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第二章
十一話【早く言え!】
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森にベンチテーブルを出し、作り置きの餡かけチャーハンを、中華スープにワカメとネギを入れた物と一緒に食べる。
出発前に町で作った物だが、湯気が立っている。
つくづく便利なスキルだ。
ドリーは飲み物しか摂らないので、種の中だ。
惣一郎は早々と食べ終え、お茶を啜りながら森を眺めていた。
大きな木の隙間から降り注ぐ木漏れ日。
風に揺れる音。
動物や虫の声。
厄災とは別に小さい虫もちゃんといる。
ただ見た事もないし名前も知らない虫。
まったりとした時間に、安らぐ惣一郎。
「ご馳走様でした」
手を合わせるスワロ。
「主人の食事は、何を食べても美味いな!」
「嫌いな物はないのか?」
「ああ」
ベンゾウ程ではないが、スワロも良く食べる。
お茶を淹れスワロに出すと、ドリーが顔を出す。
「妾にも!」
大分砕けて来た精霊。
ドリーにもお茶を淹れると、
「惣一郎は、何処に向かっておるのじゃ?」
「ん? ああ、森の北にある街だ」
「ほぉ、襲われておる集落か…… ズズズー」
「ああ、明日には…… なんて?」
「何がじゃ?」
「襲われている? 街がか?」
「ああ、その事か。昨夜から木が騒いでいたのでな」
「早く言えよ! 直ぐに向かうぞ!」
慌ててテーブルを収納する惣一郎。
スワロは食べたばかりで苦しそうだ。
ドリーのお茶を取り上げ、種に入る様に言うと、理喪棍にまたがりスワロを後ろに乗せる!
飛び上がり森の上空に出ると、遠くまで一瞬で転移する!
それを4~5回繰り返すと、遠くに煙が見えた!
「おいおい、何でもっと早く言わないんだ!」
また転移すると街の上空に出る。
瓦礫と化した街はあちこちから煙をあげ、まだ燃えている家屋も見える。
大きな外壁だけがぐるりと囲み、街の中央には、壊し飽きて寝ている様な巨大な厄災。
20m近くあるのではないか……
黒い外殻に白い模様に前脚2本が異様に長い、[ゴライアスオオツノハナムグリ]!
鍵爪の付いた鎖の様な長い前脚で大きな建物を抱える様に動かないでいる。
人の気配は…… 数人だけ?
後は転移で逃げたのだろうか?
大きな街にしては少な過ぎる。
惣一郎はそのまま、厄災の上空から殺虫剤を撒き、離れた所に降り立つ!
薬は余り効いて無い様だ!
「スワロ!」
惣一郎の声に杖を振り上げるスワロ!
惣一郎も盾を出し、ククリ刀を回し始める。
上空に現れた、大きな青龍刀が一本。
光る青龍刀はゆっくりと、さらに大きくなって行く!
最初に見た倍の大きさになると、スワロが目を開け、厄災めがけ杖を振り下ろす!
空にグルン!っと跳ね上がり、厄災に斬りかかる青龍刀!
だが大きく擦れる音をあげ、丸い体に滑る様にズレ落ちた光剣は、横の2本の脚を斬り落とすだけだった!
グイグググ……
妙な鳴き声をあげ長い前脚を鞭の様に横に振ると、瓦礫を薙ぎ倒しながらスワロに飛んで来る!
惣一郎の盾が前に現れ、瓦礫を跳ね返すが、遅れて来た鍵爪に引っ掛けられ、剥がされる!
そこにまた2本目の鞭が襲いかかって来る!
瞬間移動でスワロとの間に現れた惣一郎が、幻腕で大きくしなる前脚を受け止めるが、逸らすだけで吹き飛ばされる!
厄災は残された脚で向きを変え、また前脚を振り上げる!
惣一郎は吹き飛ばされながらもダメージは無い。
ただ援護が間に合わない焦りから、どうせなら!っとさらに遠くへ瞬間移動する!
勢い良く瓦礫を吹き飛ばしながら、スワロを襲う鍵爪を、杖で受ける気なのか諦めたのか、覚悟を決めたスワロが杖を前に構える。
惣一郎の前に強制転移したスワロが、力む瞼をゆっくりあげる。
「あれ!」
「スワロ、光剣じゃ丸い体に弾かれる! 炎槍か雷撃は!」
はっ!っと思い出した様に杖を構えるスワロ。
深く深く集中を始めると、厄災の上空に渦を巻き始める黒い雲が現れる!
所々でピカっと光る黒雲が広がると、厄災めがけ巨大な光の柱が、音も無く厄災と空を繋ぎ、景色を暗くする!
瞬時に遅れて耳を壊す様な大きな音が、全身にぶつかって来る!
ドッゴォォォォーーーーゴロゴロゴロ。
やったか!?
スワロがパクパクと何かを喋っているが聴こえない。
固まる厄災から煙が上がり始め、前脚が力無く地面に落ちる。
生存者は…… 良かった無事の様だ。
「やり過ぎだ!」
「ええ! なに~?」
「やり過ぎ、だ!!」
「なに、聴こえぬのだ!!」
「カムサムニダ!!」
「聴こえない、の、だ!!」
もういい……
出発前に町で作った物だが、湯気が立っている。
つくづく便利なスキルだ。
ドリーは飲み物しか摂らないので、種の中だ。
惣一郎は早々と食べ終え、お茶を啜りながら森を眺めていた。
大きな木の隙間から降り注ぐ木漏れ日。
風に揺れる音。
動物や虫の声。
厄災とは別に小さい虫もちゃんといる。
ただ見た事もないし名前も知らない虫。
まったりとした時間に、安らぐ惣一郎。
「ご馳走様でした」
手を合わせるスワロ。
「主人の食事は、何を食べても美味いな!」
「嫌いな物はないのか?」
「ああ」
ベンゾウ程ではないが、スワロも良く食べる。
お茶を淹れスワロに出すと、ドリーが顔を出す。
「妾にも!」
大分砕けて来た精霊。
ドリーにもお茶を淹れると、
「惣一郎は、何処に向かっておるのじゃ?」
「ん? ああ、森の北にある街だ」
「ほぉ、襲われておる集落か…… ズズズー」
「ああ、明日には…… なんて?」
「何がじゃ?」
「襲われている? 街がか?」
「ああ、その事か。昨夜から木が騒いでいたのでな」
「早く言えよ! 直ぐに向かうぞ!」
慌ててテーブルを収納する惣一郎。
スワロは食べたばかりで苦しそうだ。
ドリーのお茶を取り上げ、種に入る様に言うと、理喪棍にまたがりスワロを後ろに乗せる!
飛び上がり森の上空に出ると、遠くまで一瞬で転移する!
それを4~5回繰り返すと、遠くに煙が見えた!
「おいおい、何でもっと早く言わないんだ!」
また転移すると街の上空に出る。
瓦礫と化した街はあちこちから煙をあげ、まだ燃えている家屋も見える。
大きな外壁だけがぐるりと囲み、街の中央には、壊し飽きて寝ている様な巨大な厄災。
20m近くあるのではないか……
黒い外殻に白い模様に前脚2本が異様に長い、[ゴライアスオオツノハナムグリ]!
鍵爪の付いた鎖の様な長い前脚で大きな建物を抱える様に動かないでいる。
人の気配は…… 数人だけ?
後は転移で逃げたのだろうか?
大きな街にしては少な過ぎる。
惣一郎はそのまま、厄災の上空から殺虫剤を撒き、離れた所に降り立つ!
薬は余り効いて無い様だ!
「スワロ!」
惣一郎の声に杖を振り上げるスワロ!
惣一郎も盾を出し、ククリ刀を回し始める。
上空に現れた、大きな青龍刀が一本。
光る青龍刀はゆっくりと、さらに大きくなって行く!
最初に見た倍の大きさになると、スワロが目を開け、厄災めがけ杖を振り下ろす!
空にグルン!っと跳ね上がり、厄災に斬りかかる青龍刀!
だが大きく擦れる音をあげ、丸い体に滑る様にズレ落ちた光剣は、横の2本の脚を斬り落とすだけだった!
グイグググ……
妙な鳴き声をあげ長い前脚を鞭の様に横に振ると、瓦礫を薙ぎ倒しながらスワロに飛んで来る!
惣一郎の盾が前に現れ、瓦礫を跳ね返すが、遅れて来た鍵爪に引っ掛けられ、剥がされる!
そこにまた2本目の鞭が襲いかかって来る!
瞬間移動でスワロとの間に現れた惣一郎が、幻腕で大きくしなる前脚を受け止めるが、逸らすだけで吹き飛ばされる!
厄災は残された脚で向きを変え、また前脚を振り上げる!
惣一郎は吹き飛ばされながらもダメージは無い。
ただ援護が間に合わない焦りから、どうせなら!っとさらに遠くへ瞬間移動する!
勢い良く瓦礫を吹き飛ばしながら、スワロを襲う鍵爪を、杖で受ける気なのか諦めたのか、覚悟を決めたスワロが杖を前に構える。
惣一郎の前に強制転移したスワロが、力む瞼をゆっくりあげる。
「あれ!」
「スワロ、光剣じゃ丸い体に弾かれる! 炎槍か雷撃は!」
はっ!っと思い出した様に杖を構えるスワロ。
深く深く集中を始めると、厄災の上空に渦を巻き始める黒い雲が現れる!
所々でピカっと光る黒雲が広がると、厄災めがけ巨大な光の柱が、音も無く厄災と空を繋ぎ、景色を暗くする!
瞬時に遅れて耳を壊す様な大きな音が、全身にぶつかって来る!
ドッゴォォォォーーーーゴロゴロゴロ。
やったか!?
スワロがパクパクと何かを喋っているが聴こえない。
固まる厄災から煙が上がり始め、前脚が力無く地面に落ちる。
生存者は…… 良かった無事の様だ。
「やり過ぎだ!」
「ええ! なに~?」
「やり過ぎ、だ!!」
「なに、聴こえぬのだ!!」
「カムサムニダ!!」
「聴こえない、の、だ!!」
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