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第四章
九話 【決戦!】
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[オークの王]は動けなかった。
右には仲間をたやすく焼き殺す魔女が杖を構え。
左には全てを切り裂く魔剣を持つ幼い戦士。
正面には得体の知れない目を離せない男がいた。
唯一後ろに道はあるが、オークに後退はない。
王が一人になっても……
惣一郎は動けなかった。
スワロはもう打ち止めなのに、杖を構え脅しになっている…… 流石だ。
ベンゾウは疲れ息が荒い…… すでに数十匹を倒し、気力で立っているのだろう。
隙を見せれば一瞬でやられる空気だ。
考えろ惣一郎、どう動く……
「最後だ、踏ん張れ!」
惣一郎の大声は、仲間への喝か、自分への気合いか、開始のゴングとなった!
遅れてオークの王も雄叫びを上げ、両手の剣で惣一郎に切り掛かる!
ベンゾウが左から主人を守る為に斬りかかるが、オークの剣で弾かれる!
スピードが落ちていたのだ。
だが武器の差が出た。
左の剣を半分に折っていた!
右からスワロも最後の気力を振り絞り、発動した小さな魔法は、オークの右目を焼き、一瞬の隙を作る!
そのふたりの攻撃で、惣一郎は立つ時間が稼げた。
巨人の右から振り下ろされた剣を惣一郎は盾で受け止める!
膝が崩れそうになる重さに踏ん張る惣一郎。
すぐ後ろには怪我をした女性がいる!
すぐにオークの左の折れた剣が、惣一郎を刺そうとするが、右を受けた盾で振り払い、空いたオークの腹にもう片方の手に隠し持っていた、スタンガンを突き付ける!
バリバリバリバリーー!
目や口から煙を登らせ、焦げたオークは固まっていた。
この世界でスタンガンは、雷に打たれた様なものだった。
固まるオークの首の後ろで、ベンゾウの小刀が弧を描くと、ゆっくりと首が前に落ちる……
「だぁ! 疲れた~ 数多すぎるって!」
雨の中、びしょ濡れの3人が座り込む。
意識の無い女性も怪我をしてるが、無事の様だ。
これ、討伐部位集めるのも大変だな~
降る雨が気持ち良く、3人はしばらく動かなかった。
近くにテントを出し、泥だらけの3人と怪我人にクリーンをかける。
怪我人をベットに寝かせ、スワロに任せる。
ベンゾウと頭痛のする惣一郎は、雨具を着てオークの討伐部位になる耳を切り集める。
オークは全部で38体。
一匹に逃げ回っていたあの頃が懐かしい。
そしてこのオークの王は、軍が出動するレベルだと言うが、最初から王一匹なら3人の敵ではなかっただろう。
だが、蟻と同じで徒党を組んで一匹の生命体なのだ、王が一匹でいる事はない。
こんな強さもあるのだと惣一郎は学んだ。
せっかく集めた耳だが、これギルドに出すわけには行かなそうだな……
林の入り口の冒険者らしき男ふたりの遺体を弔い、テントに戻る。
怪我人の女性はまだ意識戻さない。
スワロが薬草で、傷の手当ては済ませてくれていた。
3人とも疲れたのか、おにぎりと味噌汁で簡単に食事をすると、そのまま深い眠りについた。
明け方、女性が目を覚まし混乱していた。
騒ぎで起きるスワロが、ゆっくりと説明する。
状況を理解した女性は深々と頭を下げ、感謝の言葉を使う。
「この度は命を救ってくださり、ありがとうございます」
20代後半ぐらいの女性は冒険者で、レイトールに向かう途中でオークの群れに襲われたとの事。
全てが突然で、本人もまだ信じられないといった感じである。
惣一郎は、男の冒険者ふたりの遺品を女性に渡すと、現実と理解して泣き崩れる。
ふたりは兄と恋人だったそうだ……
落ち着いた頃、惣一郎はセルネルの街で買った食事を女性に勧め、外の様子を見に行く。
雨は上がっていたが、一面深い霧で覆われており、霧が晴れるまではココを動かない方がいいだろう。
女性の名前は[ケネブ]依頼の帰りであった。
レイトールまで送り届けると約束し、もう少し休ませる。
右には仲間をたやすく焼き殺す魔女が杖を構え。
左には全てを切り裂く魔剣を持つ幼い戦士。
正面には得体の知れない目を離せない男がいた。
唯一後ろに道はあるが、オークに後退はない。
王が一人になっても……
惣一郎は動けなかった。
スワロはもう打ち止めなのに、杖を構え脅しになっている…… 流石だ。
ベンゾウは疲れ息が荒い…… すでに数十匹を倒し、気力で立っているのだろう。
隙を見せれば一瞬でやられる空気だ。
考えろ惣一郎、どう動く……
「最後だ、踏ん張れ!」
惣一郎の大声は、仲間への喝か、自分への気合いか、開始のゴングとなった!
遅れてオークの王も雄叫びを上げ、両手の剣で惣一郎に切り掛かる!
ベンゾウが左から主人を守る為に斬りかかるが、オークの剣で弾かれる!
スピードが落ちていたのだ。
だが武器の差が出た。
左の剣を半分に折っていた!
右からスワロも最後の気力を振り絞り、発動した小さな魔法は、オークの右目を焼き、一瞬の隙を作る!
そのふたりの攻撃で、惣一郎は立つ時間が稼げた。
巨人の右から振り下ろされた剣を惣一郎は盾で受け止める!
膝が崩れそうになる重さに踏ん張る惣一郎。
すぐ後ろには怪我をした女性がいる!
すぐにオークの左の折れた剣が、惣一郎を刺そうとするが、右を受けた盾で振り払い、空いたオークの腹にもう片方の手に隠し持っていた、スタンガンを突き付ける!
バリバリバリバリーー!
目や口から煙を登らせ、焦げたオークは固まっていた。
この世界でスタンガンは、雷に打たれた様なものだった。
固まるオークの首の後ろで、ベンゾウの小刀が弧を描くと、ゆっくりと首が前に落ちる……
「だぁ! 疲れた~ 数多すぎるって!」
雨の中、びしょ濡れの3人が座り込む。
意識の無い女性も怪我をしてるが、無事の様だ。
これ、討伐部位集めるのも大変だな~
降る雨が気持ち良く、3人はしばらく動かなかった。
近くにテントを出し、泥だらけの3人と怪我人にクリーンをかける。
怪我人をベットに寝かせ、スワロに任せる。
ベンゾウと頭痛のする惣一郎は、雨具を着てオークの討伐部位になる耳を切り集める。
オークは全部で38体。
一匹に逃げ回っていたあの頃が懐かしい。
そしてこのオークの王は、軍が出動するレベルだと言うが、最初から王一匹なら3人の敵ではなかっただろう。
だが、蟻と同じで徒党を組んで一匹の生命体なのだ、王が一匹でいる事はない。
こんな強さもあるのだと惣一郎は学んだ。
せっかく集めた耳だが、これギルドに出すわけには行かなそうだな……
林の入り口の冒険者らしき男ふたりの遺体を弔い、テントに戻る。
怪我人の女性はまだ意識戻さない。
スワロが薬草で、傷の手当ては済ませてくれていた。
3人とも疲れたのか、おにぎりと味噌汁で簡単に食事をすると、そのまま深い眠りについた。
明け方、女性が目を覚まし混乱していた。
騒ぎで起きるスワロが、ゆっくりと説明する。
状況を理解した女性は深々と頭を下げ、感謝の言葉を使う。
「この度は命を救ってくださり、ありがとうございます」
20代後半ぐらいの女性は冒険者で、レイトールに向かう途中でオークの群れに襲われたとの事。
全てが突然で、本人もまだ信じられないといった感じである。
惣一郎は、男の冒険者ふたりの遺品を女性に渡すと、現実と理解して泣き崩れる。
ふたりは兄と恋人だったそうだ……
落ち着いた頃、惣一郎はセルネルの街で買った食事を女性に勧め、外の様子を見に行く。
雨は上がっていたが、一面深い霧で覆われており、霧が晴れるまではココを動かない方がいいだろう。
女性の名前は[ケネブ]依頼の帰りであった。
レイトールまで送り届けると約束し、もう少し休ませる。
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