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第四章

二十一話 【慢心ランデブー】

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朝食の生姜焼きの匂いでふたりが起きる。

迷彩柄のテントは認識されづらいし、何かあればクロが吠えると安心しきっているふたりだった。

もう、センサーライトも使っていない。

起きたふたりにクリーンをかけ、ご飯をよそう。

食事をするふたりに「ファルネリって?」っと尋ねると、雪山に住む白い体毛に二足歩行、長く太い両腕の群れで行動する魔獣だそうだ。

山で一番、遭いたくない魔獣との事。

このファルネリは、兎に角素早い! 

白い雪山では同化して見失う事が多く、熟練の冒険者でも気を抜くとやられるそうだ。

知ってるなら、早めに教えてくれてもスワロさん……

「問題ない、私が全て焼き払おう!」

「ベンゾウが倒すの!」

………

ま、盛大にフラグが立ったし、出ると思って準備はしとくか。

食事を済ませるとテントを片付け、3人と1匹は歩くことにした。



雪道をザクザク歩き、山を登っていく。

道は次第に雪でわからなくなり、開けた雪原へと景色を変える。

雪の積もった岩がゴロゴロしてる雪原で、さっそくフラグ回収です。

白いゴリラがこちらを見ていました。

ファルネリだろうゴリラは、惣一郎と背丈は変わらない大きさで「オウオウ」と鳴き、仲間が集まり始める。

数はざっと十三匹、これならスワロだけでも十分かな? 

スワロが亜流美を構え、青い火柱が上がる!

地面に!

躱したのか! あの魔法を? 

スワロも動揺し、連続で火柱を上げる。

5発撃って当たったのは二匹だけだった。

その間にもゴリラは近づいて来る!

確かに白くて見づらい!

ベンゾウが走るが雪に足を取られ、いつものスピードが出ない!

それでも、ゴリラは血しぶきを上げる。

動揺するスワロはもう息が上がっている。

「スワロ、電撃だ!」

はっ!っと気付いてライトニングを唱える!

電撃は避けるゴリラを追う様に曲がり、命中する! 

ドッゴーン、ゴロゴロゴロ。

ベンゾウは見失ってるのか、まだ二匹目だ。

クロも一匹を追って行き、白く見失う。

惣一郎はライフルを取り出してゴリラに撃ちまくる!

トトトトトトトト!っと、ペイント弾だ。

当たったゴリラの白い毛は、青く色づく。

ベンゾウは青い的にどんどん斬りかかり、スワロも電撃を撃ちまくる。

雷鳴が鳴り響く中、最後の一匹をベンゾウが斬る。

危なかった……

スワロもホッとし、ベンゾウは青いのが見えた!っと喜んでいたが、ハァハァと息が荒い。

猿撃退用のエアガンが役に立った。

ホッとするも目の前のベンゾウの耳が、ピクっと動き、すぐこちらに顔を向け、鋭い目線をなげて来た瞬間!

惣一郎は後ろからドンっと強い衝撃を受ける!

姿勢を崩すも耐えれる衝撃だったが、理解が遅れた。

振り向くと、ファルネリがもう一匹いた! 

ゴリラは惣一郎に2発目のパンチを出そうと拳を振り上げていた。

いつの間にこんな近くに!

咄嗟に左腕でガードしようとするが、顔を思いっきり殴られ、そのまま後ろに倒れる惣一郎!

防護服着ていてもファルネリのパンチは重かった。

倒れた瞬間ベンゾウが上を飛び越えて、ゴリラを袈裟斬りにする。

スワロが気づいて、亜流美を構える間の出来事だった。

「ご主人様!」

「惣一郎殿!」

顔を殴られて倒れたが、痛みは我慢できた。

「大丈夫!」

遅れて遠くからクロが、倒したファルネリを一匹咥え戻って来た。

お前も頑張ってたのね……

痛みよりショックを受けていた惣一郎は、防護服着てなかったら首吹っ飛んでいたと、ゾッとする。

また現れるかもしれないとふたりに言い聞かせ、ファルネリを回収して歩き出す。

周りに注意しながら……




雪原を抜けしばらく進むと雪が少なくなり、道が見え降り始めた。

下り坂で歩くペースは早くなり、次第に雪は日陰にも見なくなっていく。

雪はもう、懲り懲りであった。

岩肌の窪みに開けたスペースがあったので、テントを出し休む事にする。

まだ陽は高いが下り坂でふくらはぎがパンパンになっていたのだ。

テントに入り疲れたと、3人は横になる。

クロは定位置で水をがぶ飲みしていた。

「ご主人様、顔大丈夫?」

っと、心配そうに覗き込んで来るベンゾウは、水で絞ったタオルを顔にあててきてくれた。

もっと絞ろうね! ビチャビチャだよ。

「ありがとな、痛みはもうほとんどないよ」

ホッとするベンゾウは、そのまま横に寝る。

「申し訳ない、私が力を過信したばかりに……」

こっちも面倒くせ~な……

「まさか魔法を避けるとは思わないよ、次頑張ろう!」

うるうるしながら、抱きついて来るスワロ。


狭い…… ベッド、でかくするかな~






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