59 / 409
第四章
二十八話 【異文化コミュニケーション】
しおりを挟む
道が悪く荷車が使えない……
仕方なくココからは歩きだ。
ツギートの街を目指し、岩だらけの草原を歩いて行くと、大きな川が見えて来る。
スワロが、あの川の上流に登って行くとツギートの街があると、やけに張り切っている。
スワロは、
『私は、惣一郎殿に厄災の話するのを躊躇っていた。無理と断られるのが怖かった。でも勇気を出してよかった! 話をしてもあの余裕だ、秘策をお持ちなのだろう! 私は間違っていなかった! 惣一郎殿なら…… 愛するこの方なら!』
張り切るスワロに付いて行くと、竹林が現れる。
知ってる竹の倍はあろう、太く長い竹林が風で揺れている。
その竹林を川沿いに登って行くと、先に大きな影が動いていた。
「何かいるぞ!」
構える惣一郎は、影の正体に驚く。
パンダだ……
服を着たパンダであった。
「あれは獣人[トート族]ですね。大丈夫、友好的な方々ですよ」
青く若い竹を、ナタで切り集めているパンダが、こちらに気付く。
「おや、冒険者?」
「ええ、こんにちは。ツギートを目指している冒険者です」
っと、スワロが挨拶する。
惣一郎は喋ったパンダに失礼に映っただろう顔をしていた。
「あっはっは、トート族は初めてかな? 最近では珍しいね~」
「あ、すいません。初めてでしたので…… 申し訳ない」
「いやいや、お気になさらず! 我々は数も少ないですからね~ 昔からよく驚かれていたので、気にしませんよ! 中にはグルピーと勘違いして襲って来る人もいますしね」
服を着たパンダは、めっちゃいい人だった……
人?
「ツギートまで、まだまだ先は長い。良ければ我々の集落で休んでいかれては?」
喜んで招待に応じた!
惣一郎はパンダが切り集めた竹を運びます!と、スキルで収納する。
驚くパンダにキュンキュンしながら、後をついて行く。
竹林の中をしばらく進むと集落が見えて来る。
竹で出来ている家が数軒並び、服を着たパンダが生活していた。
スカートを履いたパンダもいる!
久々にテンションの上がる、惣一郎だった。
「おや[ター]お客さんかね?」
見た目には同じパンダが現れ、惣一郎達と一緒に来たパンダに話しかける。
「ええ、長老。ツギートまで行くそうですので休んでいく様、お誘いしました」
「それはそれは、私はこの集落の長で[サー]と言います。どうぞゆっくり休んでいかれるといい」
「ありがとうございます。甘えさせて頂きます」
すると、服も似たような色で襟のないボタンのついたシャツを着ているパンダが集まって来る。
惣一郎には、ズボンとスカートの区別しかつかなかった。
「へ~ 冒険者? 最近では珍しいね」
っと集まって来た、違うパンダ。
ワイワイ話すパンダの群れに、笑顔で答えて自己紹介をする惣一郎だったが、すでに誰がターかもわからない。
「ター! [スー]が、竹はまだかと探していたぞ!」
「そうだター、どこに出せばいい? この竹」
「私は[ミー]ですよ」
………
「ははは、私がターですよ。こちらにお願いします」
ターに案内された場所に竹を出し、家に招かれた。
家の中は竹で出来た椅子とテーブル、ベッドだろう笹が敷き詰められていた。
椅子にすわるとターがお茶を淹れてくれ、竹の湯呑みでいただく。
松の様な青臭いお茶だがほんのり甘く、クセになる味だった。
「食事は我々とは合わないですが、このお茶ならいくらでも!」
ターに、トート族のここでの暮らしや食事について、色々と話を聞かせてもらい、異文化交流は時間を忘れすっかり暗くなっていた……
空き家を一軒使っていいと勧められ、案内してもらう。
テントを出すには十分な広さだったので、お礼を言い、今夜はここで寝る事にする。
朝起きると、クロとベンゾウが外で子供のパンダと仲良く遊んでいた。
「おはよう、良く寝れたかね?」
「おはようター、おかげさまで!」
「いえ、私は[ニー]ですよ」
………
ターは朝早く水を汲みに、ミーと出かけたそうだ。
仕方なくココからは歩きだ。
ツギートの街を目指し、岩だらけの草原を歩いて行くと、大きな川が見えて来る。
スワロが、あの川の上流に登って行くとツギートの街があると、やけに張り切っている。
スワロは、
『私は、惣一郎殿に厄災の話するのを躊躇っていた。無理と断られるのが怖かった。でも勇気を出してよかった! 話をしてもあの余裕だ、秘策をお持ちなのだろう! 私は間違っていなかった! 惣一郎殿なら…… 愛するこの方なら!』
張り切るスワロに付いて行くと、竹林が現れる。
知ってる竹の倍はあろう、太く長い竹林が風で揺れている。
その竹林を川沿いに登って行くと、先に大きな影が動いていた。
「何かいるぞ!」
構える惣一郎は、影の正体に驚く。
パンダだ……
服を着たパンダであった。
「あれは獣人[トート族]ですね。大丈夫、友好的な方々ですよ」
青く若い竹を、ナタで切り集めているパンダが、こちらに気付く。
「おや、冒険者?」
「ええ、こんにちは。ツギートを目指している冒険者です」
っと、スワロが挨拶する。
惣一郎は喋ったパンダに失礼に映っただろう顔をしていた。
「あっはっは、トート族は初めてかな? 最近では珍しいね~」
「あ、すいません。初めてでしたので…… 申し訳ない」
「いやいや、お気になさらず! 我々は数も少ないですからね~ 昔からよく驚かれていたので、気にしませんよ! 中にはグルピーと勘違いして襲って来る人もいますしね」
服を着たパンダは、めっちゃいい人だった……
人?
「ツギートまで、まだまだ先は長い。良ければ我々の集落で休んでいかれては?」
喜んで招待に応じた!
惣一郎はパンダが切り集めた竹を運びます!と、スキルで収納する。
驚くパンダにキュンキュンしながら、後をついて行く。
竹林の中をしばらく進むと集落が見えて来る。
竹で出来ている家が数軒並び、服を着たパンダが生活していた。
スカートを履いたパンダもいる!
久々にテンションの上がる、惣一郎だった。
「おや[ター]お客さんかね?」
見た目には同じパンダが現れ、惣一郎達と一緒に来たパンダに話しかける。
「ええ、長老。ツギートまで行くそうですので休んでいく様、お誘いしました」
「それはそれは、私はこの集落の長で[サー]と言います。どうぞゆっくり休んでいかれるといい」
「ありがとうございます。甘えさせて頂きます」
すると、服も似たような色で襟のないボタンのついたシャツを着ているパンダが集まって来る。
惣一郎には、ズボンとスカートの区別しかつかなかった。
「へ~ 冒険者? 最近では珍しいね」
っと集まって来た、違うパンダ。
ワイワイ話すパンダの群れに、笑顔で答えて自己紹介をする惣一郎だったが、すでに誰がターかもわからない。
「ター! [スー]が、竹はまだかと探していたぞ!」
「そうだター、どこに出せばいい? この竹」
「私は[ミー]ですよ」
………
「ははは、私がターですよ。こちらにお願いします」
ターに案内された場所に竹を出し、家に招かれた。
家の中は竹で出来た椅子とテーブル、ベッドだろう笹が敷き詰められていた。
椅子にすわるとターがお茶を淹れてくれ、竹の湯呑みでいただく。
松の様な青臭いお茶だがほんのり甘く、クセになる味だった。
「食事は我々とは合わないですが、このお茶ならいくらでも!」
ターに、トート族のここでの暮らしや食事について、色々と話を聞かせてもらい、異文化交流は時間を忘れすっかり暗くなっていた……
空き家を一軒使っていいと勧められ、案内してもらう。
テントを出すには十分な広さだったので、お礼を言い、今夜はここで寝る事にする。
朝起きると、クロとベンゾウが外で子供のパンダと仲良く遊んでいた。
「おはよう、良く寝れたかね?」
「おはようター、おかげさまで!」
「いえ、私は[ニー]ですよ」
………
ターは朝早く水を汲みに、ミーと出かけたそうだ。
29
お気に入りに追加
1,858
あなたにおすすめの小説
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる