異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第四章

二十三話 【突然の別れ!】

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またいつも通りの朝を迎え、旅に戻る。

スワロも一晩で、すっかり体力は回復していた。

ベンゾウとクロは言うまでもない。

惣一郎は若干疲れが残るが、旅に支障が出る程ではなかった。

以前に比べれば、飛躍的に体力が向上している!

っという訳でもなく、ただ単に元の世界の靴の性能がこちらで上がっているのが大きかった。



木漏れ日が暖かく降り注ぐ林の中を、クロの引くリアカーが颯爽と進むと「あっ!」っと、ベンゾウが林の中を指差す。

指差す方向には、透明なガラスの様な立派なツノの鹿、バイソリズーがいた!

素早くリアカーを収納し、みんなで林の中を追いかける。

高額な獲物に惣一郎は、興奮状態だった。

クロとベンゾウが左右から回り込み、遺跡の中に追い込む。

ジリジリと四方から追い詰めていく3人と1匹。

追い詰めた惣一郎が遺跡の床石を踏むと、足元に魔法陣が現れ、惣一郎が突然消えた!

一瞬の事だった。

「ご主人様!!」






雨が降るぬかるみに座り込む惣一郎。

「どこだここ…… 病院じゃ… ない?」

辺り一面草むらで見渡す限り何も無い。

突然飛ばされた惣一郎は、何故ここにいるのか理解出来ずにいた。

ゆっくりと立ち上がり雨の中、自分の格好に驚き混乱する……

「なにこの服…… えっ何処?」

しばらく固まる惣一郎は、あてもなく歩き出す。

すでに全身濡れ鼠で……

確か、2組のヒロくんが僕のカードを……

雨で濡れた草むらで、足が重い。

明日が面接で……

雨が上がり、雲の隙間から光が溢れ、草の水滴がキラキラと輝き出す。

綺麗な所だな~ 写真撮っとくか……

しかしスマホも見当たらない。

なんで俺はこんな泥だらけなんだ?

「クリーン」

!!!!

当たり前の様に咄嗟に使った魔法で、惣一郎の記憶が繋がっていく。

「ベンゾーーーーーーーーーォ!」

何処だ、何処に向かう!

全て思い出した惣一郎は、あの魔法陣が例の転移トラップと考え、まずは現在地の確認に慌てる!

ガムシャラに走り回るが、人影も建造物もない。

惣一郎はこんな状況でもスキルがあるので、やっていけるだろう。

問題はあいつらだ!

「何処だ、何処だ!」




辺りはすっかり暗くなり、星が足元を照らす。

惣一郎はあてもなく、ずっと歩き続けていた。

とんでもなく遠くならどうする……

世界そのものが違ってたら……

星空を見上げ、惣一郎がいた元の世界でない事はわかる。

魔法も使えるんだ、馬鹿か俺は!



空が薄明るくなる頃、先に道が見える。

右か左かも分からないが考えても解らない、ただ立ち止まってもいられない!

スキルで購入した自転車を出し、漕ぎ始める。



ひたすら自転車を漕ぎ、すっかり陽も高くなった頃、前方に村を見つける!

すがる思いで、全力で走る惣一郎。

村につくと息を切らしながら、見つけた村人に話しかける!

「す、すまん…… 教えてくれ、ハァハァ、ここは、ココは何処だ! ハァハァ」

ハァハァ言いながら何言ってるんだ?っと驚く村の男は、ここが[ザイの村]だと教えてくれた。

もっと詳しく知りたいと詰め寄る惣一郎に、男は「エリリンテ教国のザイの村だよ!」っと、もう他をあたれ!っという態度で去ろうとする。

「すまん…… 頼む、もう一つ…… ハァハァ。ノイデンとの国境は…… どう行けば……」

男はうんざりしながらも「西に行けばあるよ!」っと声を荒げる。

惣一郎は「ありがとうありがとう」っと、大袈裟なほど感謝して、西を目指しまた走り出す。



自転車で暗くなるまで走ると、流石に疲れ意識が遠くなる。

俺が倒れるわけにはいかないと潔くテントを出して、飯を詰め込みベッドに横になる…… 

だが、体は疲れているのに不安と興奮で寝付けなかった。

朝方1時間ほど意識を無くした惣一郎は、また西を目指し自転車を漕ぎ始める。

途中、冒険者の一行とすれ違うが、自転車を見られても気にしていられなかった。

「ベンゾウ…… ハァハァ、スワロ…… クロ……」

スローライフを忘れた惣一郎が、必死になって自転車を漕ぐ……





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