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第四章
二十五話 【法律厳守!】
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林を抜け、大きな岩の転がる丘を惣一郎が走る。
早朝からずっと走っている。
いくら元の世界の自転車が、こちらの世界で早く軽く走れても、長時間休まず走れば疲れる。
惣一郎がここまで、キャラにない事をする理由が本人にも分かっていなかったが、急がないと行けない、それだけは間違いないと強く感じていた。
その甲斐あってか、遠くに町が見えて来た。
国境を挟むこちら側の町で間違い無いだろう。
更にスピードを上げる!
町に近付くと、外に大きな白い犬を連れた人影が見えた。
自転車を降り、ポンチョを脱ぎ捨てる!
「クロ…… スワ……ロ!」
クロが気付き走り寄る。
スワロが歓喜し、泣きながら走ってくる。
もうひとりは……
「惣一郎殿~ よがったぁぁぁ~!」
泣きじゃくるスワロは惣一郎に抱きつき、クロも体全体で喜んでいる。
「よ、よか…た…… あえ…て…… ハァハァ」
息が切れる惣一郎。
「ハァハァ、べ、ベンゾウ…は?」
「べんがどのたいへで、づが、まっで、ヒック」
泣きじゃくるスワロが何言ってるのか、分からなかった。
周りにもベンゾウはいない。
まさかが頭から離れない!
「スワロ… 落ち…けつ……」
お前もだ……
「ごっぎょうでづがま、で」
??
「ヒッ! ベンゾウ、殿が…… ヒッ、捕まったぁ……」
はい?
だめだ分からん!
惣一郎の胸で泣きじゃくるスワロが、落ち着くのに時間がかかったが状況は掴めた。
スワロが言うには、魔法陣で俺が飛ばされた後、ふたりはパニックになったが、魔法陣を発動させた元が残っていたので、後を追おうとベンゾウがトラップを起動させるも、壊れており動かなかった。
スワロが調べて転移トラップの解析を始めたら、東に飛ばす様な仕組みって事しか分からず、兎に角、惣一郎殿は東に飛ばされたと、エリリンテを目指し始めた。
ベンゾウは泣きながら、スワロと国境を目指すと警備隊に止められ。
スワロは通れるが、惣一郎が居ないと奴隷は国境を越える事が出来なかったのだ。
状況を説明するも通して貰えず、ベンゾウが暴れ出した。
警備隊を殺してしまう勢いだったが、スワロが惣一郎が悲しむと止める。
だがすでに怪我人が多数出ており、ベンゾウは泣きながら捕まってノイデン側で牢に入っている。
スワロは動けず惣一郎なら、きっとここを目指すと信じて、毎日町の外でクロと待っていた…… と言う事らしい。
取り敢えず無事なので安心した。
すぐにベンゾウを助けに行かねば!
国境警備隊の所に出向き、身分証を見せて事情を説明すると、そのままノイデン側の警備責任者が現れ、面会を許可してもらった。
警備宿舎の地下にある牢に、怪我をしたベンゾウが入っていた。
「ベンゾウ!」
気付くベンゾウはメガネも割れ、顔も怪我が酷く全身血だらけで、泣きながら、
「ごでゅじんだま~」
っと、鉄格子を挟み抱き合うふたり。
「ひどい怪我だ…… 誰にやられた!」
惣一郎も怒り心頭だ。
このままこの国境を潰しても後悔しない程に。
すると、警備隊のひとりが、
「そいつ牢に入れてもずっと暴れてたんだよ。助けに行かなきゃって、とんでもないガキだ、大勢にケガさせて。規則は規則だ。奴隷ひとり国境を通す事は出来ない」
鉄格子に血が付いている……
「うちの奴隷が迷惑かけた。出してもらえるか?」
すると、警備責任者が、
「怪我人が大勢出てるんだ、裁判官の指示で、騎士が今向かっている。[アロウの街]まで輸送され、そこで裁判になるだろう」
「損害は俺が持つ、今すぐベンゾウを出してくれ!」
「俺も事情は聞いた。だが法は法なのだ。」
クソ…… 理屈が分かるだけに納得がいかない。
どうすれば……
早朝からずっと走っている。
いくら元の世界の自転車が、こちらの世界で早く軽く走れても、長時間休まず走れば疲れる。
惣一郎がここまで、キャラにない事をする理由が本人にも分かっていなかったが、急がないと行けない、それだけは間違いないと強く感じていた。
その甲斐あってか、遠くに町が見えて来た。
国境を挟むこちら側の町で間違い無いだろう。
更にスピードを上げる!
町に近付くと、外に大きな白い犬を連れた人影が見えた。
自転車を降り、ポンチョを脱ぎ捨てる!
「クロ…… スワ……ロ!」
クロが気付き走り寄る。
スワロが歓喜し、泣きながら走ってくる。
もうひとりは……
「惣一郎殿~ よがったぁぁぁ~!」
泣きじゃくるスワロは惣一郎に抱きつき、クロも体全体で喜んでいる。
「よ、よか…た…… あえ…て…… ハァハァ」
息が切れる惣一郎。
「ハァハァ、べ、ベンゾウ…は?」
「べんがどのたいへで、づが、まっで、ヒック」
泣きじゃくるスワロが何言ってるのか、分からなかった。
周りにもベンゾウはいない。
まさかが頭から離れない!
「スワロ… 落ち…けつ……」
お前もだ……
「ごっぎょうでづがま、で」
??
「ヒッ! ベンゾウ、殿が…… ヒッ、捕まったぁ……」
はい?
だめだ分からん!
惣一郎の胸で泣きじゃくるスワロが、落ち着くのに時間がかかったが状況は掴めた。
スワロが言うには、魔法陣で俺が飛ばされた後、ふたりはパニックになったが、魔法陣を発動させた元が残っていたので、後を追おうとベンゾウがトラップを起動させるも、壊れており動かなかった。
スワロが調べて転移トラップの解析を始めたら、東に飛ばす様な仕組みって事しか分からず、兎に角、惣一郎殿は東に飛ばされたと、エリリンテを目指し始めた。
ベンゾウは泣きながら、スワロと国境を目指すと警備隊に止められ。
スワロは通れるが、惣一郎が居ないと奴隷は国境を越える事が出来なかったのだ。
状況を説明するも通して貰えず、ベンゾウが暴れ出した。
警備隊を殺してしまう勢いだったが、スワロが惣一郎が悲しむと止める。
だがすでに怪我人が多数出ており、ベンゾウは泣きながら捕まってノイデン側で牢に入っている。
スワロは動けず惣一郎なら、きっとここを目指すと信じて、毎日町の外でクロと待っていた…… と言う事らしい。
取り敢えず無事なので安心した。
すぐにベンゾウを助けに行かねば!
国境警備隊の所に出向き、身分証を見せて事情を説明すると、そのままノイデン側の警備責任者が現れ、面会を許可してもらった。
警備宿舎の地下にある牢に、怪我をしたベンゾウが入っていた。
「ベンゾウ!」
気付くベンゾウはメガネも割れ、顔も怪我が酷く全身血だらけで、泣きながら、
「ごでゅじんだま~」
っと、鉄格子を挟み抱き合うふたり。
「ひどい怪我だ…… 誰にやられた!」
惣一郎も怒り心頭だ。
このままこの国境を潰しても後悔しない程に。
すると、警備隊のひとりが、
「そいつ牢に入れてもずっと暴れてたんだよ。助けに行かなきゃって、とんでもないガキだ、大勢にケガさせて。規則は規則だ。奴隷ひとり国境を通す事は出来ない」
鉄格子に血が付いている……
「うちの奴隷が迷惑かけた。出してもらえるか?」
すると、警備責任者が、
「怪我人が大勢出てるんだ、裁判官の指示で、騎士が今向かっている。[アロウの街]まで輸送され、そこで裁判になるだろう」
「損害は俺が持つ、今すぐベンゾウを出してくれ!」
「俺も事情は聞いた。だが法は法なのだ。」
クソ…… 理屈が分かるだけに納得がいかない。
どうすれば……
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