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第二章
十二話【街の生存者】
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サーチを頼りに、瓦礫をスキルで収納させながら、救助にあたる惣一郎。
すでに2人を救助したが意識が無い。
サーチの反応は、あと5人。
うちひとりの救助に難航していた。
「クソ! 瓦礫が多過ぎる! 迂闊に退かせば崩れかねん」
スワロは、救出した人の看病にあたっている。
「手伝うか? 惣一郎よ」
「ドリー! お前がもっと早く言ってくれれば」
「何じゃ聞かれておらんぞ?」
精霊だから無頓着なのだろうか?
「この下にひとり生き埋めになってる! 出来るか」
「妾は、精霊じゃぞ!」
すると地面がモコモコ動き出す。
瓦礫の隙間から現れた植物の蔓。
街の至る所に生えて来て、太くなって行くと、地面を掘り返し、出て来た蔓に巻かれた生存者が現れる。
一度に5箇所も!
ウネウネ動く蔓が、惣一郎の前に5人の生存者を置くと、地面へと帰って行く。
「や、やるな……」
「褒美を忘れるで無いぞ!」
種から出もせず、やってのけたドリー。
だが、5人とも意識が無かった。
惣一郎は外壁近くに残った木の近くに、種を置き、ツリーハウスを出すと、スワロと中に生存者7人を運び込む。
一階トイレ脇に、いつの間にか出来た大部屋にベッドを並べ、寝かせると、
「ったく、災難だな! 目的の街が……」
「だが、遺体の数も少な過ぎる。きっと街の人達は大方避難したのだろう」
だといいが……
ベッドに横たわる生存者。
その全員がエルフの女性だった……
スワロと交代で看病する事3日目、ようやくひとりが目を覚まし驚く。
「なっ! こ、ここは?」
惣一郎は飲み物を差し出して、ゆっくり説明する……
「そ、そうでしたか…… 助けて頂きありがとうございます。私は[ミネア]。妹達まで助けて頂きまして……」
お礼を言う割に表情は暗い。
「俺は旅をしている惣一郎だ。まだ回復には時間がかかるだろうから、話は後にして今は安静に。何か食べやすい物を持って来るよ」
そう言って部屋を出る惣一郎。
妹達…… えっ、全員姉妹?
二階ではドリーが洗い物をしていた。
褒美に精を要求した結果だ。
スワロはソファーで横になっていた。
「主人……」
「すまん起こしたか? ひとりが目を覚ましてな、何か食事を……」
「惣一郎よ、扱いが酷いのでは無いか? 妾は精霊じゃぞ」
「うるさいよ」
惣一郎は鶏肉と卵のおじやを作り始める。
炊いてあったご飯に水を加え、中華スープの素で味付け、鶏肉を細かく割いて入れ、卵でとじる簡単な物だったが地球産の料理だ。
怪我の治りも早まるだろう。
スワロと運び戻ると、他のエルフも目を覚まし、みな抱き合って無事を喜んでいた。
「みんな目が覚めたか。消化にいい物だゆっくり食って体力を……」
エルフ達はスワロに驚き、怯え始める。
フードを被っていなかった。
「あっ、あなたは…… ダークエルフ」
「あ、ああ、彼女はスワロ! 一緒に旅をしている仲間だ。お前達が心配する様な者じゃないぞ!」
「主人よ、私は上でドリーを手伝って来ますね」
気を遣ったスワロが、土鍋をテーブルに置くと、部屋から出て行く。
惣一郎は茶碗とレンゲを並べながら、
「スワロもお前らを助ける為に、一生懸命だったんだぞ。色々と思う所はあるんだろうが、後でちゃんとお礼ぐらい言ってやってくれな!」
「ええ、すいません…… 助けてもらって置いて」
「まっ、いいから食え! 先ずは元気にならないとな」
土鍋の蓋を取ると、部屋中にいい香りが広がり、エルフ達のお腹も鳴る。
顔を赤くするエルフ達。
惣一郎は笑いながらコップに水を注ぐ。
すでに2人を救助したが意識が無い。
サーチの反応は、あと5人。
うちひとりの救助に難航していた。
「クソ! 瓦礫が多過ぎる! 迂闊に退かせば崩れかねん」
スワロは、救出した人の看病にあたっている。
「手伝うか? 惣一郎よ」
「ドリー! お前がもっと早く言ってくれれば」
「何じゃ聞かれておらんぞ?」
精霊だから無頓着なのだろうか?
「この下にひとり生き埋めになってる! 出来るか」
「妾は、精霊じゃぞ!」
すると地面がモコモコ動き出す。
瓦礫の隙間から現れた植物の蔓。
街の至る所に生えて来て、太くなって行くと、地面を掘り返し、出て来た蔓に巻かれた生存者が現れる。
一度に5箇所も!
ウネウネ動く蔓が、惣一郎の前に5人の生存者を置くと、地面へと帰って行く。
「や、やるな……」
「褒美を忘れるで無いぞ!」
種から出もせず、やってのけたドリー。
だが、5人とも意識が無かった。
惣一郎は外壁近くに残った木の近くに、種を置き、ツリーハウスを出すと、スワロと中に生存者7人を運び込む。
一階トイレ脇に、いつの間にか出来た大部屋にベッドを並べ、寝かせると、
「ったく、災難だな! 目的の街が……」
「だが、遺体の数も少な過ぎる。きっと街の人達は大方避難したのだろう」
だといいが……
ベッドに横たわる生存者。
その全員がエルフの女性だった……
スワロと交代で看病する事3日目、ようやくひとりが目を覚まし驚く。
「なっ! こ、ここは?」
惣一郎は飲み物を差し出して、ゆっくり説明する……
「そ、そうでしたか…… 助けて頂きありがとうございます。私は[ミネア]。妹達まで助けて頂きまして……」
お礼を言う割に表情は暗い。
「俺は旅をしている惣一郎だ。まだ回復には時間がかかるだろうから、話は後にして今は安静に。何か食べやすい物を持って来るよ」
そう言って部屋を出る惣一郎。
妹達…… えっ、全員姉妹?
二階ではドリーが洗い物をしていた。
褒美に精を要求した結果だ。
スワロはソファーで横になっていた。
「主人……」
「すまん起こしたか? ひとりが目を覚ましてな、何か食事を……」
「惣一郎よ、扱いが酷いのでは無いか? 妾は精霊じゃぞ」
「うるさいよ」
惣一郎は鶏肉と卵のおじやを作り始める。
炊いてあったご飯に水を加え、中華スープの素で味付け、鶏肉を細かく割いて入れ、卵でとじる簡単な物だったが地球産の料理だ。
怪我の治りも早まるだろう。
スワロと運び戻ると、他のエルフも目を覚まし、みな抱き合って無事を喜んでいた。
「みんな目が覚めたか。消化にいい物だゆっくり食って体力を……」
エルフ達はスワロに驚き、怯え始める。
フードを被っていなかった。
「あっ、あなたは…… ダークエルフ」
「あ、ああ、彼女はスワロ! 一緒に旅をしている仲間だ。お前達が心配する様な者じゃないぞ!」
「主人よ、私は上でドリーを手伝って来ますね」
気を遣ったスワロが、土鍋をテーブルに置くと、部屋から出て行く。
惣一郎は茶碗とレンゲを並べながら、
「スワロもお前らを助ける為に、一生懸命だったんだぞ。色々と思う所はあるんだろうが、後でちゃんとお礼ぐらい言ってやってくれな!」
「ええ、すいません…… 助けてもらって置いて」
「まっ、いいから食え! 先ずは元気にならないとな」
土鍋の蓋を取ると、部屋中にいい香りが広がり、エルフ達のお腹も鳴る。
顔を赤くするエルフ達。
惣一郎は笑いながらコップに水を注ぐ。
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