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第八章
三話 【後悔】
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惣一郎はダンジョンで手に入れた装備も売ろうと、防具屋を探していた。
鉄の剣やチェーンメイルなど使わない物が幾らかにでもなればと思っての事だ。
防具屋は無かったが、雑貨など色々な物を売る大きな商店があった。
平家の並ぶ中、三階建てと目立ち町に溶け込めていない商店は、武器防具は勿論、道具や魔導書まで取り扱っておりデパートの様であった。
店に入り、店内を見て回ると高額な商品が目立っており、商品と値段が釣り合って無い印象を受ける。
すると狐目の男が、
「いらっしゃいませ! 何かお探しでしょうか?」
っと、話しかけて来る。
「買取をお願いしたいのですが?」
狐目の店員は、客じゃ無いと思ったのか態度を変え、買取カウンターへ案内する。
奥から小太りの別の狐目が現れて、
「どれを売るんだ?」
と、愛想のない言い方であった。
気にせずチェーンメイルや青銅の盾など、ダンジョンで手に入れた要らない物を取り出し見せると、良く物色した店員は金額を提示する。
「まとめて、28ギーだな、この辺りじゃ人気の無い物だが、この金額なら買い取る」
後ろに似た様な青銅の盾が127ギーで売っている。
売れればいいやっと思っていた惣一郎だが、流石に売るのを躊躇う金額であった。
「そうか、すまんが他を当たるよ」
勝手にしろ!っと冷たい態度の店員は、奥へ帰って行く。
余り印象の良くない店を出て、惣一郎は急ぐ訳でも無いのでのんびり他を探す。
町をぶらつきながら、今晩寝る場所を考え始めた頃、カマナが慌てて走り寄って来る。
「ハァハァ、見つけた! 惣一郎さん! ハァハァ、ロドが捕まった」
聞けば昨夜の、鉄球をプレゼントした冒険者に、惣一郎を探して連れて来いと、ロドが捕まっているそうで、カマナが町中探し回っていたらしい。
面倒臭いトラブルに鉄球を放った張本人は、仕方ないか…… っとカマナについて行く。
定番のトラブルに自ら種を蒔いた惣一郎は、カマナの案内で町外れの、いかにもと言う場所に着く。
「オイ! 昨夜はよ…く……」
定番のセリフを言わせない様、昨夜の冒険者の喉元には、ベンゾウの小刀が伸びていた。
「ロドは?」
冒険者は汗を流しながら、ふたりの仲間に目をやるが、すでに鉄球で伸びている。
「ロドは何処!」
とカマナの声に、冒険者が観念して奥の建物の中にいると白状する。
カマナが建物に走って行くと惣一郎は、
「気は済みました? 次は無いですよ」
と、静かに脅す。
殴られ腫れた顔が、かろうじてロドだと思わせる男を、カマナが奥から連れて来る。
「ロド、そもそもお前がグルピーを押しつけて逃げたのが悪い! 謝って終わりにしなさい」
と優しく脅す。
これにて一件落着!っとは行かなかった……
ロドの姿に逆上したカマナは、冒険者の脇腹をナイフで刺したのだ。
冒険者は苦悶の表情で膝を突く。
慌てて惣一郎は薬草を冒険者の傷口に押し当て、ベンゾウがカマナからナイフを取り上げる。
今すぐ逃げ出したい惣一郎だった。
重い…… 展開が重いよ……
鉄の剣やチェーンメイルなど使わない物が幾らかにでもなればと思っての事だ。
防具屋は無かったが、雑貨など色々な物を売る大きな商店があった。
平家の並ぶ中、三階建てと目立ち町に溶け込めていない商店は、武器防具は勿論、道具や魔導書まで取り扱っておりデパートの様であった。
店に入り、店内を見て回ると高額な商品が目立っており、商品と値段が釣り合って無い印象を受ける。
すると狐目の男が、
「いらっしゃいませ! 何かお探しでしょうか?」
っと、話しかけて来る。
「買取をお願いしたいのですが?」
狐目の店員は、客じゃ無いと思ったのか態度を変え、買取カウンターへ案内する。
奥から小太りの別の狐目が現れて、
「どれを売るんだ?」
と、愛想のない言い方であった。
気にせずチェーンメイルや青銅の盾など、ダンジョンで手に入れた要らない物を取り出し見せると、良く物色した店員は金額を提示する。
「まとめて、28ギーだな、この辺りじゃ人気の無い物だが、この金額なら買い取る」
後ろに似た様な青銅の盾が127ギーで売っている。
売れればいいやっと思っていた惣一郎だが、流石に売るのを躊躇う金額であった。
「そうか、すまんが他を当たるよ」
勝手にしろ!っと冷たい態度の店員は、奥へ帰って行く。
余り印象の良くない店を出て、惣一郎は急ぐ訳でも無いのでのんびり他を探す。
町をぶらつきながら、今晩寝る場所を考え始めた頃、カマナが慌てて走り寄って来る。
「ハァハァ、見つけた! 惣一郎さん! ハァハァ、ロドが捕まった」
聞けば昨夜の、鉄球をプレゼントした冒険者に、惣一郎を探して連れて来いと、ロドが捕まっているそうで、カマナが町中探し回っていたらしい。
面倒臭いトラブルに鉄球を放った張本人は、仕方ないか…… っとカマナについて行く。
定番のトラブルに自ら種を蒔いた惣一郎は、カマナの案内で町外れの、いかにもと言う場所に着く。
「オイ! 昨夜はよ…く……」
定番のセリフを言わせない様、昨夜の冒険者の喉元には、ベンゾウの小刀が伸びていた。
「ロドは?」
冒険者は汗を流しながら、ふたりの仲間に目をやるが、すでに鉄球で伸びている。
「ロドは何処!」
とカマナの声に、冒険者が観念して奥の建物の中にいると白状する。
カマナが建物に走って行くと惣一郎は、
「気は済みました? 次は無いですよ」
と、静かに脅す。
殴られ腫れた顔が、かろうじてロドだと思わせる男を、カマナが奥から連れて来る。
「ロド、そもそもお前がグルピーを押しつけて逃げたのが悪い! 謝って終わりにしなさい」
と優しく脅す。
これにて一件落着!っとは行かなかった……
ロドの姿に逆上したカマナは、冒険者の脇腹をナイフで刺したのだ。
冒険者は苦悶の表情で膝を突く。
慌てて惣一郎は薬草を冒険者の傷口に押し当て、ベンゾウがカマナからナイフを取り上げる。
今すぐ逃げ出したい惣一郎だった。
重い…… 展開が重いよ……
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