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第五章
五話 【失敗したんじゃ無い!】
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惣一郎は東にある[港町セルロイ]を目指す。
荷車に乗ってのんびりと、丘を登る道を進む。
このくらいの登りはクロにとって、平坦な道と変わりなかった。
丘を登った所に大きな岩が道の横に立っていた。
ふと、惣一郎はこんな丘の頂上に、この大きな岩はどうやって来たのか気になった。
岩があった場所の周りが削れて丘になったのか?
どうでもいい事に悩んでいると、その岩影から4人の男が現れた。
盗賊の様です。
男達は剣を構え、ひとりは杖を構える。
荷車に乗った、ただのおっさんと小娘に見えたのだろう。
ま、実際そうなんだが。
盗賊はニヤニヤしながら、
「いい荷車だな、高く売れそうだ!」
っと余裕を見せる。
杖を構えた男がアイスジャベリンを唱え、宙に傘ぐらいの氷柱が現れ、惣一郎めがけ飛んで来る。
が、盾で斜めに受けると氷柱は外れて後ろに落ちる。
なっ!っと声を漏らす男の、杖を持つ腕も地面に落ちる。
叫びながら肩を押さえてしゃがみ込む男。
すでにベンゾウが斬っていた。
そのベンゾウは他の男の後ろから、首元に小刀を突き付ける。
「なぁ、あんたらじゃその子に敵わないよ! こんな事やめて、ちゃんと働きなよ」
惣一郎は殺したくなくて言っていたが、わかってやっている盗賊には、馬鹿と言われた様なものだった。
ベンゾウの前の男が振り向き様に剣を走らせるが、風を切る音だけで、そこにベンゾウはおらず、振り抜いた剣の勢いごと腰から上が回って離れ落ちる。
ベンゾウはまた、もう1人の男の後ろから同じように小刀を首元に突きつけていた。
汗が止まらない残りの男達は、剣を捨てる。
惣一郎は武器を全部出す様に命令する。
その武器全部を収納するとベンゾウを呼び、またのんびり荷車で進み出す。
生き残った3人は、見えなくなるまでずっと惣一郎から目を離さなかった。
緩やかに丘を下り、木々が増えていく景色。
道は森を避ける様に北へ伸びていく。
港は森を抜けた先にあるので、ここで二択を迫られる。
のんびり遠回りするか、森を徒歩で抜けて近道を選ぶか。
「ベンゾウさん、どっちがいい?」
以前の惣一郎なら迷わず迂回しただろう。
「ベンゾウ、魚食べたい」
いや、魚ならいつでもスキルで買えるので、食べてますけど…… こっちの魚は違うのだろうか?
まぁ、ベンゾウが言うのなら近道と、森を歩く事にする。
大きな立派な木々が陽の光を遮り、足元は緑の苔が支配している森を、クロを先頭に歩いて行く。
鳥や動物の鳴き声も聞こえるジャングルを、探検する気分でしばらく進んで行くと、先が明るく開けていた。
アレもう終わり?
明るい場所に出ると崖になっており、崖の下には森本番が広がっていた。
どう降りるか悩んでいると、クロとベンゾウはシュタシュタと岩肌を蹴って降りて行ってしまった。
残された惣一郎は丈夫なロープを購入して木に結び、ゆっくりと降りていく。
ベンゾウにだいぶ遅れて下まで来ると、七匹のグルピーが血を流し倒れていた。
襲った相手が悪かったのだろう。
白いのは流石にいなかった。
グルピーを収納して、流石に疲れた惣一郎はまだ早いが、テント出して今晩はここで野営しようと中に入る。
夜の森は賑やかだった。
虫や動物の鳴き声のほか、大きな足音や魔物の叫ぶ様な声も聞こえて来ていた。
そんな中テントでは、呑気にシチューを煮込んでる。
漏れ出す匂いに近くの動物が寄って来ていたが、迷彩柄のテントを見つける事はできないでいた。
野菜たっぷりのホワイトシチューを、パンにつけながら食べる満足そうな惣一郎とは別に「こんなのカレーじゃない!」っと不満そうな割に、スプーンが止まらないベンゾウ。
最近では同じ食事をするクロは無言で食べていた。
最後までカレーの失敗作と勘違いしているベンゾウは、膨れた腹を出し、唸りながらベッドで横になっている。
惣一郎はみんなに、クリーンをかけて明かりを消す。
荷車に乗ってのんびりと、丘を登る道を進む。
このくらいの登りはクロにとって、平坦な道と変わりなかった。
丘を登った所に大きな岩が道の横に立っていた。
ふと、惣一郎はこんな丘の頂上に、この大きな岩はどうやって来たのか気になった。
岩があった場所の周りが削れて丘になったのか?
どうでもいい事に悩んでいると、その岩影から4人の男が現れた。
盗賊の様です。
男達は剣を構え、ひとりは杖を構える。
荷車に乗った、ただのおっさんと小娘に見えたのだろう。
ま、実際そうなんだが。
盗賊はニヤニヤしながら、
「いい荷車だな、高く売れそうだ!」
っと余裕を見せる。
杖を構えた男がアイスジャベリンを唱え、宙に傘ぐらいの氷柱が現れ、惣一郎めがけ飛んで来る。
が、盾で斜めに受けると氷柱は外れて後ろに落ちる。
なっ!っと声を漏らす男の、杖を持つ腕も地面に落ちる。
叫びながら肩を押さえてしゃがみ込む男。
すでにベンゾウが斬っていた。
そのベンゾウは他の男の後ろから、首元に小刀を突き付ける。
「なぁ、あんたらじゃその子に敵わないよ! こんな事やめて、ちゃんと働きなよ」
惣一郎は殺したくなくて言っていたが、わかってやっている盗賊には、馬鹿と言われた様なものだった。
ベンゾウの前の男が振り向き様に剣を走らせるが、風を切る音だけで、そこにベンゾウはおらず、振り抜いた剣の勢いごと腰から上が回って離れ落ちる。
ベンゾウはまた、もう1人の男の後ろから同じように小刀を首元に突きつけていた。
汗が止まらない残りの男達は、剣を捨てる。
惣一郎は武器を全部出す様に命令する。
その武器全部を収納するとベンゾウを呼び、またのんびり荷車で進み出す。
生き残った3人は、見えなくなるまでずっと惣一郎から目を離さなかった。
緩やかに丘を下り、木々が増えていく景色。
道は森を避ける様に北へ伸びていく。
港は森を抜けた先にあるので、ここで二択を迫られる。
のんびり遠回りするか、森を徒歩で抜けて近道を選ぶか。
「ベンゾウさん、どっちがいい?」
以前の惣一郎なら迷わず迂回しただろう。
「ベンゾウ、魚食べたい」
いや、魚ならいつでもスキルで買えるので、食べてますけど…… こっちの魚は違うのだろうか?
まぁ、ベンゾウが言うのなら近道と、森を歩く事にする。
大きな立派な木々が陽の光を遮り、足元は緑の苔が支配している森を、クロを先頭に歩いて行く。
鳥や動物の鳴き声も聞こえるジャングルを、探検する気分でしばらく進んで行くと、先が明るく開けていた。
アレもう終わり?
明るい場所に出ると崖になっており、崖の下には森本番が広がっていた。
どう降りるか悩んでいると、クロとベンゾウはシュタシュタと岩肌を蹴って降りて行ってしまった。
残された惣一郎は丈夫なロープを購入して木に結び、ゆっくりと降りていく。
ベンゾウにだいぶ遅れて下まで来ると、七匹のグルピーが血を流し倒れていた。
襲った相手が悪かったのだろう。
白いのは流石にいなかった。
グルピーを収納して、流石に疲れた惣一郎はまだ早いが、テント出して今晩はここで野営しようと中に入る。
夜の森は賑やかだった。
虫や動物の鳴き声のほか、大きな足音や魔物の叫ぶ様な声も聞こえて来ていた。
そんな中テントでは、呑気にシチューを煮込んでる。
漏れ出す匂いに近くの動物が寄って来ていたが、迷彩柄のテントを見つける事はできないでいた。
野菜たっぷりのホワイトシチューを、パンにつけながら食べる満足そうな惣一郎とは別に「こんなのカレーじゃない!」っと不満そうな割に、スプーンが止まらないベンゾウ。
最近では同じ食事をするクロは無言で食べていた。
最後までカレーの失敗作と勘違いしているベンゾウは、膨れた腹を出し、唸りながらベッドで横になっている。
惣一郎はみんなに、クリーンをかけて明かりを消す。
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