟してたので、お気になさらず』
『助かります。してノート達は?』
『…………』
『そうですね、いや失礼! また何かあればいつでも連絡下さい』
『そうだ、一つお聞きしたい事が!』
『はい!』
『この前頂いたマジックバッグの中に、魔導書が一冊入ってたのですが、手紙が読めなくて。あの魔導書は何の魔法なのですか?』
『あの魔導書はダンジョン産でして、必ず習得出来る[ペリジン]と言う魔法です。国王陛下個人のお宝でして、売れば数億はする品です』
『ペリジン?』
『ええ、武器などに魔力の膜を張り強化する魔法です。魔力量にも左右される為、魔法自体は割と地味な部類なのですが、ダンジョン産と言う価値があるので資産としてお考え頂ければと』
『なるほど、ありがとうございます。みんなにもよろしくお伝え下さい! 以上』
『ええ、惣一郎殿もお元気で! また何かあればいつでもお声がけを! 以上』
なるほどペリジンね~
今の所、國家や國千代、それに侃護斧も強化は必要無さそうだな……
「何かいい事でも? 旦那様」
「いや、ちょっとね」
先に遠く、山が見え始める。
惣一郎は使えなくなったノートの折れた短剣を見ていた。
召喚して使役する魔法武器…… こんなのも在るんだな……
翌朝、朝食の準備をしていると、ノートが目を覚ます。
「私は…… 生きてるのか」
「当たり前だ! 勝手に押しつけて、誰が殺すか!」
………
「ノート!」
「お嬢様……」
「約束通り、貴族に嫁ぐならこの先のキリの村までだ。普通の生活を望むなら手を貸すが、どうする?」
「「 ……… 」」
「復讐は敵わぬと知り、クライス家はもうありません。ノート…… もう一度始めてみませんか? 最初から……」
「お嬢様……」
しっかりした9歳の女の子だ。
「ならば私は、いえ私達は、ここで死んだ事にいたしましょう」
「惣一郎殿、我らに新たに生きていく、名を頂きたい」
はい? ナニ言ってんのこの人? 勝手に名乗ればいいだろうに…… 何コレ? 恒例行事になってない?
「惣一郎様、是非新たに生きる私達に!」
「マジで……」
朝食後、キリの村へ向け歩き出す。
「さぁ行くわよ、カール!」
左右に跳ねた髭から取ったとは言えない……
「はい、ハイジお嬢様」
ノーコメントで……
「もうカール! お嬢様は必要なくってよ!」
「そうでしたね、ハイジ」
クリクリの長い髪をバッサリ短く切った金髪の少女は、元気に走り出す。
新たな人生を……
所々に生えた木が、先の見通しを邪魔する道を、荷車に揺られながらのんびり進む。
カールとハイジは、新たなスタートを踏みしめようと歩いている。
ベンゾウも付き合い歩き、惣一郎は荷車で弁慶に拘束され…… 抱きつかれていた。
鬱陶しいが、ふたつのクッションが惣一郎を拒めなくしていた。
惣一郎は、魔導具を出しマルジさんに報告のコールをする。
『今、大丈夫ですか?』
『おお、惣一郎殿! 心配しておりました。その後何か動きは?』
『ええ、やはり復讐でした。もう終わりましたので報告にと』
『そうでしたか…… 重ね重ね申し訳ない』
『まぁ、多少は覚悟してたので、お気になさらず』
『助かります。してノート達は?』
『…………』
『そうですね、いや失礼! また何かあればいつでも連絡下さい』
『そうだ、一つお聞きしたい事が!』
『はい!』
『この前頂いたマジックバッグの中に、魔導書が一冊入ってたのですが、手紙が読めなくて。あの魔導書は何の魔法なのですか?』
『あの魔導書はダンジョン産でして、必ず習得出来る[ペリジン]と言う魔法です。国王陛下個人のお宝でして、売れば数億はする品です』
『ペリジン?』
『ええ、武器などに魔力の膜を張り強化する魔法です。魔力量にも左右される為、魔法自体は割と地味な部類なのですが、ダンジョン産と言う価値があるので資産としてお考え頂ければと』
『なるほど、ありがとうございます。みんなにもよろしくお伝え下さい! 以上』
『ええ、惣一郎殿もお元気で! また何かあればいつでもお声がけを! 以上』
なるほどペリジンね~
今の所、國家や國千代、それに侃護斧も強化は必要無さそうだな……
「何かいい事でも? 旦那様」
「いや、ちょっとね」
先に遠く、山が見え始める。
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