異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

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第六章

三話 【異種族の壁】

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「見た 強い 仲間 助かる」

現れたマーマンが、助けを求めて来てる事は理解できた。

だがそれ以外が全く解らなかった……

「えっと、それで誰を助けたいの?」

「仲間」

「どうしたの?」

「仲間 危険 助けて 頼む」

………

ダメだ、さっぱり解らん!

「君の名前は?」

「名前?」

「君の事、仲間はいつもなんて呼んでるの?」

「コイツ?…… あ、お前!」

…………

どうやらマーマンに名前は無いらしい……

どうすればいいんだ、この状況。

「何があったの、仲間に?」

「仲間 騙された 助けたい」

「誰に騙されて今何処で何してるの?」

「……悪い奴 騙され 奴隷なった 死ぬ」

なんとなくだが、状況が少し解ってきた惣一郎は、どうしたものか考えていた。

取り敢えず腹が減ったので後日!って訳には行かないよな~

「腹 減ってる」

……………

そのまま食堂に行くが、マーマンはお断りと追い出され、広場の露店で買った物をみんなで食べていた。

クロの食べ物にまで手を伸ばし、吠えられるマーマンに惣一郎は『これ、助けるまで付き纏う気なのかな……』と不安になる。

行って暴れて奴隷解放は、簡単だろうがこの国で早くも犯罪者にはなりたくは無いし……

「仲間の特徴は? 見てすぐわかる特徴」

「同じ マーマン!」

「だろうね……」

その後、苦労して聞き出した特徴は片腕だった。

今朝見たマーマンだろうか?

ここで少し待つ様に言い、惣一郎は今朝目撃した連れて行かれた建物へと向かう。

建物に入ると、手揉みしながらすぐ話しかけて来る奴隷商の男。

「いらっしゃいませ! 奴隷をお求めで? ブロ狩り用でしたら、いいマーマンが入っておりますが」

ちょび髭で小太りの男はニコニコと胡散臭い笑顔で、惣一郎を物色していた。

「ん~ 見せてもらえますか?」

もちろんでございます!っと火傷しそうなほど手揉みしながら個室に案内され、連れて来たのは8人のマーマンだった。

全員騙されたのだろうか?

その中に片腕のマーマンはいなかった。

奴隷商の男は、ニコニコしながらどれもブロ狩りには良い囮っぷりなんだと説明し、一匹300ギーと値段を言って来た。

ベンゾウより高いが、奴隷としては安い金額に買って解放する方が早い気がする惣一郎であった。

この世界で完全に金銭感覚が狂った惣一郎は、初対面のマーマンの頼みに300万出してもいいかと思っているのだが、目的の片腕では無い。

「貸し出しもやっているのですか?」

っと聞く惣一郎に奴隷商の男は「ちっ!」と舌打ちをして「貸し出しは右のカウンターです」と笑顔が消える。

軽くイラッとする惣一郎は、個室を出て右のカウンターで貸し出し可能なマーマンを見たいと聞くと、鎖で繋がれた片腕のマーマンを連れて来た。

ビンゴ!

一日3ギーで、死なせたり逃すと違約金として500ギーの誓約書を書かされるそうで、借りるだけで3ギーか…… っと悩む惣一郎の金銭感覚は理解できなかった。

悩んだ末、一日契約をすると明日の夕方までに返却を約束させられ、鎖を渡される。

反抗的なマーマンを連れて広場に戻る。

「あんた!」

「お前! なぜ? ここに」

っと、シュールな再会劇が始まる。

少し観劇すると驚く事に、この二匹が夫婦だった事が分かる!

依頼者は女? マーメイド? メスだったの……

「折角の再会を邪魔して悪いが、まだ助かっていない。明日には戻らないと行けないんだ。お前は何をして奴隷に?」

「俺 奴隷 違う 奴隷は あんた」

「俺が 奴隷 お前 コイツ」

ますます混乱して来た惣一郎は、マーマンに名前を付ける事にする。

片腕の奴隷が[カツオ]依頼者のメスが[ワカメ]と……

「カツオ 俺 カツオ!」

「ワカメ…… ワカメ!」

喜ぶ2匹に、頑張って事情を聞き出す。

陽はそこまで落ちていた。





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