異世界で買った奴隷がやっぱ強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

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第五章

十三話【茶番劇】

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「続けるか?」

ゴゴの声に、地面で天を仰ぐキッドがゆっくりと立ち上がる。

「へっ、俺とした事が勢い余って転ぶとは、運がいいなあんた」

アホや……

ドラミの顔が恐怖に固まる。

次に現れたのは両手に鎌を持つ鱗族、ドラゴン。

こちらも惣一郎の出した[仙台守鍛造鉈鎌]をドワーフにより2本を鎖で繋いだ物だった。

鎌にはカバーがかけられたままだった。

「惚れた女の前でこれ以上醜態を晒す訳にはいかねぇ! 悪いが本気でいくぜ」

背中の紋様が光り、シャドウを始めるキッド。

明らかに風を切る音が変わる。

表情が読め無いドラゴンが、ジャラっと鎌を構える!

軽快なステップで近付くキッド。

ジャブで距離を測るキッドの手数が増えていくと、拳が何本にも見える!

だが、ピット器官を備えるドラゴンに目眩しは通用し無い!

ヘビに見られるピット器官は赤外線で熱を捉える!

それを持つドラゴンには、残像と本物の微妙な熱の差が読み取れる!

あっさり拳に引っ掛けられた鉈鎌に軌道を逸らされ姿勢を崩すと、首に別の鎌がかけられ、前のめりに地面に頭を落とす。

「そこまで!」

「もういいよ! がっかりだ」

地面に両手を着くキッドが、顔を上げる。

「もう少し使えると思ったけど、がっかりしたよ。君めちゃくちゃ弱いね」

「なっ! 待て今のは」

「ゴゴ! ドラゴンの騎士の序列は?」

「はっ、はい。7人中6位です」

「はぁ、これじゃ訓練にもならないよ、それなのにその自信は何処から来るのよ? 恥ずかしく無いの?」

「いや、今日は調子が……」

「言い訳ばっか! それでよくスワロに惚れただなんて言えるね~ この騎士達全員でも敵わない相手よ」

「そ、それは……」

「多少でも強ければ、騎士の見習いとしてチャンスをあげようかと思ったんだけど、これじゃぁねぇ」

「まっ待ってくれ! まだ本気を出してないだけなんだ!」

「いやいや、蟲相手にそれ言えんの? 死んだら終わりよ?」

「い、いや……」

「そんな奴と、誰が一緒に命かけるのよ!」

「………」

そこにゴゴが、話しに割って入る。

「惣一郎様、確かに性格に問題があるが、タイガの初撃を躱した反応速度、ドラゴンに見せた素早い動きは、鍛えれば使えるかも知れません」

「その性格が一番の問題なのよ! 女を前にいい所見せようと格好つける奴は仲間を危険に晒すし、負けも認められない奴は、自分を伸ばす事も出来ないでしょ? 鍛えるだけ無駄なのよ」

「ック………」

「えっと次は…… そうだ。分かりました。では村の外に……」

「待ってくれ! なんでもする! 雑用でもなんでもするから鍛えてくれ! 必ずこの騎士で一番になって見せる!」

「村には女性が多い、お前の存在が輪を乱す!」

「序列一位になるまで、女とは絶対に話さない! だから、頼む!」

ドラミはさらに驚愕する!

『アホや… ほんまもんのアホや! まんまと惣一郎の策に嵌りよった!』



「「 ……… 」」

「あっ、次俺だ。 ゴホン! じゃこの村の序列最下位からでも構わないと言うのだな!」

「ああ、もう言い訳はしない。必ず這い上がって見せる!」

「ではゴゴ! 面倒を見てやれ。絶対服従だ。次に言い訳をしたり弱音を吐いたら即、村を追放しろ」

「仰せのままに!」

惣一郎に頭を下げるゴゴ。

真似て地面に頭をつけるキッド。

去っていく惣一郎にベンゾウが、

「ご主人様、茶番は終わった?」

っと、お菓子を食べながら抱きつく。

コイツ……






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