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第七章
十五話【翼族のトトリ】
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森の中を進む、ギネアとブラギノール。
目指す町はまだ遠かった。
「そうでしたか、惣一郎さんに……」
「ああ、恩を返さねばならんと言うのに、俺のせいで大切な仲間をな……」
「いえ、ギネアさんのせいでは、ですがその魔女崇拝者とは…… そんな恐ろしい連中だったのですね。過激な女神信仰って位に思っておりましたが……」
「魔女が生きていた事も驚きだ」
世間話をしながら進むギネア達。
深い森の中を進んでいくと、突然空から黒い影が現れる!
薙刀を構えるギネア!
「待って下さい! あれは……」
森の中、木の高さで飛ぶ黒い影が、枝の上に止まりこちらを伺う!
もしかして、ブラギノール氏か?」
嘴を動かし羽根をたたむ影。
「おお、やはり翼族の皆さん!」
ギネアの薙刀を下ろす様に、手を添えるブラギノール。
「今ちょうど、皆さんの所に向かっていたのですよ! まさかここで会えるとは。トトリさんはおりますか?」
すると枝の上の一羽が声を上げる。
「族長!」
陽を背に一際大きな黒い影が、ブラギノールの前に降り立つ。
「久しいなブライアンジョー!」
「ブラギノールです。お久しぶりですトトリさん! 皆さんお変わりありませんか?」
「ああ、健在だ。だが嫌な匂いがこちらにも広がり出したのでな、さらに南に移動を始めた所なのだ」
「嫌な匂い?」
「ああ、大陸で嗅ぐ危機を知らせる匂いだ。ブライダルショーはなぜこんな場所に?」
「ブラギノールです。実は折り入ってお願いが御座いまして……」
ブラギノールが族長トトリに事情を話始める。
鳥と爬虫類の関係からか、警戒するギネアを鳥人達が、木の上から目を光らせ見つめていた。
「なるほど…… それで大陸に行きたいと」
「はい……」
すると上の枝から降りて来た別の鳥人が、トトリの背後に立つ。
「族長、もしやあのキャットって男が言っていた事では?」
「ふむ……」
「キャット?」
「ふむ、時折我が集落に立ち寄る旅人でな、森の奥の洞窟に良からぬ者達が住み着いたと警告して来たのだ。決して近付くなと。我々も危機を知らせる匂いを感じたのものでな、森にはそれ以降踏み入れる事はしなかったのだが……」
「ギネアさん! おそらくそこが……」
「あっああ、きっと奴らのアジトだろう……」
冷や汗が止まらないギネア。
木の上には涎を垂らしギネアを凝視する影が、無数見て取れた。
「トトリさん、この方は勇者様のお仲間です! 美味しくはないかと……」
「はっはははは! 流石に食べはせん! ただ本能でな…… 良かろう協力しようではないか! 時期には早いが大陸に案内しよう、我らの恩人であるブリリアントたっての頼みだ」
「ブラギノールです」
「族長! ですが」
「[セセリ]よ! 我々が長年生きて来れたのは、この危機感知能力のおかげだ! だがそれは逃げているのと同じ事だとは思わんか?」
「族長、それの何処が行けないのですか!」
「私は常々思っておったのだ。先祖より受け継いだこの能力。本当に危機から逃げる為のものなのかと…… 危機が迫る事が分かれば備えればいい。逃げず向き合う為の物ではないかとな」
「「「 族長! 」」」
『族長あれ、毎回言うよな?』
『ああ、結局また逃げるんだぞ…』
ともあれ、運良く鳥人と合流したギネア達。
その日は夜を待ってユグポンに帰り、惣一郎にトトリ達を紹介すると話す、ギネアとブラギノールだった。
目指す町はまだ遠かった。
「そうでしたか、惣一郎さんに……」
「ああ、恩を返さねばならんと言うのに、俺のせいで大切な仲間をな……」
「いえ、ギネアさんのせいでは、ですがその魔女崇拝者とは…… そんな恐ろしい連中だったのですね。過激な女神信仰って位に思っておりましたが……」
「魔女が生きていた事も驚きだ」
世間話をしながら進むギネア達。
深い森の中を進んでいくと、突然空から黒い影が現れる!
薙刀を構えるギネア!
「待って下さい! あれは……」
森の中、木の高さで飛ぶ黒い影が、枝の上に止まりこちらを伺う!
もしかして、ブラギノール氏か?」
嘴を動かし羽根をたたむ影。
「おお、やはり翼族の皆さん!」
ギネアの薙刀を下ろす様に、手を添えるブラギノール。
「今ちょうど、皆さんの所に向かっていたのですよ! まさかここで会えるとは。トトリさんはおりますか?」
すると枝の上の一羽が声を上げる。
「族長!」
陽を背に一際大きな黒い影が、ブラギノールの前に降り立つ。
「久しいなブライアンジョー!」
「ブラギノールです。お久しぶりですトトリさん! 皆さんお変わりありませんか?」
「ああ、健在だ。だが嫌な匂いがこちらにも広がり出したのでな、さらに南に移動を始めた所なのだ」
「嫌な匂い?」
「ああ、大陸で嗅ぐ危機を知らせる匂いだ。ブライダルショーはなぜこんな場所に?」
「ブラギノールです。実は折り入ってお願いが御座いまして……」
ブラギノールが族長トトリに事情を話始める。
鳥と爬虫類の関係からか、警戒するギネアを鳥人達が、木の上から目を光らせ見つめていた。
「なるほど…… それで大陸に行きたいと」
「はい……」
すると上の枝から降りて来た別の鳥人が、トトリの背後に立つ。
「族長、もしやあのキャットって男が言っていた事では?」
「ふむ……」
「キャット?」
「ふむ、時折我が集落に立ち寄る旅人でな、森の奥の洞窟に良からぬ者達が住み着いたと警告して来たのだ。決して近付くなと。我々も危機を知らせる匂いを感じたのものでな、森にはそれ以降踏み入れる事はしなかったのだが……」
「ギネアさん! おそらくそこが……」
「あっああ、きっと奴らのアジトだろう……」
冷や汗が止まらないギネア。
木の上には涎を垂らしギネアを凝視する影が、無数見て取れた。
「トトリさん、この方は勇者様のお仲間です! 美味しくはないかと……」
「はっはははは! 流石に食べはせん! ただ本能でな…… 良かろう協力しようではないか! 時期には早いが大陸に案内しよう、我らの恩人であるブリリアントたっての頼みだ」
「ブラギノールです」
「族長! ですが」
「[セセリ]よ! 我々が長年生きて来れたのは、この危機感知能力のおかげだ! だがそれは逃げているのと同じ事だとは思わんか?」
「族長、それの何処が行けないのですか!」
「私は常々思っておったのだ。先祖より受け継いだこの能力。本当に危機から逃げる為のものなのかと…… 危機が迫る事が分かれば備えればいい。逃げず向き合う為の物ではないかとな」
「「「 族長! 」」」
『族長あれ、毎回言うよな?』
『ああ、結局また逃げるんだぞ…』
ともあれ、運良く鳥人と合流したギネア達。
その日は夜を待ってユグポンに帰り、惣一郎にトトリ達を紹介すると話す、ギネアとブラギノールだった。
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