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第七章

十一話 【最後の晩餐】

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大きな扉を開けると広い空間に、双頭の巨人が佇む。

石の大剣を持つ巨人は、離れた場所から剣を振ると突風に乗って地面の小石が飛んでくる。

それを惣一郎とモモが前で、盾を構えて守る。

バオの光矢が巨人の左の顔に刺さる。

嫌がる巨人は剣を振りかぶり、惣一郎達との距離を、数歩で詰める。

ベンゾウが飛び、巨人は全員を一片に薙ぎ払うつもりで振りかぶった剣を遠心力に乗せる。

バゴン!っと大きな音を立て剣を受け止める惣一郎は、苦悶表情で踏ん張る!

2m程ずり下がる。

黒いオーラをメラメラ漂わせながらベンゾウは、國家と國千代で斬り刻みながら、巨人の背後を落ちて行く。

巨人は堪らず振り返り、背中に無数の切り傷を負わせた相手を追うが、少女を見つける事が出来ず、ベンゾウは着地した場所から前に、巨人の左足首を切る。

アキレス腱を切られ膝を突く巨人が、体を支えようと地面に手を着く。

そこを狙ってか、着いた手首もベンゾウが小刀で深く斬りつける。

二つの首が同時に声を上げると、惣一郎のオレンジに光る苦無が4本、巨人のふたつの頭を貫通する。

地面が揺れるほどの衝撃で倒れる巨人は、そのまま消えて行く。

その跡には宝箱と魔石が落ちていた。

「す、すごい……」

つい漏れたバオの言葉に、頷くビルゲン。

お褒めにまんざらでもない顔の惣一郎が、魔石を拾い宝箱の前でモモを見る。

コクン

中身は、本? 魔導書?

ビルゲンが慌てて近づき確認する。

すると何故か、後ろのバオが説明する。

「ダンジョン産の魔導書は、確実に覚える事が出来る上級魔法です。しかもコレは……[グラビティー]」

バオの話では、このグラビティーの魔法は、自分の身体限定だが自在に重さを変えられる魔法との事。

ただ魔力消費が大きい……

売れば相当な額になるそうだが…… 保留で!

ビルゲンが欲しそうに指を咥えて惣一郎を見る。

いやいや流石にコレは、やらんよ!

奥の階段を降りて行き、魔法陣のスペースで休憩する。

ダンジョン内よりここの方が、魔物も出ないし安心出来ると、今更気付く惣一郎だった。

いよいよ六階層だな……

どちらにしろ、バオとビルゲンとはここで別れる事になるだろう。

惣一郎は、最後の晩餐に、大奮発と焼き肉を選ぶ。

カセットコンロ数台と鉄板を出した時点で、バオ達以外が目の色を変える。

さぁ諸君、存分に味わいたまえ!

豪華な晩餐(奪い合い)は、遅くまで続いた……




階段を降りて行くと、六階層は広い洞窟であった。

バオ達に、仲間のエレルと別れた場所を聞くと、毎回道が変わるので確かでは無いがと、案内を始める。

進んでも不思議と、この階層には魔物が出なかった。

惣一郎も、前回バオ達が襲われた魔獣を警戒して、いつでも戦える準備はしていた。

しかし何も出ない……

すると、モモより先に声上げるバオが、

「近いです!」

何が?

遅れてモモが「先に何か居ます!」

だから何が?

先の開けた場所に着くと、羊の顔で、大きなオッパイを出した女性の上半身に、獣の様な下半身の悪魔に似た魔物が、他の魔獣を食べていた。

「惣一郎! 騙していて申し訳ありません! ですがお願いです! あれを殺さずに捕らえて欲しいのです! ギルドで見た冒険者を倒した様に」

「はい?」

「お願いです、あれがエレル…… いえ、ビルゲン様の本体なのです!」

余計に分からん……

すると、悪魔の様な魔獣エレルが、こちらに気付く!

ベンゾウが腰の小刀に手を伸ばすと、惣一郎が止める。

「殺すなってさ……」

やれやれだぜ。





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