8 / 61
第一章
八話[悪霊?]
しおりを挟む
冒険者になると決めたものの、この村にギルドはなく、南東にある[ザマリの街]まで行く必要がある。
今の士郎がひとりで行くには厳しいと、3日後に来る行商に同行できる様、村長のゲリオから頼んでくれる事になった。
それまではルイダさんの家を借り、食事などは毎晩ゲリオさんとグレタさんが作りに来てくれる。
村長のゲリオさんは元冒険者だったそうで、若い時に使っていた皮の胸当てや短剣など、気前よくくれた。
武勇伝を聞かされるぐらい我慢しよう。
そして3日後……
朝に到着した一台の馬車は忙しなく荷物をひとりで下ろしており、ゲリオが一方的に話しかけている。
雑貨屋のグレタは検品に忙しい。
士郎は青い顔で商人を見ていた……
中年だろう腹の出た商人。
その背後から抱き付く青白く光る髪の長い女性。
俺この人と旅するの……
仕切りに肩を回す商人。
重いのね……
「シロウよ! いいそうじゃぞ」
手に持つ杖で肩を叩きながら、笑顔を向ける商人。
名前はエルドル。
魔法が使える商人との事で、この辺りならひとりで回っているそうだ。
「ザマリまで馬車で2日はかかるので、食料は事前に用意して下さいね。ホホホ」
士郎を睨む背後の女性……
怖い…… ヒロインじゃない事を祈る。
杖を持つ魔法使いに興味津々であったが、今はそれどころじゃない。
目線を逸らそうと検品中のグレタに食料は服を売ったお金で買うと言ったのだが、士郎が収納スキルを持ってると先日打ち明けていたので、どうせ腐らないからと調理済みの食料を村の人たちが沢山差し入れてくれるはずとの事。
ありがたい。
そして自慢できるINTだけあって容量も余裕である。
結局グレタさんから貰ったお金は手付かずのまま、収納スキルの出し入れの練習にしか使っていなかった。
エルドルさんも一晩は休むそうで、出発は明日の朝になる。
今晩は送別会という名の飲み会だそうだ。
TVもスマホもない世界。
ここでの娯楽は飲み会なのだろう……
まだ見てる。
作業が終わると夜の飲み会まで寝ると集会所にゲリオと向かうエルドル。
毎度の事なのだろう慣れている。
グレタも店に戻る。
そして残された士郎と長い髪の女……
連れてけよ。
『見えるのかい?』
返事をするかシカトの二択を迫られる!
『聞こえるんだね!』
一択でした……
「あ、あのエルドルさんのお知り合いで?」
長い髪で顔を隠す血色の悪い女が目の前に距離を詰める。
ドレス姿だが高価な感じではなく、町娘といった感じの30前後の女性。
『私はミルザ。あの男に殺された元妻さ』
「殺された?」
『そうさ! アイツは私の事を愛してなんていなかったのさ!』
関わりたくねぇ~
「そ、それで取り憑いてると?」
『取り憑く? そうさね私はアイツが死ぬまで見届けてやるのさ! 私と同じ目に合わせてやる!』
「なるほど… まぁ気長に頑張って下さい」
そう言うと士郎はひとりルイダの家へと帰って行く。
残された女の霊。
キョトンとしてるだろうが表情は変わらない。
ロイドさんの話じゃ触れられないし、害は肩凝りぐらいだろう。
それより関わりたくないと思う士郎であった。
今の士郎がひとりで行くには厳しいと、3日後に来る行商に同行できる様、村長のゲリオから頼んでくれる事になった。
それまではルイダさんの家を借り、食事などは毎晩ゲリオさんとグレタさんが作りに来てくれる。
村長のゲリオさんは元冒険者だったそうで、若い時に使っていた皮の胸当てや短剣など、気前よくくれた。
武勇伝を聞かされるぐらい我慢しよう。
そして3日後……
朝に到着した一台の馬車は忙しなく荷物をひとりで下ろしており、ゲリオが一方的に話しかけている。
雑貨屋のグレタは検品に忙しい。
士郎は青い顔で商人を見ていた……
中年だろう腹の出た商人。
その背後から抱き付く青白く光る髪の長い女性。
俺この人と旅するの……
仕切りに肩を回す商人。
重いのね……
「シロウよ! いいそうじゃぞ」
手に持つ杖で肩を叩きながら、笑顔を向ける商人。
名前はエルドル。
魔法が使える商人との事で、この辺りならひとりで回っているそうだ。
「ザマリまで馬車で2日はかかるので、食料は事前に用意して下さいね。ホホホ」
士郎を睨む背後の女性……
怖い…… ヒロインじゃない事を祈る。
杖を持つ魔法使いに興味津々であったが、今はそれどころじゃない。
目線を逸らそうと検品中のグレタに食料は服を売ったお金で買うと言ったのだが、士郎が収納スキルを持ってると先日打ち明けていたので、どうせ腐らないからと調理済みの食料を村の人たちが沢山差し入れてくれるはずとの事。
ありがたい。
そして自慢できるINTだけあって容量も余裕である。
結局グレタさんから貰ったお金は手付かずのまま、収納スキルの出し入れの練習にしか使っていなかった。
エルドルさんも一晩は休むそうで、出発は明日の朝になる。
今晩は送別会という名の飲み会だそうだ。
TVもスマホもない世界。
ここでの娯楽は飲み会なのだろう……
まだ見てる。
作業が終わると夜の飲み会まで寝ると集会所にゲリオと向かうエルドル。
毎度の事なのだろう慣れている。
グレタも店に戻る。
そして残された士郎と長い髪の女……
連れてけよ。
『見えるのかい?』
返事をするかシカトの二択を迫られる!
『聞こえるんだね!』
一択でした……
「あ、あのエルドルさんのお知り合いで?」
長い髪で顔を隠す血色の悪い女が目の前に距離を詰める。
ドレス姿だが高価な感じではなく、町娘といった感じの30前後の女性。
『私はミルザ。あの男に殺された元妻さ』
「殺された?」
『そうさ! アイツは私の事を愛してなんていなかったのさ!』
関わりたくねぇ~
「そ、それで取り憑いてると?」
『取り憑く? そうさね私はアイツが死ぬまで見届けてやるのさ! 私と同じ目に合わせてやる!』
「なるほど… まぁ気長に頑張って下さい」
そう言うと士郎はひとりルイダの家へと帰って行く。
残された女の霊。
キョトンとしてるだろうが表情は変わらない。
ロイドさんの話じゃ触れられないし、害は肩凝りぐらいだろう。
それより関わりたくないと思う士郎であった。
32
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!
決して神の使徒ではありません 〜転生したら川の中!? 無自覚に規格外の魔法で無双します〜
星 月乃
ファンタジー
「どうして、こんなに注目されているんだ!?」
前世で過労死し、どこからか「新たな生を授ける」と声が聞こえ、気が付いたら川の中にいた!!
「これってまさか捨てられたのでは!?」
生まれ変われるならもっと良い場所にしてよ!!
そう嘆いていると、一人の男性が現れた。
「私の子として、育てよう」
数年後、立派に育った少年は冒険者を目指し、王都に向かった。
すると、規格外の力に神の使徒だと崇められ始める。
「俺、そんなに強くないぞ」
少年は無自覚に無双する。
そして、次々と起こる事件に巻き込まれていく……。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる