異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第七章

十二話 【御礼と返礼の割合】

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羊の様な目で、惣一郎から目を離さないエレル。

惣一郎は盾と鉄球を出し、印を結ぶ。

食べていた魔獣の肉片と、ヨダレを飛ばしながら咆哮を上げるエレルは、惣一郎に駆け寄り、蹴り飛ばそうと跳ぶ。

盾で受けるヒヅメの蹴りを、惣一郎は何とか受け止める。

巨人の剣よりは軽いか?

鉄球がエレルを追い顔と腹にめり込むが、こちらも耐える!

エレルは後方に飛び、岩肌を蹴り高くまで上がると、真上から惣一郎を踏み付ける。

盾で防ぐも膝が折れそうだった。

「クソ、手加減してれば!」

惣一郎の叫びに鉄球が、容赦なくエレルを打ち付ける!

4つの鉄球の変則的な攻撃に、エレルも避けきれず背中を丸める。

そこに、以前買った防犯グッズのネットランチャーをエレルに向けて撃つと、ナイロンの丈夫な網が広がりエレルを捕らえ絡まる。

網から逃れようと暴れていたが、次第に諦め大人しくなる。

『ありがとう、惣一郎様』

え、コール?

ビルゲンが無言で歩き出し、エレルの前で服を脱ぎ始める。

10歳ぐらいの見た目の裸の少女は、魔獣エレルに触れると光だして、グラマラスな裸の成人女性が現れる。

モモもベンゾウも驚いている。

「申し訳ありません惣一郎様、騙す様な真似をして。改めて、私は[ビルゲン・エレル・ノイタジア]と申します」

羊の悪魔と一つに融合した、金髪のグラマラスな裸の美女。

「どうぞ僕の事は今まで通り、ビルゲンとお呼び下さい」

羊の様なツノを生やした、美しい女性がビルゲンを名乗る。

バオが「ビルゲン様、お召し物を」っとマジックバッグから服を取り出して、ビルゲンに着せる。

取り敢えず、昨夜の魔法陣スペースまで戻り、落ち着いて話を聞く事にする。




テントの中で、テーブルにお茶を出し話を聞く。

ベンゾウは興味なくクロと寝出した。

「惣一郎様を騙してしまい申し訳ありませんでした。まずはお詫びを、そして本当にありがとうございます」

バオは椅子に座らず、ビルゲンの後ろに控える。

まぁ、名前やバオの態度から、王族か貴族位の方なのはわかる。

聞けば、遠い[ゼリアオールス]と言う国の没落貴族だったそうだ。戦争の小競り合いで、裏切られたノイタジア家は貴族位を剥奪され、家族は処刑され、長年ノイタジア家に使えたバオが、ビルゲンを連れ逃げて来たとの事。

復讐を誓い、奪われた名誉と貴族位を取り戻す為に、資金集めにこの地で、冒険者になりダンジョンに通い始めたが、欲を出し6階層に行ったのが間違いで、ここでも仲間に裏切られる。

置き去りにされたふたりは、必死で逃げる為、力の半分を囮に逃げ延びる事が出来たが、半分のつもりで分けた身体は半身に多くの力を持っていかれ、子供の身体に魔力を収める程度になってしまい、自身では取り戻す事も出来なくなってしまったとの事。

「幼女の体では、六階層までなんて誰にも相手にして貰えず、理性を無くした半身を倒せる冒険者もいない。困っていた所に、惣一郎様に出会い恋に堕ちまして、正直に打ち明ける事も憚れ、今に至る次第でございます」

後半よく分からなかったが……

「喋らなかったのは?」

「喋ればビルゲン様は、すぐお立場がバレてしまわれますので」

ふむ……

「まぁ概ね事情はわかった。騙したのは許せないが、事情が分かったので今回は許す。それで今後はまた資金集めか?」

「ええ、お約束通り報酬はお支払い致します。良ければ僕の身体も……」

「いえ結構です」

「まぁ、つれない…… ふふ、こちらが報酬です。なので、またバオと一から頑張るしか無いですね!」

「ええビルゲン様、ノイタジア家の再建は諦める訳にはいきませんからね!」

「ええ、そうですね」

「そうか、まっ無茶はすんなよ、約束通り報酬は貰っとくよ」

そのまま、横の魔法陣で街に戻ると言うので見送る惣一郎達。

「ジビカガイライの皆様! 本当にありがとうございました。この御恩は決して忘れません。道中お気をつけて! ダンジョン初の踏破、皆様なら成せるでしょう! 最後に惣一郎様、もう一つだけ、もう一つだけお願いが御座います」

「聞くだけなら聞くが!」

「その……下着を……」

「断る! だが無一文じゃ可哀想だ、日持ちする食糧なら分けてやろう」

そう言うと惣一郎はバオのマジックバッグを預かりテントの中に戻る。

惣一郎はマジックバッグに食糧の他、受け取った4,758ギーと、ダンジョン産の黄金の盾を入れ、戻りバオに渡す。

「じゃ元気でな!」

「はい、惣一郎もお元気で!」

「惣一郎様、皆さまも、どうかお元気で」

「応援してます……頑張って…下さい」

「まったね~!」 ワン!

魔法陣が光だし、ふたりの姿が消える。

「さて、今日はもう休んで、明日から頑張りますか!」

「「 おお~! 」」 ワン!





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