異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第四章

十五話 【ベンゾウのおねだり!】

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チーム登録を見送った3人は、街で食事をしようと出てきた。

明日には立つ予定なので、せっかくだからこの街の味を覚えて行こうと、街で人気の食堂に向かっている。

お目当ての食堂は、大きな倉庫跡を食堂にした様な外観に、テーブルが並ぶ店内には人が溢れていた。

ここはサリンのシチューが人気らしく、ベンゾウが良く捕まえるウサギの様な魔獣を、初めて食べてみる事に。

店内も、このシチュー目当ての客がほとんどみたいで、期待できる。

運ばれてきたシチューの見た目はビーフシチューの様だった。

黒いパンと酸っぱいサラダでセットでお味は……

うん、美味い! 

異世界に来てから食べた中で一番美味い。

予想と遠く離れず濃厚なシチューに、クセのないサリンの肉は相性も良く、パンも見た目ほど悪くなく香ばしいパンであった。

セットで2ネル5ぺスと安くは無いが、また来たいと思わせる味であった。



街をぶらつきながらふたりに明日出るので、何かいる物があればと尋ねる。

スワロは特に無いそうだが、珍しくベンゾウが欲しい物があると言う。

そうそう、遠慮しなくていいんだぞ!

ベンゾウが昨日見かけた雑貨を売る露店を探していたが、露店なので今日もあるかが怪しい。

場所が変わってるかもしれないと、露店の並ぶエリアを3人で、のんびり歩いていた。

見つけたベンゾウが走り出して、ふたりも後を追う。

装飾品が多く目立つ雑貨屋だった。

「ご主人様、これ三つ!」

三個も? なるほどみんなでお揃いにしたいらしい。

可愛いやつめ。

ベンゾウが選んだのは、この世界ではメジャーな幸運のまじないがかけられてる、ミサンガの様な物に銀のプレートがついていて、こちらの言葉が書かれていた。

店員にお金を払いベンゾウが色違いで三つ選ぶ。

嬉しそうに一つを自分の左手首に巻き出して、スワロに縛ってと頼む。

今度は惣一郎の左手に巻き出してベンゾウが縛り、スワロの左手に縛るよう惣一郎に渡す。

お揃いなのを喜ぶ少女は、分厚いメガネでニコニコしていた。

惣一郎とスワロも笑顔に釣られてほっこりする。




倉庫に戻り風呂の準備をする惣一郎。

各々自分の時間を過ごす。

ベンゾウはニコニコと腕のミサンガを見ている。

スワロは何やら書き物をしていた。

惣一郎は新たに出した、ソファーに腰掛けていた。

このミサンガ[レーテウル]と言うそうで、ちゃんと祈祷師の様な人が、幸運の祝詞をあげて作るのだそうで、ただ幸運の対象が個人ではなく、世界に向けて!っと壮大なスケールなのだ。

赤い羽根募金を思い出す。

お湯が沸いたので湯船に足し、入浴剤を入れる。

風呂に入った後クリーンをかけると、入浴剤も消えて綺麗なお湯に戻るので毎回必要になる。

先にふたりを入らせて、惣一郎は最後にのんびり浸かる。

片付けもあるので……

まったりと、レイトール最後の夜を過ごす。

スローライフ万歳。




早朝まだ空が薄暗い時間に、セミダブルのベッドで窮屈さを感じ、またかと起きる惣一郎。

外の簡易トイレで用を済ませ、クリーンをかけて朝食の準備を始めると、匂いにつられてふたりも起きる。

朝食は簡単な月見うどん。

ベンゾウは+おにぎり。

食後そのまま出発の準備をし、倉庫の鍵を返して、朝早くからあちこちで煙の上がるレイトールの街を出る。

目指すは遠くに見える、ゴルドー山。




大きな街道から細い横道に入り、緩やかに登る林の中を進む。

坂がいくら緩やかでも、長く続くと流石にこたえる。

「ハァハァ、惣一郎殿?」

「ハァハァ、なんすかスワロさん?」

「ベンゾウ殿は…… なぜあんなに元気なんですか?」

「その疑問は…… 俺も今、考えていた所です」

だめだ、疲れた休憩します!っと、声をあげ座り込む惣一郎。

よかった…… っと、スワロも道脇に座り込む。

ベンゾウは小走りで戻ってきて、

「ご主人様、荷車! ベンゾウが引くよ!」

ベンゾウの優しい提案。

確かにこのリアカーなら重くないし、ベンゾウなら苦でもないだろう。

ただ、絵面的にどうなのだ……

ベンゾウの申し出をありがたく受け入れ、リアカーを出す。

惣一郎とスワロを乗せて、坂道をスイスイ進むリアカー。

林の中の緩やかに登る道を、笑顔でリアカーを引く少女。

それに乗る外道ふたりの図は、人に見られたくないものであった。

「あっ、サリン!」

出てきた兎をすぐさま仕留めるベンゾウさん。

引き手を急に無くしたリアカーは、ふたりを乗せたまま勢いよく坂を下り、方向を変え木に激突!

投げ出されたスワロに覆いかぶさる様に、柔らかな二つの山に惣一郎は埋もれていた。

「ご主人様、ごめんなさい!」

うん、大丈夫……

危ないからもういいよと断るが、やや強引にベンゾウはまた、リアカーを引く。

「ベンゾウ殿、次何か出たら私の魔法に任せてください」

「うん!」っと、楽しそうにリアカーを引く少女。

お笑いのお約束じゃないからね!





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