108 / 409
第六章
二十一話 【ロウガの恩返し】
しおりを挟む
ギルド内が騒がしく、ざわつき始める。
ジビカガイライの事は受付の子も、噂は聞いていた。
そこに騒ぎを聞き、ハゲ頭で片目の屈強そうな男が現れる。
「何の騒ぎだ!」
眼帯の男に縋る様に、固まっていた受付の子が「マスター!」っと説明を始める。
左側の胸から首、顔、左目と大きな1本の古傷のある怖そうな坊主の男が、ここダンジョンの街のギルドを仕切る、ギルドマスターだった。
ギルマスは話の途中で状況を理解したのか「惣一郎殿ですね?」っと、こちらに話しかけて来た。
「私はこのギルド、ガーデイル支部の責任者で[トルト]と申します。惣一郎殿の事はエリリンテ教国、カーマの町のギルドマスターであるロウガから、話は色々と聞いております。詳しくは部屋の方で……」
誰だっけ?
トルトが2階の部屋へと案内してくれる。
ギルド内は静まり返っていた。
部屋に入ると、豪華なソファーとテーブルが並び「どうぞお座り下さい」とギルマスも腰を下ろす。
「惣一郎殿はコールと言う魔法をご存知ですかな?」
「ええ、離れた相手と話せる生活魔法ですね」
「そうです、だが離れた相手と言っても2~30m程度しか届かない使い所が限られる魔法です。ですが、ある程度強力な魔石を割りその片方づつ魔石のかけらを持つと、驚くほど遠くの相手と話せるのです。ご存じでしたか?」
そんな裏技があるのか!
なるほど元は同じ魔石同士…… 共鳴と指向性を持つ魔石ならではの話だな。
ギルマスは、アルミの様な金属に覆われた赤い石の付いたペンダントを外し、テーブルに置く。
「これは、私のかつての仲間と4つに分けあった魔石でしてね。その一つを惣一郎殿がお救い下さった、エリリンテのカーマの町に住むギルドマスターのロウガが持っておるのです」
「あっ、ツギートの街のギルマスだったロウガさんか! 思い出した思い出した」
「がっははは~! そうですそのロウガです。ロウガ殿はあなたとの約束を破ってまで、各地の仲間に惣一郎殿の助けになる様、伝えて来たんですよ。勿論内緒で。大変感謝してましたよ」
「そうだったんですね……」
ロウガさんグッジョブ!
「ジビカガイライのお強さも聞いております…… 惣一郎殿なら問題は無いでしょうが、ダンジョンは未だよくわかっていない謎の多い魔物です。決して無理だけはしないとお約束頂けるのでしたら、3人で潜る事を許可する様、手を打ちましょう」
「ええ、助かります」
「いえ、私も見てみたいのです。ロウガが言う貴方が、このガーデイルのダンジョンを踏破する所をね」
「ありがとうございます。でも期待はしないで下さい、飽きたらやめるので」
その後、申請許可に3日かかる事など、雑談に花を咲かせ、部屋を出る。
一階に戻ると、恒例のヒソヒソ話が聞こえてくる。
「ヒソヒソ……戻って来たぞ、鉄壁の魔導士が……あのギルマスの優しい喋り方聞いたかよ! よっぽど恐ろしいんだなジビカガイライは……閃光の乙女って、ありゃゴーグルか? 変なの!」
「フゥッーー!!」
ベンゾウを取り押さえてギルドを出る……
ま、これで問題は解決したな! いよいよダンジョンだ。
ジビカガイライの事は受付の子も、噂は聞いていた。
そこに騒ぎを聞き、ハゲ頭で片目の屈強そうな男が現れる。
「何の騒ぎだ!」
眼帯の男に縋る様に、固まっていた受付の子が「マスター!」っと説明を始める。
左側の胸から首、顔、左目と大きな1本の古傷のある怖そうな坊主の男が、ここダンジョンの街のギルドを仕切る、ギルドマスターだった。
ギルマスは話の途中で状況を理解したのか「惣一郎殿ですね?」っと、こちらに話しかけて来た。
「私はこのギルド、ガーデイル支部の責任者で[トルト]と申します。惣一郎殿の事はエリリンテ教国、カーマの町のギルドマスターであるロウガから、話は色々と聞いております。詳しくは部屋の方で……」
誰だっけ?
トルトが2階の部屋へと案内してくれる。
ギルド内は静まり返っていた。
部屋に入ると、豪華なソファーとテーブルが並び「どうぞお座り下さい」とギルマスも腰を下ろす。
「惣一郎殿はコールと言う魔法をご存知ですかな?」
「ええ、離れた相手と話せる生活魔法ですね」
「そうです、だが離れた相手と言っても2~30m程度しか届かない使い所が限られる魔法です。ですが、ある程度強力な魔石を割りその片方づつ魔石のかけらを持つと、驚くほど遠くの相手と話せるのです。ご存じでしたか?」
そんな裏技があるのか!
なるほど元は同じ魔石同士…… 共鳴と指向性を持つ魔石ならではの話だな。
ギルマスは、アルミの様な金属に覆われた赤い石の付いたペンダントを外し、テーブルに置く。
「これは、私のかつての仲間と4つに分けあった魔石でしてね。その一つを惣一郎殿がお救い下さった、エリリンテのカーマの町に住むギルドマスターのロウガが持っておるのです」
「あっ、ツギートの街のギルマスだったロウガさんか! 思い出した思い出した」
「がっははは~! そうですそのロウガです。ロウガ殿はあなたとの約束を破ってまで、各地の仲間に惣一郎殿の助けになる様、伝えて来たんですよ。勿論内緒で。大変感謝してましたよ」
「そうだったんですね……」
ロウガさんグッジョブ!
「ジビカガイライのお強さも聞いております…… 惣一郎殿なら問題は無いでしょうが、ダンジョンは未だよくわかっていない謎の多い魔物です。決して無理だけはしないとお約束頂けるのでしたら、3人で潜る事を許可する様、手を打ちましょう」
「ええ、助かります」
「いえ、私も見てみたいのです。ロウガが言う貴方が、このガーデイルのダンジョンを踏破する所をね」
「ありがとうございます。でも期待はしないで下さい、飽きたらやめるので」
その後、申請許可に3日かかる事など、雑談に花を咲かせ、部屋を出る。
一階に戻ると、恒例のヒソヒソ話が聞こえてくる。
「ヒソヒソ……戻って来たぞ、鉄壁の魔導士が……あのギルマスの優しい喋り方聞いたかよ! よっぽど恐ろしいんだなジビカガイライは……閃光の乙女って、ありゃゴーグルか? 変なの!」
「フゥッーー!!」
ベンゾウを取り押さえてギルドを出る……
ま、これで問題は解決したな! いよいよダンジョンだ。
24
お気に入りに追加
1,858
あなたにおすすめの小説
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる