異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第四章

十八話 【マジ、ぱっねえ!】

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朝食を済ませた惣一郎は、クロの頭を撫でようと手を伸ばす。

クロはその左手にガブっと噛み付く。

(なぜ食いちぎれないのだ!)

惣一郎はニコニコしながらスワロに、

「甘噛みして来たよ、歯が生え変わる子供なのかもな?」

っと勘違いしている。

スワロは苦笑いで内心『どう見ても成獣で、白いです』っと、まだ根に持っていた。

諦めたクロは、朝食のドッグフードを食べる。

テントを収納して道に戻り、クロに昨夜買った大型犬用のハーネスを付け、リアカーに繋ぐ。

惣一郎とスワロが荷車乗ると、ベンゾウがクロを誘導する。

「クロこっち!」

(なんなのだ? 引けと言うのか、この我に!)

「クロ、こっち!」

(ふん、誰が引くものか……)

「クロ!」っとベンゾウは腰の國家をチラッと抜くと、クロは素直に歩き始めた。

坂道をスイスイと順調に登る荷車。

正解だったな!っと、惣一郎は満足そうであった。

クロは妙に軽い荷車に違和感を覚えながら、ベンゾウの後をついて歩く。

スワロは荷台に行儀良く座り、

『絶対、ノイゲンシターの方が格好良いのに、白いし!』

っと、まだ根に持っていた。




ベンゾウは拾った枝を先頭で振り回し、子分ができた様で嬉しそうに先頭を歩く。

しばらく、林の中の登り坂を進むと「ドスン! バキバキバキ」っと、木の倒れる音がした。

ベンゾウが止まり耳ピクピク動かして辺りを窺うと、ドスンドスンと足音の様に聞こえる音が徐々に近づいて来る。

冒険者の顔になるベンゾウ。

惣一郎とスワロもリアカーから降り、構える。

「ご主人様[トロール]です」

ベンゾウが叫ぶ!

4m以上はある裸の巨人が、三匹も現れた!

腰に布を巻き、動物の骨を腰に下げ、太った筋肉質の巨人。

泥で汚れた体で手には、太い木を削り出した様な鈍器を持っていた。

クロは震えていた。

犬神の天敵であった。

トロールは犬神を捕食する魔獣で、それが三匹も! 

荷車に縛られて逃げる事も出来ない!

クロに気付いたトロールが近付くと、惣一郎が涼しい声で、

「ひとり一匹づつだな」っと、向かって行く。

クロの思考が止まった。

ベンゾウが一番奥のトロールの、武器を持った腕を肘から切り落としていた!

そのトロールが叫ぶ前に、左のトロールの胸に青い炎槍が刺さり、爆炎をあげ燃え出すと、追加で2本3本と青い炎槍が突き刺さる!

先頭のトロールは後ろの惨状に気付かず、振り上げた棍棒を惣一郎に振り下ろす!

ドスンっと盾で軽く受け止め、トロールの足にスタンガンを押しあてる惣一郎。

バリバリバリ!っと顔から煙をあげ、ゆっくり膝を突き前に倒れる。

それと同時に、後ろの腕を無くしたトロールの首も落ちる。

あっという間の出来事だった。


今のクロの心境を、現代風に訳すとこうだ。

『ええええ! ちょまって、なにこれ、マジやばいんですけど! ウチらの牙も通らない分厚い皮膚を、あんな簡単に切るっておかしくない? この娘の動き、マジ見えないし。それになにあの魔法! あんな連続で詠唱はどうしたの? 忘れたの? 火力もおかしいってマジで! タフで恐れられてるトロールよ、魔法いくら撃ったって、日サロ行くレベルのはずじゃね! この姉さんもどうかしてるってマジおかしい! それに超しんじらんないのがこの地味な兄さんよ、普通受ける? いやいや無理無理、ぜって~無理っしょ! 普通受けたら潰れるわ! あの大きさよ! マジないわ~ んで最後のは何よ! 触っただけよ? 触っただけ! 中身焦げてるっぽいけど何したのこれ、わっかんない、マジわっかんね~ 最悪、マジ吐きそうなんですけどゲロゲロ~』

クロが3人に、忠誠を誓った瞬間であった……



「これ、売れるの?」

「ええ、トロールの皮はとても丈夫で、防具に使われます。惣一郎殿のその外套もトロールの皮ですよ!」

そうなんだ…… キモッ。

三匹を収納するとベンゾウが、肉は不味いっとぼやく。

スワロに「電撃使わなかったね?」っと聞くと、トロールに電撃は普通効きません! 惣一郎殿のそれがおかしいと言っていた。

トロールね……

これは聞いた事ある名前だわ。

「クロ、怖がらせたな~ もう大丈夫だからな」

頭を撫でると素直に尻尾を振る、クロなのである……






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