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第四章

二十八話 【異文化コミュニケーション】

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道が悪く荷車が使えない……

仕方なくココからは歩きだ。

ツギートの街を目指し、岩だらけの草原を歩いて行くと、大きな川が見えて来る。

スワロが、あの川の上流に登って行くとツギートの街があると、やけに張り切っている。


スワロは、

『私は、惣一郎殿に厄災の話するのを躊躇っていた。無理と断られるのが怖かった。でも勇気を出してよかった! 話をしてもあの余裕だ、秘策をお持ちなのだろう! 私は間違っていなかった! 惣一郎殿なら…… 愛するこの方なら!』



張り切るスワロに付いて行くと、竹林が現れる。

知ってる竹の倍はあろう、太く長い竹林が風で揺れている。

その竹林を川沿いに登って行くと、先に大きな影が動いていた。

「何かいるぞ!」

構える惣一郎は、影の正体に驚く。

パンダだ……

服を着たパンダであった。

「あれは獣人[トート族]ですね。大丈夫、友好的な方々ですよ」

青く若い竹を、ナタで切り集めているパンダが、こちらに気付く。

「おや、冒険者?」

「ええ、こんにちは。ツギートを目指している冒険者です」

っと、スワロが挨拶する。

惣一郎は喋ったパンダに失礼に映っただろう顔をしていた。

「あっはっは、トート族は初めてかな? 最近では珍しいね~」

「あ、すいません。初めてでしたので…… 申し訳ない」

「いやいや、お気になさらず! 我々は数も少ないですからね~ 昔からよく驚かれていたので、気にしませんよ! 中にはグルピーと勘違いして襲って来る人もいますしね」

服を着たパンダは、めっちゃいい人だった……

人?

「ツギートまで、まだまだ先は長い。良ければ我々の集落で休んでいかれては?」

喜んで招待に応じた! 

惣一郎はパンダが切り集めた竹を運びます!と、スキルで収納する。

驚くパンダにキュンキュンしながら、後をついて行く。



竹林の中をしばらく進むと集落が見えて来る。

竹で出来ている家が数軒並び、服を着たパンダが生活していた。

スカートを履いたパンダもいる! 

久々にテンションの上がる、惣一郎だった。

「おや[ター]お客さんかね?」

見た目には同じパンダが現れ、惣一郎達と一緒に来たパンダに話しかける。

「ええ、長老。ツギートまで行くそうですので休んでいく様、お誘いしました」

「それはそれは、私はこの集落の長で[サー]と言います。どうぞゆっくり休んでいかれるといい」

「ありがとうございます。甘えさせて頂きます」

すると、服も似たような色で襟のないボタンのついたシャツを着ているパンダが集まって来る。

惣一郎には、ズボンとスカートの区別しかつかなかった。

「へ~ 冒険者? 最近では珍しいね」

っと集まって来た、違うパンダ。

ワイワイ話すパンダの群れに、笑顔で答えて自己紹介をする惣一郎だったが、すでに誰がターかもわからない。

「ター! [スー]が、竹はまだかと探していたぞ!」

「そうだター、どこに出せばいい? この竹」

「私は[ミー]ですよ」

………

「ははは、私がターですよ。こちらにお願いします」

ターに案内された場所に竹を出し、家に招かれた。

家の中は竹で出来た椅子とテーブル、ベッドだろう笹が敷き詰められていた。

椅子にすわるとターがお茶を淹れてくれ、竹の湯呑みでいただく。

松の様な青臭いお茶だがほんのり甘く、クセになる味だった。

「食事は我々とは合わないですが、このお茶ならいくらでも!」

ターに、トート族のここでの暮らしや食事について、色々と話を聞かせてもらい、異文化交流は時間を忘れすっかり暗くなっていた……




空き家を一軒使っていいと勧められ、案内してもらう。

テントを出すには十分な広さだったので、お礼を言い、今夜はここで寝る事にする。




朝起きると、クロとベンゾウが外で子供のパンダと仲良く遊んでいた。

「おはよう、良く寝れたかね?」

「おはようター、おかげさまで!」

「いえ、私は[ニー]ですよ」

………

ターは朝早く水を汲みに、ミーと出かけたそうだ。





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