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第八章

二十四話【生存者?】

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来た道を急いで戻る惣一郎が、階段の途中で急に止まり振り返る!

!!!!

「どうした旦那様!」

「いや…… あれ? 生き返った?」

惣一郎のサーチにさっきまでいた部屋から、反応を感じた。

先に進むベンゾウとツナマヨが気付き、振り返る。

「ベンゾウ! みんなと先に行ってくれ! 俺はちょっと戻って確認してくるわ」

「ご主人様ひとりじゃ行かせられないよ!」

「私が付き添う!」

スワロが小走りで階段を戻ってくる。

隣の弁慶も「アタイも行くぞ!」っと、戦斧を肩に乗せ下を見るが惣一郎が、

「いや外の敵が多いし、ミコと戦ってる奴が気になる。弁慶頼む!」

っと、弁慶の胸をポンっと叩く。

「スワロの魔法も必要だ。ここは俺だけで大丈夫! だがドラミの壁は超えるな。強制転移されない範囲を超えるからな」

不安が残る表情で弁慶とスワロは「わかった!」っとベンゾウ達を追いかけ、階段を昇って行く。

逆に降りて行く惣一郎。

どう言う事なんだ?

ひとり戻る惣一郎。

さっきまでいた部屋に戻ると戦闘で割れたのだろう、部屋の隅にあった瓶から水が壁伝いに奥へと流れていた。

教皇達の死骸もそのままだ。

反応はその先に、徐々に力強く感じる。

奥のドアの下へと伸びる細い水の線をたどり、扉を引くと、紐で縛られた傷だらけのキッドが薄目を開け、こちらを見ていた。

「キッド! 生きてるのか?」

「そ…惣一郎……の旦那……」

さっきまで反応は無かった。

惣一郎はアジトをくまなくサーチで調べ、さっきの7人以外生きてる反応が無い事から、キッドはここには居ないと思っていた。

無事にスワロから追手の注意を逸らし、逃げたのだと……

それなのに教皇達を倒し、生存者が居ない事を確認して戻ったのに、すぐ側で急に感じた反応に混乱していた。

「お前、捕まってたのか?」

惣一郎はロープを解き、虫の息のキッドに回復薬を飲ませようと取り出す。

「いらん……」

力無く手をあげ、回復を拒むキッド。

「スワロを攫ったのは許せんが、事情があったのは聞いた。取り敢えずここを出るぞ!」

「なぜ助ける…… 事情を誰に聞いた……」

見る見る回復していくキッドに、驚く惣一郎。

「お前がスワロを逃したんだろ? スワロから事情を聞いたんだが……」

上体を起こし壁にもたれるキッドがほくそ笑む。

「逃した? それは俺じゃ無い…… そのつもりだったが奴らにバレて、俺は捕らえられていた」

「スワロはお前が逃してくれたと……」

「フッ、教皇の手の者だろう…… 化けれる奴がいるそうだしな……」

壁に化けてたアイツか!

「どういう事だ…… なぜ教皇の手の者がスワロを逃した?」

「器は彼女じゃ無い…… アンタだ旦那」

はい?

ダメだ分からない事だらけだ。

「待て待て、お前はグルミターナに復讐しようとスワロを利用して潜り込んだんだよな?」

目を閉じ、呼吸を整えるキッドが気怠そうに答える。

「ああ、御神体を喰ってまでな!」

両手で血だらけのシャツを広げ、胸を出すキッド。

腹部から下が赤い半透明の肌で、中の水分が泡を上げていた!

言葉を失い驚く惣一郎。

「おかげで死ねない体になった…… 死んでも水で生き返るバケモンさ……」

ネムリユスリカ!

ユスリカの幼虫で干涸びて死んでも、水分で生き返る不死身の昆虫。

「お前……」








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