128 / 409
第七章
十二話 【御礼と返礼の割合】
しおりを挟む
羊の様な目で、惣一郎から目を離さないエレル。
惣一郎は盾と鉄球を出し、印を結ぶ。
食べていた魔獣の肉片と、ヨダレを飛ばしながら咆哮を上げるエレルは、惣一郎に駆け寄り、蹴り飛ばそうと跳ぶ。
盾で受けるヒヅメの蹴りを、惣一郎は何とか受け止める。
巨人の剣よりは軽いか?
鉄球がエレルを追い顔と腹にめり込むが、こちらも耐える!
エレルは後方に飛び、岩肌を蹴り高くまで上がると、真上から惣一郎を踏み付ける。
盾で防ぐも膝が折れそうだった。
「クソ、手加減してれば!」
惣一郎の叫びに鉄球が、容赦なくエレルを打ち付ける!
4つの鉄球の変則的な攻撃に、エレルも避けきれず背中を丸める。
そこに、以前買った防犯グッズのネットランチャーをエレルに向けて撃つと、ナイロンの丈夫な網が広がりエレルを捕らえ絡まる。
網から逃れようと暴れていたが、次第に諦め大人しくなる。
『ありがとう、惣一郎様』
え、コール?
ビルゲンが無言で歩き出し、エレルの前で服を脱ぎ始める。
10歳ぐらいの見た目の裸の少女は、魔獣エレルに触れると光だして、グラマラスな裸の成人女性が現れる。
モモもベンゾウも驚いている。
「申し訳ありません惣一郎様、騙す様な真似をして。改めて、私は[ビルゲン・エレル・ノイタジア]と申します」
羊の悪魔と一つに融合した、金髪のグラマラスな裸の美女。
「どうぞ僕の事は今まで通り、ビルゲンとお呼び下さい」
羊の様なツノを生やした、美しい女性がビルゲンを名乗る。
バオが「ビルゲン様、お召し物を」っとマジックバッグから服を取り出して、ビルゲンに着せる。
取り敢えず、昨夜の魔法陣スペースまで戻り、落ち着いて話を聞く事にする。
テントの中で、テーブルにお茶を出し話を聞く。
ベンゾウは興味なくクロと寝出した。
「惣一郎様を騙してしまい申し訳ありませんでした。まずはお詫びを、そして本当にありがとうございます」
バオは椅子に座らず、ビルゲンの後ろに控える。
まぁ、名前やバオの態度から、王族か貴族位の方なのはわかる。
聞けば、遠い[ゼリアオールス]と言う国の没落貴族だったそうだ。戦争の小競り合いで、裏切られたノイタジア家は貴族位を剥奪され、家族は処刑され、長年ノイタジア家に使えたバオが、ビルゲンを連れ逃げて来たとの事。
復讐を誓い、奪われた名誉と貴族位を取り戻す為に、資金集めにこの地で、冒険者になりダンジョンに通い始めたが、欲を出し6階層に行ったのが間違いで、ここでも仲間に裏切られる。
置き去りにされたふたりは、必死で逃げる為、力の半分を囮に逃げ延びる事が出来たが、半分のつもりで分けた身体は半身に多くの力を持っていかれ、子供の身体に魔力を収める程度になってしまい、自身では取り戻す事も出来なくなってしまったとの事。
「幼女の体では、六階層までなんて誰にも相手にして貰えず、理性を無くした半身を倒せる冒険者もいない。困っていた所に、惣一郎様に出会い恋に堕ちまして、正直に打ち明ける事も憚れ、今に至る次第でございます」
後半よく分からなかったが……
「喋らなかったのは?」
「喋ればビルゲン様は、すぐお立場がバレてしまわれますので」
ふむ……
「まぁ概ね事情はわかった。騙したのは許せないが、事情が分かったので今回は許す。それで今後はまた資金集めか?」
「ええ、お約束通り報酬はお支払い致します。良ければ僕の身体も……」
「いえ結構です」
「まぁ、つれない…… ふふ、こちらが報酬です。なので、またバオと一から頑張るしか無いですね!」
「ええビルゲン様、ノイタジア家の再建は諦める訳にはいきませんからね!」
「ええ、そうですね」
「そうか、まっ無茶はすんなよ、約束通り報酬は貰っとくよ」
そのまま、横の魔法陣で街に戻ると言うので見送る惣一郎達。
「ジビカガイライの皆様! 本当にありがとうございました。この御恩は決して忘れません。道中お気をつけて! ダンジョン初の踏破、皆様なら成せるでしょう! 最後に惣一郎様、もう一つだけ、もう一つだけお願いが御座います」
「聞くだけなら聞くが!」
「その……下着を……」
「断る! だが無一文じゃ可哀想だ、日持ちする食糧なら分けてやろう」
そう言うと惣一郎はバオのマジックバッグを預かりテントの中に戻る。
惣一郎はマジックバッグに食糧の他、受け取った4,758ギーと、ダンジョン産の黄金の盾を入れ、戻りバオに渡す。
「じゃ元気でな!」
「はい、惣一郎もお元気で!」
「惣一郎様、皆さまも、どうかお元気で」
「応援してます……頑張って…下さい」
「まったね~!」 ワン!
魔法陣が光だし、ふたりの姿が消える。
「さて、今日はもう休んで、明日から頑張りますか!」
「「 おお~! 」」 ワン!
惣一郎は盾と鉄球を出し、印を結ぶ。
食べていた魔獣の肉片と、ヨダレを飛ばしながら咆哮を上げるエレルは、惣一郎に駆け寄り、蹴り飛ばそうと跳ぶ。
盾で受けるヒヅメの蹴りを、惣一郎は何とか受け止める。
巨人の剣よりは軽いか?
鉄球がエレルを追い顔と腹にめり込むが、こちらも耐える!
エレルは後方に飛び、岩肌を蹴り高くまで上がると、真上から惣一郎を踏み付ける。
盾で防ぐも膝が折れそうだった。
「クソ、手加減してれば!」
惣一郎の叫びに鉄球が、容赦なくエレルを打ち付ける!
4つの鉄球の変則的な攻撃に、エレルも避けきれず背中を丸める。
そこに、以前買った防犯グッズのネットランチャーをエレルに向けて撃つと、ナイロンの丈夫な網が広がりエレルを捕らえ絡まる。
網から逃れようと暴れていたが、次第に諦め大人しくなる。
『ありがとう、惣一郎様』
え、コール?
ビルゲンが無言で歩き出し、エレルの前で服を脱ぎ始める。
10歳ぐらいの見た目の裸の少女は、魔獣エレルに触れると光だして、グラマラスな裸の成人女性が現れる。
モモもベンゾウも驚いている。
「申し訳ありません惣一郎様、騙す様な真似をして。改めて、私は[ビルゲン・エレル・ノイタジア]と申します」
羊の悪魔と一つに融合した、金髪のグラマラスな裸の美女。
「どうぞ僕の事は今まで通り、ビルゲンとお呼び下さい」
羊の様なツノを生やした、美しい女性がビルゲンを名乗る。
バオが「ビルゲン様、お召し物を」っとマジックバッグから服を取り出して、ビルゲンに着せる。
取り敢えず、昨夜の魔法陣スペースまで戻り、落ち着いて話を聞く事にする。
テントの中で、テーブルにお茶を出し話を聞く。
ベンゾウは興味なくクロと寝出した。
「惣一郎様を騙してしまい申し訳ありませんでした。まずはお詫びを、そして本当にありがとうございます」
バオは椅子に座らず、ビルゲンの後ろに控える。
まぁ、名前やバオの態度から、王族か貴族位の方なのはわかる。
聞けば、遠い[ゼリアオールス]と言う国の没落貴族だったそうだ。戦争の小競り合いで、裏切られたノイタジア家は貴族位を剥奪され、家族は処刑され、長年ノイタジア家に使えたバオが、ビルゲンを連れ逃げて来たとの事。
復讐を誓い、奪われた名誉と貴族位を取り戻す為に、資金集めにこの地で、冒険者になりダンジョンに通い始めたが、欲を出し6階層に行ったのが間違いで、ここでも仲間に裏切られる。
置き去りにされたふたりは、必死で逃げる為、力の半分を囮に逃げ延びる事が出来たが、半分のつもりで分けた身体は半身に多くの力を持っていかれ、子供の身体に魔力を収める程度になってしまい、自身では取り戻す事も出来なくなってしまったとの事。
「幼女の体では、六階層までなんて誰にも相手にして貰えず、理性を無くした半身を倒せる冒険者もいない。困っていた所に、惣一郎様に出会い恋に堕ちまして、正直に打ち明ける事も憚れ、今に至る次第でございます」
後半よく分からなかったが……
「喋らなかったのは?」
「喋ればビルゲン様は、すぐお立場がバレてしまわれますので」
ふむ……
「まぁ概ね事情はわかった。騙したのは許せないが、事情が分かったので今回は許す。それで今後はまた資金集めか?」
「ええ、お約束通り報酬はお支払い致します。良ければ僕の身体も……」
「いえ結構です」
「まぁ、つれない…… ふふ、こちらが報酬です。なので、またバオと一から頑張るしか無いですね!」
「ええビルゲン様、ノイタジア家の再建は諦める訳にはいきませんからね!」
「ええ、そうですね」
「そうか、まっ無茶はすんなよ、約束通り報酬は貰っとくよ」
そのまま、横の魔法陣で街に戻ると言うので見送る惣一郎達。
「ジビカガイライの皆様! 本当にありがとうございました。この御恩は決して忘れません。道中お気をつけて! ダンジョン初の踏破、皆様なら成せるでしょう! 最後に惣一郎様、もう一つだけ、もう一つだけお願いが御座います」
「聞くだけなら聞くが!」
「その……下着を……」
「断る! だが無一文じゃ可哀想だ、日持ちする食糧なら分けてやろう」
そう言うと惣一郎はバオのマジックバッグを預かりテントの中に戻る。
惣一郎はマジックバッグに食糧の他、受け取った4,758ギーと、ダンジョン産の黄金の盾を入れ、戻りバオに渡す。
「じゃ元気でな!」
「はい、惣一郎もお元気で!」
「惣一郎様、皆さまも、どうかお元気で」
「応援してます……頑張って…下さい」
「まったね~!」 ワン!
魔法陣が光だし、ふたりの姿が消える。
「さて、今日はもう休んで、明日から頑張りますか!」
「「 おお~! 」」 ワン!
24
お気に入りに追加
1,858
あなたにおすすめの小説
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる