76 / 194
第四章
十八話【厄介な男】
しおりを挟む
「おいおい、勇敢なお嬢さんだ!」
カウボーイハットに似た帽子のつばを撫でながら、臭いセリフを片目を閉じて喋る男。
願わくば関わりたく無い部類の男だ。
落雷を受けた男は体から煙をあげながら、フラフラと記憶が飛んだのか、ぶつぶつと何かを言いながら歩き出す。
スワロも手加減はしていた様だ。
カウボーイは店員の女性に何か言うと、道を横切りこちらに向かって来る。
惣一郎は呪文の様に「来るな来るな…」っと連呼していたが、願いは届かなかった。
「危ない所を助けてもらった様だな。ダークエルフのお嬢さん!」
眩しいのか、ゴミでも入ったのか、男はずっと片目を瞑っている。
「邪魔した様だな、つい許せなくてな」
スワロも興味を無くした様に席に座り、面倒臭い奴に関わった事をようやく理解し後悔していた。
丸いテーブルに四つの椅子が並び、惣一郎達は3人で座っていた。
一つ空いた椅子に片足を乗せ、
「邪魔だなんてとんでもない、美しい女性ならいつでも大歓迎さ!」
っと、カウボーイが帽子のつばを人差し指で持ち上げ、爽やかな笑顔を向ける。
「俺はこの街でひとり、悪と戦う[キッド]と言う者さ。勇敢なお嬢さんに一杯奢らせて欲しい」
「いや、遠慮する」
スワロの即答が聞こえていないのか、店員に指を鳴らすカウボーイのキッド。
癖っ毛の金髪に、確かに自惚れるだけはあるイケメン。
惣一郎とジルは席をスワロから少し離し、来た料理を急いで食べ始める。
スワロの薄目が刺さる……
店員もよく知っているのだろうか、当たり前の様にコップに注がれた酒をふたつ運んで来ると、了解も無く空いた席に座り、乾杯を求めるキッド。
「さぁ、ふたりの出逢いに!」
ダークエルフに物怖じしないキッドは、ガン無視のスワロにコップを傾ける。
メンタルも強そうだ……
すると、周りの客が一斉に立ち上がり、惣一郎達のテーブルから距離を取り始める。
雷に撃たれた男が、仲間を連れて戻ってきたのだ。
背中を向けるキッドは、まだ気付かないのか、スワロに向けたコップに映る自分を見ていた。
「キッド! てめ~ 性懲りも無くまたやりやがったな!」
連れてきた大男が、雷に撃たれた男に肩を貸しながら大声を上げる。
その声に振り返るキッドが答える。
「そいつがいけないのさ! 綺麗な花を無理矢理摘もうとするから」
ゾッとする惣一郎は空気になろうと必死だった。
仕返しに来た男達は4人。
すでにやられてる男を地面に座らせると、男達は武器を構える。
「今日という今日は、タダじゃ済まさねぇ!」
因縁もあるのだろう。
惣一郎はテーブルに金貨を一枚置くと、幻腕を出し、両脇のスワロとジルを掴むと、瞬間移動でその場を離れる!
転移を2度繰り返し、通りの奥の長閑な住宅街に飛んでいた。
「危ない…… 変なのに巻き込まれる所だった」
「すまん主人、つい……」
「逃げて正解です。あれは街でも有名な厄介者でして、ソロの奴隷商らしいのですが、すぐに女を口説く最低な男です。私も会うのは初めてですが……」
「ああ、まだ鳥肌が収まらん! 早く牛を買って街を出よう!」
惣一郎は雑貨屋で教わった農場へと歩き始める。
街の奥に広がる農場は広くは無いが、沢山の牛が草を食べていた。
牛と言っても惣一郎の知る牛とは違い、大き過ぎる一本の迫り上がるツノに、後ろ足がやたら大きく、草原に座る様に草を食べている。
色と体毛だけが知っている牛だった。
「牛ってあれだよな? カエルみたいに座ってる……」
「ええ、立派な牛ですね~ ここならきっと子牛を分けてくれると思いますよ」
やっぱあれが牛なのか……
カウボーイハットに似た帽子のつばを撫でながら、臭いセリフを片目を閉じて喋る男。
願わくば関わりたく無い部類の男だ。
落雷を受けた男は体から煙をあげながら、フラフラと記憶が飛んだのか、ぶつぶつと何かを言いながら歩き出す。
スワロも手加減はしていた様だ。
カウボーイは店員の女性に何か言うと、道を横切りこちらに向かって来る。
惣一郎は呪文の様に「来るな来るな…」っと連呼していたが、願いは届かなかった。
「危ない所を助けてもらった様だな。ダークエルフのお嬢さん!」
眩しいのか、ゴミでも入ったのか、男はずっと片目を瞑っている。
「邪魔した様だな、つい許せなくてな」
スワロも興味を無くした様に席に座り、面倒臭い奴に関わった事をようやく理解し後悔していた。
丸いテーブルに四つの椅子が並び、惣一郎達は3人で座っていた。
一つ空いた椅子に片足を乗せ、
「邪魔だなんてとんでもない、美しい女性ならいつでも大歓迎さ!」
っと、カウボーイが帽子のつばを人差し指で持ち上げ、爽やかな笑顔を向ける。
「俺はこの街でひとり、悪と戦う[キッド]と言う者さ。勇敢なお嬢さんに一杯奢らせて欲しい」
「いや、遠慮する」
スワロの即答が聞こえていないのか、店員に指を鳴らすカウボーイのキッド。
癖っ毛の金髪に、確かに自惚れるだけはあるイケメン。
惣一郎とジルは席をスワロから少し離し、来た料理を急いで食べ始める。
スワロの薄目が刺さる……
店員もよく知っているのだろうか、当たり前の様にコップに注がれた酒をふたつ運んで来ると、了解も無く空いた席に座り、乾杯を求めるキッド。
「さぁ、ふたりの出逢いに!」
ダークエルフに物怖じしないキッドは、ガン無視のスワロにコップを傾ける。
メンタルも強そうだ……
すると、周りの客が一斉に立ち上がり、惣一郎達のテーブルから距離を取り始める。
雷に撃たれた男が、仲間を連れて戻ってきたのだ。
背中を向けるキッドは、まだ気付かないのか、スワロに向けたコップに映る自分を見ていた。
「キッド! てめ~ 性懲りも無くまたやりやがったな!」
連れてきた大男が、雷に撃たれた男に肩を貸しながら大声を上げる。
その声に振り返るキッドが答える。
「そいつがいけないのさ! 綺麗な花を無理矢理摘もうとするから」
ゾッとする惣一郎は空気になろうと必死だった。
仕返しに来た男達は4人。
すでにやられてる男を地面に座らせると、男達は武器を構える。
「今日という今日は、タダじゃ済まさねぇ!」
因縁もあるのだろう。
惣一郎はテーブルに金貨を一枚置くと、幻腕を出し、両脇のスワロとジルを掴むと、瞬間移動でその場を離れる!
転移を2度繰り返し、通りの奥の長閑な住宅街に飛んでいた。
「危ない…… 変なのに巻き込まれる所だった」
「すまん主人、つい……」
「逃げて正解です。あれは街でも有名な厄介者でして、ソロの奴隷商らしいのですが、すぐに女を口説く最低な男です。私も会うのは初めてですが……」
「ああ、まだ鳥肌が収まらん! 早く牛を買って街を出よう!」
惣一郎は雑貨屋で教わった農場へと歩き始める。
街の奥に広がる農場は広くは無いが、沢山の牛が草を食べていた。
牛と言っても惣一郎の知る牛とは違い、大き過ぎる一本の迫り上がるツノに、後ろ足がやたら大きく、草原に座る様に草を食べている。
色と体毛だけが知っている牛だった。
「牛ってあれだよな? カエルみたいに座ってる……」
「ええ、立派な牛ですね~ ここならきっと子牛を分けてくれると思いますよ」
やっぱあれが牛なのか……
12
お気に入りに追加
258
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
男女比1対999の異世界は、思った以上に過酷で天国
てりやき
ファンタジー
『魔法が存在して、男女比が1対999という世界に転生しませんか? 男性が少ないから、モテモテですよ。もし即決なら特典として、転生者に大人気の回復スキルと収納スキルも付けちゃいますけど』
女性経験が無いまま迎えた三十歳の誕生日に、不慮の事故で死んでしまった主人公が、突然目の前に現れた女神様の提案で転生した異世界で、頑張って生きてくお話。
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
異世界エステ〜チートスキル『エステ』で美少女たちをマッサージしていたら、いつの間にか裏社会をも支配する異世界の帝王になっていた件〜
福寿草真
ファンタジー
【Sランク冒険者を、お姫様を、オイルマッサージでトロトロにして成り上がり!?】
何の取り柄もないごく普通のアラサー、安間想介はある日唐突に異世界転移をしてしまう。
魔物や魔法が存在するありふれたファンタジー世界で想介が神様からもらったチートスキルは最強の戦闘系スキル……ではなく、『エステ』スキルという前代未聞の力で!?
これはごく普通の男がエステ店を開き、オイルマッサージで沢山の異世界女性をトロトロにしながら、瞬く間に成り上がっていく物語。
スキル『エステ』は成長すると、マッサージを行うだけで体力回復、病気の治療、バフが発生するなど様々な効果が出てくるチートスキルです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる