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第五章

五話【再会】

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伝わっただろうか?

惣一郎が目を開けると、中庭に集まった村人達の中、契約を結んでる者だけが、真っ青な顔で地面に座り込んでいた。

「ありゃ、済まん! なんか魔力、引っ張っちゃったみたい」

「なんて魔力ですか! 契約してなくても吐き気がしましたよ」

「ごめんて! 魔力は足りてたんだがね。近くにいると引っ張っちゃう見たい」

「それで、なんの実験だったんですか?」

「召喚って奴かな? 勇者召喚」

「「「 はい? 」」」

「まぁ、本番は3日後だ! 上手く伝わっていればだけどね」

「この召喚魔法の陣で、呼ぶ気なのか? まさか主人、前の世界からか!」

「あはは、正解。まぁ今回はこの陣で、向こうにコールを送っただけだけどね」

開いた口が塞がらないスワロ。

そのスワロの顔色も、悪かった。

頭を抱え、頭痛に耐えるドワーフ達。

タイガやドラゴン達も地面に寝ている。

メイド達も、農家の皆さんも。

次は危険かな?



ドラミとミネア姉妹、それとゴゴとジジが倒れた人達の看病に走る。

「主人よ… 逢えるのか? ベンゾウ殿に……」

「まだわからん…… 取り敢えず寝ろ!」

寝るには早いがその日はみんな、そのまま寝る事になる。



翌朝まだ薄暗い中、早起きした惣一郎が目にしたのは、倍にまで広がる中庭だった……

中庭を囲む5本の大木は、青々と葉をつけ、以前より太く成長していた。

「なんじゃコリャ……」

「アホ! あんな馬鹿でかい魔力、受け止めるにはユグポンも成長せなあかんやろが!」

ドラミが呆れ顔で現れる。

「コレじゃ、次に次元開くには更に魔力を使うんじゃないのか?」

「溜めとるだけや、またアレをやるなら、ユグポンも魔力貸したる言うてるわ」

「良かった、助かる!」

「なぁ惣一郎… あんたホンマ何もんや?」

「何者と言われても……」

「あんな魔力、精霊より上の存在やないと、説明つかへんで!」

「まぁ、色々と条件が重なってね……」

ドラミと話しながら、広がった村を確認して回る惣一郎。

他には誰も、起きて来なかった……




そして3日後。

惣一郎はみんなに、一旦ユグポンの外に出ててもらい、広い中庭に惣一郎のほかは、スワロとドラミしかいなかった。

惣一郎の体調は万全。

「じゃ、フルで行くぞ!」

惣一郎の声に、覚悟を決めるスワロ。

現れる幻腕を右手に持つ杖に添え、深く集中する惣一郎。

徐々に空気が重くなって行くのを感じるスワロ。

地面から生えた蔓に巻かれ、杖を構えるドラミが目の前の魔法陣を宙に浮かせると一回り大きくなる!

空が暗くなり、黒い雲が渦を巻き始める。

稲妻が走り、空に浮かんだ黒い穴が広がる!

感じる……

ちゃんと居やがった、ベンゾウ!

惣一郎から吹き出す魔力!

魔法陣の放つ光が強くなる!

「来い、ベンゾウ!」

宙に浮いた陣の下から足が生え、落ちて来る。

徐々に見える長く綺麗な足は、裸だった。

陣から産み出された銀髪の女性が、地面に落ちると、陣が弾け飛び、空の雲に穴を開ける!

徐々に晴れて行く中、地面に降り注がれた一筋の陽の光が、地面に横たわる美しい女性を照らす。

スワロは膝を突き、杖にもたれ掛かる。

ドラミは幻想的な光景から目が離せない。

キラキラと陽の光りを反射する銀髪が、ゆっくりと上がり、クンクンと揺れる。

「ベンゾウ……」

ピクッと耳が動く次の瞬間、消える裸の女性が、惣一郎に襲いかかる!

「ご主人様ーーーー!!!」






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