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第八章

二十話【魔女の足】

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鼻を赤くし、涙を堪える弁慶。

「すまん…… 旦那様がくれた侃護斧が……」

地面に落ちた二つの侃護斧を見下ろし、肩を震わせる。

勇者の置き土産である戦斧も、世界を渡った武器なのだろう。

異世界の硬い金属から作った武器と、武器として世界を渡った差が出たのかも知れない。

惣一郎はそのぐらいに考えていたが、弁慶にとっては、惣一郎に貰った最高の武器として、負けるとは思っても見なかったのだろう……

その武器を扱う自分の所為だと、自分を責めていた。

「弁慶、これは武器の差だ。弁慶じゃ無く俺の武器が負けたんだ。自分を責め…」

「ご主人様~」

なんだよ!

弁慶が投げ置いた勇者の戦斧を、かがみ込んで見ているベンゾウが話しかける。

「これ國家みたいに中身入ってるよ」

赤い地面に横たわる大きな戦斧。

ベンゾウの言う中身が惣一郎にはピンと来ないが、近付くと存在感が他とは違う気もする。

そこにツナマヨが、

「いつまで落ち込んでいる! まだ敵陣だぞ」

確かにそんな場合では無いかも知れない。

「戦いの中武器を失えば、敵の武器を奪い戦うまでだ。思い入れがあるのは分かるが、気を引き締めろ!」

ツナマヨの一喝で、鼻を啜る弁慶。

侃護斧を拾いポーチに仕舞う。

「そうだな… すまん!」

後で直せるかドワーフ達に相談してみるか……

そう思いながら惣一郎が、地面の戦斧を拾おうと手を伸ばす。

重!

地面との隙間に指すら入らない!

幻腕を出し両手で持ち上げようと踏ん張るが、全く上がらなかった。

ケラケラケラ。

しゃがんだまま笑うベンゾウ。

その背後から手を伸ばす弁慶が、戦斧を軽く拾い上げる。

マジか……

「ん、どうした旦那様?」

「いや…… なんでも無い。似合うぞ、ソレ!」

少し照れながら赤い鼻の弁慶が戦斧を振り回す。

「少し軽いが、これで我慢するか!」

軽いんだ……



惣一郎はゲルドマ達の遺体を収納し、また出す。

魔女の目は落ちなかった。

「コイツらは操られて無い様だな……」

ひとり確認する惣一郎を置き去りに、ツナマヨ達が先に進み始めていた。

広い空洞の奥に見える扉を目指し。






その頃、ユグポンの中で待機するミネアが驚きの表情で、床に置かれた御神体を見ていた。

「ミ、ミネアさん、コレは……」

ブラギノールも驚きながら、ミネアに話しかける。

布に巻かれた御神体から、飛び出す様に生えている右脚。

「生えたのかしら……」

小さい包みから飛び出す干からびた足。

子供の足より小さく蟲の様な脚であった。







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