異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第三章

一話 【旅の始まりとベンゾウへの罰!】

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まずは南東の[ルイードの村]を目指す!

ムイの町を出て人目のない街道で、リアカーをスキルで収納し身軽になる惣一郎。

地図の購入を考えたが、簡易的な物しか無く、距離も適当、ざっくりとした方角しか分からないので、特に必要性を感じなかった。

道もあるし、途中の町や村で聞けば済む話だろうと……

ルイードの村はエルフが多く住む村らしく、ルイードの森の中にあるという。

ここからは歩きで2~3日の距離との事。

ベンゾウは元気だし、のんびり行きましょう。




しかしこの分厚いメガネの少女…… 強い。

ジュグルータさんが自信満々に紹介したニールさんだ、元冒険者だとしても、よほど自信があったに違いない。

それを一瞬だ。

獣人だからじゃ説明つかないだろう、冒険者に獣人も多いと聞くしそんな中、活躍して来た元冒険者のニールさん。

それを……

あの後、ずっと黙ったままだったしな~ ニールさん。

このベンゾウ、奴隷前はもっと強かったのだろうか?

謎が多い少女は昔の話を嫌う。

まぁ、嫌な事を無理に聞こうとは思わないし、聞いた所で何が変わる訳でもないか……



そんな事を考えながら歩いていると、兎の様な魔獣が、いきなりツノで攻撃してきた!

だが、コレまたあっさりとベンゾウに捕まり、今は血抜きされている。

肉が美味くて、売れるらしい。

頼もしい護衛だ。

今のベンゾウを見たら、ゴルゾは悔しがるだろうな~

いくらの値が付くのやら……

 
そして、ついに見つけました、THE異世界!

[スライム]です!

異世界と言えばスライム! スライムと言えば異世界。

だがベンゾウは、道に普通にいた雑魚中の雑魚、キングオブ雑魚に見向きもしなかった。

「あれ、これ魔獣じゃないの?」

ベンゾウによると、やはり雑魚だが害もなく、何でも食べるスライムは、この世界の掃除屋さんのポジションを獲得していた。

普段は沼や腐敗した遺体の近くなど、汚い所にいるらしいのだが、この道にいるという事は最近まで遺体でもあったのかも知れないとの事。

何でも食うね……

惣一郎はアイテムボックスの中のゴミを、おもむろに置いてみる。

不思議そうに確認してるスライムは、ゆっくりゴミを消化し始め、喜んでいる様にも見えた。

なるほど、掃除屋さんね。
 
惣一郎はもしかしたら自分でも倒せる魔物を倒せば、頭の中に音楽が鳴りレベルが上がるかも!っと期待をしていた。

だが、この有益な魔物は流石に倒せないと諦め、先を進む。



夕方、丘を登っていると夜営に良さげな岩が並んでいた。

ここで今晩は休もうとベンゾウに伝えると、周りの安全を確認して来ると走り去った。

惣一郎は、街道からは見えない岩陰に長テーブルを出し、カセットコンロや鍋、まな板などを並べて料理を始める。

しばらくすると、ベンゾウが戻って来て、クンクン匂いを嗅ぎながら危険はない事を伝える。

香辛料の暴力的な匂いが漂い出す鍋を、ヨダレを垂らしながらベンゾウが、曇る分厚いレンズ越しに凝視する。

そうだろう、このカレーの魔法には誰も抗えないのさ!

ほっかほかに炊き上がったご飯を皿に盛り、上からカレーをかけると、ベンゾウの顔色が変わる。

「ご主人様、これは汚いヤツ、スライムしか食べない!」

ちょ! 違うわ!

嫌そうな顔のベンゾウの前で、カレーを掻き込む惣一郎。

うんまー!

夢中で食べる惣一郎を、悲しそうに見つめるベンゾウ……

イラッ!

「命令だベンゾウ、食え!」

『ガーン!』の文字が、ベンゾウの頭上に見えた気がした。

錯覚か?

悲壮な顔で、忠誠を誓ったご主人様の命令に逆らえず、ゆっくりとスプーンを口に運ぶベンゾウ。

雷が落ちた! 様に見えた?

ベンゾウの顔は驚きを隠せないまま、カレーを口に運ぶ!

何度も何度も……

「ゆっくり食べなさい!」

結局三回もおかわりをしたベンゾウは、口の周りをカレーで汚したまま、膨れた腹を出し満天の星空を見つめていた。

「ご主人様…… これは凄く良いものです! ゲフッ」

残ったカレーを鍋ごとアイテムボックスに入れ、町で手に入れた樽の水で汚れた食器を洗い出す。

惣一郎はネットスキルで購入した大きめのテントを取り出し、ひとり組み立て始める。

暗い夜でも星の灯りで作業に支障は無かった。

ひとりじゃ苦労する組み立て作業も、天を仰ぐベンゾウには期待できないと、ため息を吐きながら組み立て続ける。

組み立てるのは最初だけ、次回からはそのまま収納すればいいはず。

最初だけだ!




無事完成を迎えた立派なテントは、暗い色合いで遠くからは目立たないだろう。

中にベッドを二つ置き、テントの周辺に電池式の感知センサー設置する。

安い宿より、立派な住居。

これで雨でも心配はない。



未だ、カレーの余韻に浸ってるベンゾウが、今更テントに気付き驚く。

「ご主人様…… 家も作れるの?」

汚れたベンゾウにクリーンをかけ、ベッドで寝る様に言うが「見張りが必要!」っと言うベンゾウさん。

じゃ、ちょっと試しておくか。



音もなくテントに近づくベンゾウ、突然のセンサーライトの光と音に尻尾が倍にも膨れあがる!

「夜はコレで安心して寝れるだろ」

コクコクと逆立った毛でベンゾウが、二度頷く。





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