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第三章
十一話 【錬金術は等価交換?】
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咥えていたグルピーを吐き捨て、咆哮上げるピテュルス!
ガオオオー!
重い甲羅を背負ってるとは思えない動きで、後ろに下ると四足獣が獲物を狙う時に見せる、クラウチングスタートの様な姿勢を取る!
最悪のピンチが訪れた。
騎士達はまだ、地面に腰下ろした状態で固まっているし、スワロも褐色の肌でも分かる真っ青の顔で、瞬きも忘れている。
ベンゾウは…… もう二刀を構えていた。
それでも、あの巨体で突っ込まれたら……
惣一郎は割と冷静だった。
異世界で数々のピンチを乗り越えて来ただろう、冒険者の一団ですら恐怖で固まっているのに、新参者の冒険とは無縁の生活をして来た惣一郎の方が、冷静だったのだ。
いや、死に鈍感だった……
そだ、一応買っておいたアレを使うか!
アイテムボックスから、アメリカの警察が使っている透明の強化アクリル樹脂の盾を取り出し、先頭で構える。
「ベンゾウ、俺が止めるから、トドメを!」
コクンと頷くベンゾウは、後ろでピテュルスの様に腰を落とし、クラウチングスタートの姿勢に入る。
ピテュルスは全身をバネに変え、力が前にベクトルを向けると一気に距離を詰め襲って来る!
一瞬で、大きな顔が目の前に現れる!
ドンッ!
ピテュルスの勢いは、惣一郎の盾で止まっていた。
首が縮んだピテュルスは、鼻血を出して半歩下がる。
惣一郎も押されて、地面に足を引きずった跡を残す。
盾、使えるな……
ピテュルスのあの鋭かった目は、いま何処を見ているのだろうか?
何が起きたか理解も出来ないピュテルスは、飛ぶ意識の中で夢を見る。
銀色の疾風が、そんなピテュルスの顔の下に潜り込み、ふわっと宙を舞う!
ドスン!っと頭を落とし、首を無くした体は、一歩二歩と下がって倒れる。
スワロと騎士達は口を開けたまま固まっていた。
「このまま持って戻れば、報酬貰えるかな~」
惣一郎は異世界の魔獣を珍しそうに近くで観察しており、ベンゾウは惣一郎にもらったお菓子を食べていた。
横たわる全長8m程の怪獣をスキルで収納し、固まったスワロ達に話しかける。
「また、助かっちゃったね~」
悪い顔の惣一郎、礼が遅れた事に怒っているのかと、慌てて礼を言うスワロ達に、
「いやいや、礼はいいんだ、ちょっとお願いがあるだけ!」
スワロの顔は引き攣っていた……
「俺たちセルネルに急ぎの用があるので、キロの村に戻ってる暇ないのよね~ 代わりにこのピテュルスさぁ~ スワロ達が倒した事にして、報酬もらって来てくれない?」
『何を言い出すんだこの人は!』って顔で見るスワロ……
断れる訳ないか…… っと諦める。
引き攣った笑顔で快諾してくれた。
マジックバッグには入らないと、近くの木で騎士達が簡易的なソリを作りピテュルスを乗せる。
スワロ達は本来ピテュルスを倒せる力は無いし、ギルドが信じるかが不安だった。
「あの、惣一郎殿…… 我々が報酬を持って逃げるとは考えないのですか?」
もっともな疑問に惣一郎は、
「そしたら、このベンゾウが回収に行くよ」
っと、元気に答えた。
先程の戦闘を目の当たりにしたスワロ達には、効果覿面である。
セルネルで再会の約束をし4人は、ピテュルスを引きずり、キロの村へと向かい始める。
惣一郎との出会いは、運が良いのか悪いのかを考えながら。
「しかしこの防護服と盾、凄いな~ あの突進が踏ん張る程度の衝撃だったよ。このままじゃ目立ちすぎるな、気をつけねば」
「ご主人様、強かったです!」
っと、手を出してお菓子のおかわりを求めるベンゾウに、違う味のお菓子を渡し、旅の目的地セルネル城を目指し、コチラも歩き始める。
ガオオオー!
重い甲羅を背負ってるとは思えない動きで、後ろに下ると四足獣が獲物を狙う時に見せる、クラウチングスタートの様な姿勢を取る!
最悪のピンチが訪れた。
騎士達はまだ、地面に腰下ろした状態で固まっているし、スワロも褐色の肌でも分かる真っ青の顔で、瞬きも忘れている。
ベンゾウは…… もう二刀を構えていた。
それでも、あの巨体で突っ込まれたら……
惣一郎は割と冷静だった。
異世界で数々のピンチを乗り越えて来ただろう、冒険者の一団ですら恐怖で固まっているのに、新参者の冒険とは無縁の生活をして来た惣一郎の方が、冷静だったのだ。
いや、死に鈍感だった……
そだ、一応買っておいたアレを使うか!
アイテムボックスから、アメリカの警察が使っている透明の強化アクリル樹脂の盾を取り出し、先頭で構える。
「ベンゾウ、俺が止めるから、トドメを!」
コクンと頷くベンゾウは、後ろでピテュルスの様に腰を落とし、クラウチングスタートの姿勢に入る。
ピテュルスは全身をバネに変え、力が前にベクトルを向けると一気に距離を詰め襲って来る!
一瞬で、大きな顔が目の前に現れる!
ドンッ!
ピテュルスの勢いは、惣一郎の盾で止まっていた。
首が縮んだピテュルスは、鼻血を出して半歩下がる。
惣一郎も押されて、地面に足を引きずった跡を残す。
盾、使えるな……
ピテュルスのあの鋭かった目は、いま何処を見ているのだろうか?
何が起きたか理解も出来ないピュテルスは、飛ぶ意識の中で夢を見る。
銀色の疾風が、そんなピテュルスの顔の下に潜り込み、ふわっと宙を舞う!
ドスン!っと頭を落とし、首を無くした体は、一歩二歩と下がって倒れる。
スワロと騎士達は口を開けたまま固まっていた。
「このまま持って戻れば、報酬貰えるかな~」
惣一郎は異世界の魔獣を珍しそうに近くで観察しており、ベンゾウは惣一郎にもらったお菓子を食べていた。
横たわる全長8m程の怪獣をスキルで収納し、固まったスワロ達に話しかける。
「また、助かっちゃったね~」
悪い顔の惣一郎、礼が遅れた事に怒っているのかと、慌てて礼を言うスワロ達に、
「いやいや、礼はいいんだ、ちょっとお願いがあるだけ!」
スワロの顔は引き攣っていた……
「俺たちセルネルに急ぎの用があるので、キロの村に戻ってる暇ないのよね~ 代わりにこのピテュルスさぁ~ スワロ達が倒した事にして、報酬もらって来てくれない?」
『何を言い出すんだこの人は!』って顔で見るスワロ……
断れる訳ないか…… っと諦める。
引き攣った笑顔で快諾してくれた。
マジックバッグには入らないと、近くの木で騎士達が簡易的なソリを作りピテュルスを乗せる。
スワロ達は本来ピテュルスを倒せる力は無いし、ギルドが信じるかが不安だった。
「あの、惣一郎殿…… 我々が報酬を持って逃げるとは考えないのですか?」
もっともな疑問に惣一郎は、
「そしたら、このベンゾウが回収に行くよ」
っと、元気に答えた。
先程の戦闘を目の当たりにしたスワロ達には、効果覿面である。
セルネルで再会の約束をし4人は、ピテュルスを引きずり、キロの村へと向かい始める。
惣一郎との出会いは、運が良いのか悪いのかを考えながら。
「しかしこの防護服と盾、凄いな~ あの突進が踏ん張る程度の衝撃だったよ。このままじゃ目立ちすぎるな、気をつけねば」
「ご主人様、強かったです!」
っと、手を出してお菓子のおかわりを求めるベンゾウに、違う味のお菓子を渡し、旅の目的地セルネル城を目指し、コチラも歩き始める。
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