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第二章

六話【精霊うざし】

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深夜かいた汗をクリーンの魔法で綺麗にする、裸のふたり。

「主人は凄いな……」

頑張り過ぎたかな?

「こんな素敵な城を……」

あ、そっちか……

心地良い疲れの中、ぼーっとベッド脇の床を見ていると、床の一部が薄っすらと光りだす!

飛び起きる惣一郎!

スワロもシーツを纏う。

床から突然現れたのは、木で出来た人の様な影であった。

腰を曲げ、前屈みの枝で造られた様な人影が、起き上がると、木の質感そのままの女性だった。

髪の毛まで枝で出来ている。

「だ、誰だ!」

惣一郎は慌てて幻腕を出し、ククリ刀を回し始める。

「突然すまない人の児よ…… 妾は木の精霊[ドライアドリス]……」

ドライ…… 精霊?

「敵意は無い……」

無いのだろう…… あればとっくにやられてる。

「にしても、覗きは良く無いぞ!」

スワロさん、今はそれ所じゃ……

「生き物にとって至極自然な事だ、気にする事なかろう……」

「いや、こっちが気にするのよ!」

「そうか…… すまぬ、以後憶えておこう……」

「と、取り敢えず…… 服着ていいか?」




惣一郎は改めて、キッチンのテーブルでお茶を出す。

ドライアドリスは出されたお茶に興味を示す。

「毒なんて入ってないぞ」

「口にする物なのか…… どれ……」

身体から生えた枝が、器用に口元にお茶を運ぶ。

「ほぉ、染み込む……」

「そ、それで、突然現れた理由を聞いても?」

「突然現れたのは、其方らなのだが…… まぁよい話そう……」

ドライアドリスは、このツリーハウスに何百年も宿っていた精霊だと言う。

それが突然、大きな魔力を取り込み、木が喜びの声をあげているというので、深い眠りから目覚めたそうだ。

まさか精霊がいたとは……

人の短い時間だろうと気にもしなかったそうだが、夜の惣一郎達のアレがアレして、床に付いたアレを取り込んだ所、濃縮された魔力に驚き、力漲り、数百年ぶりに世に顕現したそうだ……

まさか…… 出来たとか言い出さないだろうな!

「惣一郎といったか、其方… 先ほどの精…… もっとくれぬか?」

「「 断る! 」」



折角手に入れた家に、まさかこんな変なのが憑いていたとは……

どうする…… 手放すか…… 

クソ……




すっかり様変わりした室内を、珍しそうに見て回るドライアドリス。

床に沈むと向こうの壁から現れたり、壁に溶け込むと天井から顔を出す。

神出鬼没とはまさに…… そしてウザイ!

「すまん、スワロ…… 折角手に入れた家だが、他を探そうと思う」

「そ、そんな! おのれ覗き魔め倒してやる」

やめなさい……

「それは困るぞ惣一郎…… 妾も既に、其方の精の虜じゃ」

「やっぱ出よう……」



窓に朝陽が射し込む。

爽やかな朝を迎えた惣一郎の顔は曇っていた。





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