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第四章
四話 【緊張の夏!】
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実験コーナーを終え、惣一郎は食べたかった麻婆豆腐を作り始める。
テントの中で調理用の長テーブルを出し、カセットコンロに中華鍋を出すと、まな板で長ネギを細かく切り、豆腐と合い挽きとレトルトの麻婆豆腐の元で炒めていく。
トマトをスライスし鶏胸肉を茹で炸く、きゅうりの千切りを乗せ、これまたレトルトの棒棒鶏の元をかけ、テーブルに並べる。
事前に炊いたほっかほかのご飯を皿に盛り、晩飯には少し早いが中華料理を3人で堪能する!
異世界のふたりは何を作っても、美味い美味いと喜んでくれるので、作りがいがある!
夢中で食べるベンゾウを他所に、スワロが食べながら話し出す。
「防御力が上がったのは、理解出来ないが理解した。でも、魔法の詠唱が早くなったり、威力が上がる理由はなんなんだ?」
それは、惣一郎にも分からなかった。
食べ物だろうとは思っているが、ゲームの様に力がステータスで数値化しないと確認が出来ないし、この説明も面倒だった。
「ご主人様のご飯は、強くなれる!」
「なるほど…… 言われれば力が湧く気が」
勝手に納得してくれた。
このままスワロも化け物の様に強くなって行くのかも知れない。
食べ終わるとベンゾウはもう眠そうに目を擦っているので、今日は風呂はやめ、クリーンをかけて寝かす。
スワロにもクリーンをかけると、また驚く。
知ってるクリーンではないと。
ベンゾウはそのままベッドへ、スワロはちゃんとドレスの様な寝巻きに着替えて、ベッドに入る。
ちゃんと仕切りの向こうで着替えてます。
明日には、コイチの村に着くだろう。
惣一郎も早めに寝る事に……
今日も色々あった…… Zzzz
「ブ~ン~」
パチン、蚊?
夜中に耳元の嫌な羽音で目を覚ます。
げっ! 何してんのふたりとも!
俺のベッドで抱きつき、スヤスヤ眠るベンゾウは、まぁわかる。
が、反対側から抱きつくスワロさん!
何してんのよ、狭いわ!
コチラもスヤスヤと淫らな格好で……
け、けしからん!
緊張して眠れんわ……
目が覚め、蚊が出るので蚊取り線香を購入して焚く。
ついでに虫刺されの痒み止めも買っておく。
今のところ刺されてはいないな…… 蚊?
いるのかこの世界にも?
ふたりにベッドを譲って、ベンゾウのベッドで、二度寝する。
翌朝、スワロの悲鳴で飛び起きる!
「どうした!」
テントの外に出ると、大量の蚊の死骸があった。
この世界の蚊は吸血虫[ムイムリ]と言い、やっぱり刺されると血を吸われた場所が赤く腫れ、痒みを帯びるそうだ。
違うのはこの虫、集団で行動し集団で刺すと言う恐ろしい生態の虫らしい。
偶然にもテントに紛れ込んだ一匹に、惣一郎が蚊取り線香を焚いたので、近くの集団も餌食になったらしい。
恐ろしい……
この時期になると水辺に現れ、人や動物を襲う恐ろしい生き物だ。
これから向かうコイチの村は湿地帯で、ムイムリが出るそうだが、幸いな事に集団行動のお陰で、よく遭うという程でも無いそうである。
「流石だな、惣一郎殿は! 寝ながらムイムリを倒すとは。カトリの魔法が無ければ普通、見たら逃げるしか手はないんだが」
何万匹いるのだろう。
黒い絨毯の様になってる地面を見つめ、寒気を覚える惣一郎。
蚊取り線香が必須になったな。
朝食は、ご飯、納豆、お新香、味噌汁で済まし、コイチの村に向かった。
ちなみに、スワロも納豆は美味いと食っていた。
丘を越えしばらく平和に進むと、道の周りに湿原が見え始め、その先に村が見えた。
丸太を地面に刺した外壁にぐるりと囲まれた村には、すんなり入れた。
村は切り出した石で円柱状に積み重ねて出来た南国風な建物が多く、出会う村人も愛想よく挨拶をしてくれる。
店が数軒あり宿屋は一軒、ギルドはこの村には無いそうで、のんびりとした時間が流れる村だった。
宿に泊まるよりはテント生活の方がいい惣一郎は、軽く見て周り通り過ぎるつもりでいた。
「ようこそいらっしゃいました。コイチの村へ! 私、村長の[プレネ]と申します。この村自慢の郷土料理[ププ]はもう、召し上がりましたかな?」
麻の様な生地のシャツにお腹の出ている村長が、村の為に通り過ぎる旅人や冒険者に手当たり次第に話しかけている。
ププとは湿地帯で取れるカエルの様な生き物で作る、この辺りの料理らしい。
「ささ! 郷土料理ププはあちらの食堂で販売しております! 魔導書カトリも数多く取り揃えておりますので、是非お立ち寄りを!」
たくましい……
スワロがププは美味いぞと進めて来た、まだ陽は高いし食ってみるか……
まんま鳥の唐揚げでした。
そして、しれっと同じテーブルに座る村長のプレネ。
何か?
テントの中で調理用の長テーブルを出し、カセットコンロに中華鍋を出すと、まな板で長ネギを細かく切り、豆腐と合い挽きとレトルトの麻婆豆腐の元で炒めていく。
トマトをスライスし鶏胸肉を茹で炸く、きゅうりの千切りを乗せ、これまたレトルトの棒棒鶏の元をかけ、テーブルに並べる。
事前に炊いたほっかほかのご飯を皿に盛り、晩飯には少し早いが中華料理を3人で堪能する!
異世界のふたりは何を作っても、美味い美味いと喜んでくれるので、作りがいがある!
夢中で食べるベンゾウを他所に、スワロが食べながら話し出す。
「防御力が上がったのは、理解出来ないが理解した。でも、魔法の詠唱が早くなったり、威力が上がる理由はなんなんだ?」
それは、惣一郎にも分からなかった。
食べ物だろうとは思っているが、ゲームの様に力がステータスで数値化しないと確認が出来ないし、この説明も面倒だった。
「ご主人様のご飯は、強くなれる!」
「なるほど…… 言われれば力が湧く気が」
勝手に納得してくれた。
このままスワロも化け物の様に強くなって行くのかも知れない。
食べ終わるとベンゾウはもう眠そうに目を擦っているので、今日は風呂はやめ、クリーンをかけて寝かす。
スワロにもクリーンをかけると、また驚く。
知ってるクリーンではないと。
ベンゾウはそのままベッドへ、スワロはちゃんとドレスの様な寝巻きに着替えて、ベッドに入る。
ちゃんと仕切りの向こうで着替えてます。
明日には、コイチの村に着くだろう。
惣一郎も早めに寝る事に……
今日も色々あった…… Zzzz
「ブ~ン~」
パチン、蚊?
夜中に耳元の嫌な羽音で目を覚ます。
げっ! 何してんのふたりとも!
俺のベッドで抱きつき、スヤスヤ眠るベンゾウは、まぁわかる。
が、反対側から抱きつくスワロさん!
何してんのよ、狭いわ!
コチラもスヤスヤと淫らな格好で……
け、けしからん!
緊張して眠れんわ……
目が覚め、蚊が出るので蚊取り線香を購入して焚く。
ついでに虫刺されの痒み止めも買っておく。
今のところ刺されてはいないな…… 蚊?
いるのかこの世界にも?
ふたりにベッドを譲って、ベンゾウのベッドで、二度寝する。
翌朝、スワロの悲鳴で飛び起きる!
「どうした!」
テントの外に出ると、大量の蚊の死骸があった。
この世界の蚊は吸血虫[ムイムリ]と言い、やっぱり刺されると血を吸われた場所が赤く腫れ、痒みを帯びるそうだ。
違うのはこの虫、集団で行動し集団で刺すと言う恐ろしい生態の虫らしい。
偶然にもテントに紛れ込んだ一匹に、惣一郎が蚊取り線香を焚いたので、近くの集団も餌食になったらしい。
恐ろしい……
この時期になると水辺に現れ、人や動物を襲う恐ろしい生き物だ。
これから向かうコイチの村は湿地帯で、ムイムリが出るそうだが、幸いな事に集団行動のお陰で、よく遭うという程でも無いそうである。
「流石だな、惣一郎殿は! 寝ながらムイムリを倒すとは。カトリの魔法が無ければ普通、見たら逃げるしか手はないんだが」
何万匹いるのだろう。
黒い絨毯の様になってる地面を見つめ、寒気を覚える惣一郎。
蚊取り線香が必須になったな。
朝食は、ご飯、納豆、お新香、味噌汁で済まし、コイチの村に向かった。
ちなみに、スワロも納豆は美味いと食っていた。
丘を越えしばらく平和に進むと、道の周りに湿原が見え始め、その先に村が見えた。
丸太を地面に刺した外壁にぐるりと囲まれた村には、すんなり入れた。
村は切り出した石で円柱状に積み重ねて出来た南国風な建物が多く、出会う村人も愛想よく挨拶をしてくれる。
店が数軒あり宿屋は一軒、ギルドはこの村には無いそうで、のんびりとした時間が流れる村だった。
宿に泊まるよりはテント生活の方がいい惣一郎は、軽く見て周り通り過ぎるつもりでいた。
「ようこそいらっしゃいました。コイチの村へ! 私、村長の[プレネ]と申します。この村自慢の郷土料理[ププ]はもう、召し上がりましたかな?」
麻の様な生地のシャツにお腹の出ている村長が、村の為に通り過ぎる旅人や冒険者に手当たり次第に話しかけている。
ププとは湿地帯で取れるカエルの様な生き物で作る、この辺りの料理らしい。
「ささ! 郷土料理ププはあちらの食堂で販売しております! 魔導書カトリも数多く取り揃えておりますので、是非お立ち寄りを!」
たくましい……
スワロがププは美味いぞと進めて来た、まだ陽は高いし食ってみるか……
まんま鳥の唐揚げでした。
そして、しれっと同じテーブルに座る村長のプレネ。
何か?
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