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第十話 ラッシュテイル

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みるくと一緒に過ごすようになり、気づけば2ヶ月の時がたっていた。
そんなある日

みるく「ねぇ、なんで他の女の子とパーティー組んだりするの?嫌なんだけど!」

圭一は驚いた。ゲーム内の話で嫉妬などないと思っていた。みるくはあまりゲームが得意では無いため、圭一は高報酬を得れるクエストは先に他の人たちと行き、その後みるくを手伝うという流れが出来上がっていた。
みるくの中で鬱憤が溜まっていたのだろう。それがこの日爆発した。

旦「え?報酬欲しいし、手伝ってるからいいやろ?」

強さを求める圭一にはみるくがなんの事で怒っているのか分からなかった。

みるく「私は旦と二人で遊んでたいの!他の女の子と遊んで欲しくないの!」

その言葉でやっと気づいた。しかし、リアルに発展するようなゲーム関係にはトラウマがあった圭一は徐々にみるくと距離を置くようになっていった。

みるく「もういい、離婚しよ」

旦「そだね」

「好きだったのに」そんな言葉を残し、みるくはゲームから完全に姿を消した。
悪い事をしたという思いもあったがゲーム内で関係を留めたいと考えていた圭一には仕方の無い選択であった。

夕闇「あれ、みるくちゃんと別れたの?」

旦「うん。もう辞めるってさ」

夕闇は旦が所属するギルドのマスターだ。

夕闇「まぁそんなこともあるさw次の伴侶探さないと効率悪くなるよ!」

旦「フリーの相手探してくるわ…」

夕闇「いい人見つかるといいね!」

離婚したところで精神的なダメージは無かったもののゲーム効率が落ちるのは嫌だった。
とりあえずギルドの中から未婚の子を探し1人の女キャラに声をかけた。

りん「いいよ!」

旦「ホント?よかった!」

またしても相手のことを何も知ることなく結婚に至る。現実世界ではありえない事だが、これがゲームの中での結婚事情である。

結婚後1ヶ月も経っていなかったであろう。
毎日ログインしていたりんが、その日はゲームに来なかった。そんな日もあるだろうなと思い特に気にすることもなかった。だが次の日驚愕することとなる。

りん「昨日はごめんね。来れなくて。」

旦「大丈夫だよ!来なそうだなと思って日課はやったから!問題なし!そっちは大丈夫だったの?」
そこまで興味もなかったが一応何があったのか確認してみることにした。

りん「大丈夫、少し入院することになってさ。」

旦「入院?」

いきなり過ぎる単語に酷く驚いた。

りん「そ、入院…」

旦「どした?病気?怪我?大丈夫なの?」

リアルに興味が無いとはいえ、さすがに入院と聞いては聞かずには居られなかった。

りん「ちょっと足折っちゃってw」

旦「怪我かぁ、気をつけなよ?wお大事に!」

病気ではないと知り安堵した。重い病名を告げられたら返事の内容が思いつかないところだった。

旦「ゲームはできるの??」

りん「入院中は暇だし、検査の時以外はずっと出来るよw」

旦「じゃぁ沢山遊べるねw」

深く考えることも無く、その話はそこで終わることとなる。

1ヶ月後

旦「さすがに入院長くない?」

りんはまだ入院したままのようだった。

りん「うん、骨折はだいぶ良くなったんだけど持病の方がちょっとね」
持病があるなど聞いておらず圭一は驚いた。驚きとともに質問を投げかける。

旦「持病??大丈夫?なんの病気か聞いても?」

喘息とかそうゆう類の病気だと思ったのだろう。何も考えず気軽に問いかけていた。

りん「うんとね、がん…なの」

想像もしていなかった病名に言葉が詰まる。

旦「え?大丈夫なの?」

入院しているのだから大丈夫なわけは無い。しかし、それ以外の言葉が出てこなかった。

りん「大丈夫だよw最近体調良かったんだけど、怪我で病院来たら少し検査することになっただけw」

圭一は病気への知識が豊富ではなかった。本人がそう言うならそうなのだろうと思う以外なかった。

旦「大丈夫ならいいけど、無理しないでね、ゲームの日課なら進めといてあげるから」

りん「大丈夫だし、暇だから私が操作するよ!旦は放置して仕事してていいよw」

やってくれると言うなら特に断る理由もなく、おまかせする事にした。話し相手がいた方が良いだろうなど気にすることもなかった。

ある日の夜

旦「仕事終わり!あれ?今日は日課終わってないのか!一緒にやろっか!」

りん「ごめんね、今日はちょっと気持ち悪くて画面見れなかった。」

旦「つわり?大丈夫?」

病気の患者に言うような冗談ではなかったが、笑ってもらえるかと思っていた。

りん「薬がちょっと多くて」

さっきの冗談を後悔した。

旦「無理してゲームしなくていいよ。日課なら俺がやるから寝てな!ゆっくり休んで早く元気になるんだよ。」

さすがに心配になり精一杯優しい言葉を選んだ。

りん「ありがとう、少し寝るね」

旦「おやすみ、つらい様なら明日もINしといてくれれば俺がやるからね!」

りん「分かった。おやすみ」

リアルに踏み込まないと決めていた圭一も流石に心配になった。

圭一「早く良くなればいいんだけど…大丈夫なのかな…」

りんのことを好きになった訳では無いが、病気の話を聞いた時からなつの事を考える余裕がほとんど無くなっていた。


続く
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