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第八章
十九話 【デカい女は好きですか?】
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惣一郎は置くだけで蟻を寄せ付けない薬を10m間隔で置く様にと大量に購入し、指揮官に使い方を教える。
一応、蟻用の殺虫剤も渡して万が一と教え込む。
「これで厄災が?」
「あぁ、信じなくても良いよ、王命だから」
王命の一言で背筋を伸ばす騎士達だった。
それを惣一郎は面白がっている。
荷馬車数台に山積みにされた薬を持って、防衛隊が出発するのを見届ける。
すぐ後をマルジさんら本隊が出る。
北西[アリマヌの町]の先の国境手前に、防衛線を張る為に。
遅れて惣一郎達も、ヌイバリさんから依頼書を受け取り、挨拶に来た王様に「頼む」と頭を下げられて城を出る。
すると城の入り口で何やら揉める大きな人影が。
「会わせろ!」
と、大声で騒ぐ鬼人の女は、惣一郎を見るなり!
「いた、旦那様!」
パニくる惣一郎。
「はい?」
「旦那様…… デカい女は好きですか?」
何を言っているのか分からない……
「いや、ごめん急ぐので……」
「何処に?」
「へ? あぁ~ 虫退治に」
「アタイも行く!」
「……なぜ」
全く意味が分からない惣一郎だった。
鬼人の女性は、獣人の女性と同じく強い男性に惹かれる。
獣人は強さだけじゃなく認めた相手じゃないと好意を持たないが、鬼人は単純に自分より力が強い男性に好意を持つ。
だが、この鬼人の女は強く、今まで自分より強い男に会った事が無く、求め旅をしていた。
そんな中、ジビカガイライの噂を聞いていた鬼人の娘は惣一郎に戦いを挑み、負けた今、求婚の真っ最中と言う事だった。
そんな事を知る由も無く、うっかり圧勝してしまった惣一郎は、強引に着いて来る鬼人を無視して虫退治に向かう。
クロの荷車に乗って北西を目指す惣一郎の後を、息を切らしながら、走り付いて来る鬼人の娘。
すぐ諦めるだろうと思っていたが、随分と頑張る健気な姿に良心が咎める惣一郎は、荷車を止める。
「なぁ、何でそんなに付いてきたがるんだ?」
「ハァハァ、旦那様の……後を、ハァハァ、追うのが……ハァハァ女の……」
スポーツドリンクを渡し、飲ませる惣一郎は、こりゃ逃げられないと観念する。
落ち着いた頃、何故付い来るのか聞くと鬼人の娘は「一目惚れです」と惣一郎を混乱させる。
「名前は?」
「旦那様のお好きに」
「いや、今までなんて呼ばれてたんだ?」
「……鬼人、女?」
またこのパターンか……
「俺に名前を付けさせるのか?」
「ハイ! 旦那様」
「いいのか?」
「旦那様が決めた名なら」
「本当にいいんだな?」
「はい、どんな名であろうと」
ワクワクしながら見守るベンゾウ。
太陽を背に大きなシルエットで目の前に立つ、見上げる鬼人。
「……弁慶」
「おおぉ! ベンケイ! ベンケイ!!」
「えっ、あ……いや……」
「旦那様、この弁慶、幾久しく!」
ま、いっか……
また突然、新たな仲間を迎えたジビカガイライ!
一行は、国境を目指し進む。
一応、蟻用の殺虫剤も渡して万が一と教え込む。
「これで厄災が?」
「あぁ、信じなくても良いよ、王命だから」
王命の一言で背筋を伸ばす騎士達だった。
それを惣一郎は面白がっている。
荷馬車数台に山積みにされた薬を持って、防衛隊が出発するのを見届ける。
すぐ後をマルジさんら本隊が出る。
北西[アリマヌの町]の先の国境手前に、防衛線を張る為に。
遅れて惣一郎達も、ヌイバリさんから依頼書を受け取り、挨拶に来た王様に「頼む」と頭を下げられて城を出る。
すると城の入り口で何やら揉める大きな人影が。
「会わせろ!」
と、大声で騒ぐ鬼人の女は、惣一郎を見るなり!
「いた、旦那様!」
パニくる惣一郎。
「はい?」
「旦那様…… デカい女は好きですか?」
何を言っているのか分からない……
「いや、ごめん急ぐので……」
「何処に?」
「へ? あぁ~ 虫退治に」
「アタイも行く!」
「……なぜ」
全く意味が分からない惣一郎だった。
鬼人の女性は、獣人の女性と同じく強い男性に惹かれる。
獣人は強さだけじゃなく認めた相手じゃないと好意を持たないが、鬼人は単純に自分より力が強い男性に好意を持つ。
だが、この鬼人の女は強く、今まで自分より強い男に会った事が無く、求め旅をしていた。
そんな中、ジビカガイライの噂を聞いていた鬼人の娘は惣一郎に戦いを挑み、負けた今、求婚の真っ最中と言う事だった。
そんな事を知る由も無く、うっかり圧勝してしまった惣一郎は、強引に着いて来る鬼人を無視して虫退治に向かう。
クロの荷車に乗って北西を目指す惣一郎の後を、息を切らしながら、走り付いて来る鬼人の娘。
すぐ諦めるだろうと思っていたが、随分と頑張る健気な姿に良心が咎める惣一郎は、荷車を止める。
「なぁ、何でそんなに付いてきたがるんだ?」
「ハァハァ、旦那様の……後を、ハァハァ、追うのが……ハァハァ女の……」
スポーツドリンクを渡し、飲ませる惣一郎は、こりゃ逃げられないと観念する。
落ち着いた頃、何故付い来るのか聞くと鬼人の娘は「一目惚れです」と惣一郎を混乱させる。
「名前は?」
「旦那様のお好きに」
「いや、今までなんて呼ばれてたんだ?」
「……鬼人、女?」
またこのパターンか……
「俺に名前を付けさせるのか?」
「ハイ! 旦那様」
「いいのか?」
「旦那様が決めた名なら」
「本当にいいんだな?」
「はい、どんな名であろうと」
ワクワクしながら見守るベンゾウ。
太陽を背に大きなシルエットで目の前に立つ、見上げる鬼人。
「……弁慶」
「おおぉ! ベンケイ! ベンケイ!!」
「えっ、あ……いや……」
「旦那様、この弁慶、幾久しく!」
ま、いっか……
また突然、新たな仲間を迎えたジビカガイライ!
一行は、国境を目指し進む。
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