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第五章

二話 【祭りに浮かれて!】

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のんびりと林の中の道を、荷車に揺られている。

クロも歩くペースでのんびりと進む。

まったりとした時間が心地よい午後であった。

そこに久々のモンスター登場。

七匹のゴブリンが武器を持ち荷車を囲み出した、クロも惣一郎も慌てる様子はない。

すでに荷台にベンゾウがなかったからだ。

かかれ!っと言っているのか「ケギャー!」っとナイフを振りかざす、ゴブリンのリーダーには誰も従わず、バタバタ崩れ落ちる6匹のゴブリン。

驚くそのリーダーの背後からベンゾウが、横を普通に通り過ぎて戻ってくると、ゴブリンのリーダーも崩れ落ちる。

少し気の毒になる。

一応、討伐証明の耳を切り取り、道の端に死体を寄せて、またのんびり歩き出す。

惣一郎はベンゾウの小刀の切れ味に、違和感を感じる。

「刃、研いだの?」

ベンゾウは、一度も研いでないと答える。

どういう事? どう見ても切れ味増してるよね? 

ベンゾウにも分からないそうだ。

また謎が増えた瞬間だった……




その晩テントで食事をした後、ベンゾウに小刀を見せてもらう。

怪しく鈍く光る、國政一門の小柄小刀、美善國家と美善國千代は、刃こぼれひとつしておらず。

美しい刃紋にうっすらと黒いオーラを漂わせていた。

なんだこれ…… 絶対おかしいわ……

あんなに使い込んで一度も研いで無いのに、こんな綺麗な訳がないぞ!

すると、惣一郎の手に持つ小刀から発した黒いオーラが、惣一郎の指に触れ、気が付くと血を流していた。

「國千代、めっ!」

っと、ベンゾウが叱るとオーラが引いていく。

ヤバいな……

惣一郎の知らない所で知らない事が、知らないうちに起きていた。

そっとベンゾウに返して「大事にしなさい」っと、考えるのをやめた。




翌日ものんびり、林を抜け平原を進む。

平原をしばらく進むと巨大な牛、ノイテがいた。

見たからには冒険者がほっとく訳にはいかない。

また、炊き出しが必要になるかも知れないし、早速狩って行こうと、クロに頼む。

近づいても草を食べ続けるノイテを、あっさり二匹、ベンゾウが倒し収納する。

キャンプで食べたノイテは美味かった。

惣一郎達は、またのんびり進み始める。




暗くなる頃、遠くに街の明かりが見えた。

見えたがまだ遠い距離だったので、近くで野営し、明日ルドの街に入る事にした。

夕食は、タルタルソースたっぷりのチキン南蛮で、口の周りにたっぷり付けたベンゾウが、クロに襲われていた。

食後には風呂に入り、アイスとビールで夕涼み。

ルドの街を楽しみに、寝に入る。



深夜、近くを馬に乗った大勢の騎士が、慌ただしく通り過ぎて行った音に起きる惣一郎だったが、ベンゾウは爆睡中。

この子、すぐ反応して起きる時もあれば、今日みたいに気にせず寝続ける時もあり、漫画の様に殺気の様な敵意でも感じ取れるのだろうか?

クロは馬の足音に起きていた。


翌朝のんびりと、ルドの街に向かう惣一郎。

平原の中、大きな壁に囲まれた街に着いたのは、お昼前だった。

壁の前の大きな堀に跳ね上げ橋がかかっており、奥の門にはバリケードと門番が数人、槍を持って街の出入りに目を光らせている。

挨拶をしてカードを見せると、意外と友好的な対応で、優しく街に入れてくれた。

人は見かけによらないものだ。

外の往来は少なかったが、街の中は厄災の件でか、お祭りの様な賑わいを見せていた。

本来なら冒険者は、真っ先にギルドへ向かうものなのだろうが、惣一郎達はノイテは非常食にキープ、ゴブリンの討伐証明もアイテムボックスなら腐らないのでいつでもいいと、特に売るものも無いし、用がないので真っ直ぐ街中へ向かった。

いい匂いの漂う露店を見て周り、音楽が聴こえ、ところ構わず踊る人々を見ながら、本当にお祭りを楽しんでいる様子だった。

北京ダックの様な飴色に焼かれた肉を、野菜と薄いパンに挟んで食べる食べ物を食べながら、久しぶり宿に泊まるか考えていた。

ひとつ前の街では食料がなく困っていたのに、ここには豊富に売るほどある事が謎だったが、これからは流通も行き渡って行くだろうと、野菜などの食材を中心に買い込んでいく。

店の並びに魔導書店もあり、入口の黒板にお品書きが書かれていた。

販売中の魔法の名前が並んでいた黒板に、おすすめ[テレキシス]と書かれていた。

テレキシス? テレキネシスの事か? 念動力の……

興味が湧いた。

惣一郎は店に入り、カウンターに座る20代後半の男に、おすすめについて尋ねると愛想よく、魔法で印を付けた無生物を浮かせる魔法だと教えてくれた。

ただ、物が複雑に動く物だったり重い物は、魔力消費も大きいそうだ。

「なるほど、面白い!」

「そ、そうだろ、お客さん分かってくれるか! この魔法の良さが全然わかってもらえなくてさぁ~ 売れないったらありゃしね~」

魔法で印を付けた物を浮かせる魔法は、ここでは不評なのだそうだ。

使い方次第では面白いのになぁ……

「いくら?」

一冊20ギーで在庫は27冊との事。

やっちゃおうかなぁ~ ニヤ。

「では、いただこう!」

店員は喜んで「毎度あり!」っと裏から10冊ほど、いきなり持ってくる。

「馬鹿にして、すぐ覚えてやる!」っとフラグを立てた様で、

覚えたのは、17冊目でした……

340万も使ったアホは、さらに、ウォーター12ギーにも手を出した。

毎回街で汲むのも面倒臭くなって来たからだ。

こっちは4回目で覚えた。

ニッコニコの店員に388ギーも払ってしまった。

お金を持つと人間ダメになるいい例である。

店を出て、惣一郎は結構魔法も充実して来た自分に、ちょっと嬉しそうだった。

クリーン改とキュア、ウォーターにテレキシス。

4つも魔法を持ってる人は中々いないだろう!

ここまで馬鹿もそういないだろう……





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