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第二章

八話【枯れ木の貴婦人】

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惣一郎はジャイアントウェタをアイテムボックスに収納すると、驚き固まるパイジンに話しかける。

「危なかったな、何があったんだ?」

「惣一郎さん…… あんた何者なんだ……」

巨大な蟲を目の前で倒し、容易く消してみせた惣一郎。

ダークエルフの少女も怖がり、パイジンの後ろに隠れてこっちを見ていた。

「訳あって蟲を退治しながら旅をしている」

まだ信じられずに固まるパイジン。

惣一郎はテーブルを出し、スワロといつもの様にお茶を飲み始める。

こうなっては時間が掛かるだろう……




お茶で一息付くパイジン。

少女もストローでジュースを美味しそうに飲んでいた。

「とにかく助かったよ、もう死ぬと諦めかけていた」

「それで、何があったんだ」

「この子が森で、仕掛けた罠を見に行った際に蟲に襲われそうになってな。そのまま仲間達を巻き込む訳には行かないと、ここまで逃げて来たのだ」

「そうか、他は無事だったんだな」

「ああ、流石にもう、死んだと思っていたよ」

「妾のおかげじゃ、感謝するがよい!」

惣一郎のポッケの種から、現れたドライアドリス。

腰を抜かすパイジンと、ジュースの入ったコップを落とす少女。

勝手に出てくんなよ……

驚いたパイジンが、

「ま、ま、まさか![枯れ木の貴婦人]か!」

あれ? 

「そ、惣一郎さん、なぜ枯れ木の貴婦人を!」

慌てて少女の後ろに隠れるパイジン。

「おい、森の民は何だって?」

「いや…… 何じゃ、枯れ木の貴婦人とは……」

パイジンは語る。大昔の伝承を……


パイジン達、森の民の祖先は過去に一度、この森で絶滅の危機に遭っているという……

精霊ドライアドリスに精を搾り取られ、子孫を残せなくなるという危機に……


「ほら見ろやっぱり、災いの元じゃ無いか!」

スワロの言葉に、ドライアドリスが慌てる。

「い、いや知らぬぞ! 妾では無い!」

「全然、崇拝されて無いじゃないか……」

「待て待て惣一郎、妾では無い! 潤いは足りぬが、妾はまだ、枯れ木では無いぞ!」

いや枯れ木の様ですが……

驚く少女の後ろからパイジンが顔を出し、

「そ、惣一郎さん、な、何故ドライアドリスを連れているのだ」

っと声を震わせる。

溜め息を吐く惣一郎は、お茶を淹れ直す。



「す、凄いな、こんなに早く本当に見つけて来たのか? ツリーハウスを……」

「ああ、だが変なのが憑いた事故物件だった」

「憑いてたとは何だ! 妾は宿っている精霊じゃぞ、尊く敬われる存在なのだ」

ビクっ!とするパイジン。

「よっぽど怖く語らえてる様だが……」

「妾では無い! きっと別のドライアドリスじゃ!」

出会いが出会いだけに、信じられん。

「主人よ、やはりあの家は手放すしか」

「そうだな、見た目もデカいしな~」

「いえ、見た目は惣一郎さんの思う通りの大きさに出来るのですが……」

「如何にも、種から巨大な大木まで、あらゆる大きさに変えられるし、周りの植物と似せて擬態する事も可能じゃ!」

ビクっ!

そこにパイジン達を心配し、追いかけて来たダークエルフ達が現れる。

「パイジン! 無事か」

現れた6人の褐色のエルフ。

みな銀髪で黒髪のスワロとは少し違う。

「[キルト]無事だったのね!」

少女に抱きつく、綺麗な銀髪エルフの女性。

すると、遠巻きに枯れ木と思っていたドライアドリスに気付き、腰を抜かす4人のダークエルフの男達。

「パ、パイジン!」

ややこしくなりそうだ……





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