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第七話 2度目のデート

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けい「おはよ!8時45分着の電車に乗るよォ!」

なつ「分かったァ!少し前に着いておくね!」

圭一は相変わらず電車に苦手意識があり、ホームで降りた後に迷う自信しか無かった。その為なつが先について待ってくれている約束をしていたのだ。

電車に揺られながら東京に向かう、その道中でTwitterの事など頭の片隅にさえ無くなっていた。なつに会える嬉しさ、それだけが圭一の脳を支配していた。

新宿に着くと前と同じ場所で携帯をいじるなつの姿が目に入った。
驚かせようと近づいてみたが、すんでのところで振り向かれた。

けい「気づいてたの?」

なつ「そりゃわかるよw」
少し残念そうな顔をした圭一の手をなつが引っ張る。

なつ「いこ!!」

手を繋ぐそんな単純な行為で嬉しくなる。まるで思春期の少年のようだ。

けい「今日は何する?」

なつ「けいは何したい?」

圭一は少し考え無難な答えを導き出した。

けい「俺はなつといられればなんでもいいよ!」

なつも嬉しかったのだろう、多少顔を赤らめながら

なつ「じゃぁ歌舞伎町行こうか」

けい「はぁい」

圭一は東京に何があるかを知らない、もちろん歌舞伎町という名前は知っていたが、夜の街というイメージしか持っていなかった。

けい「ここが歌舞伎町かぁ…あれだよね?ホストの街!」

完全に漫画とドラマの知識である。歌舞伎町=ホスト。この構想が定着しているのは田舎者の特徴であろう。

なつ「そうだけど、昼はそんな感じでもないよw」

けい「へぇ」

たしかによく見ると建物は多いがショッピングやご飯屋など普通の建物が多いことに気づいた。

なつ「イチャイチャしたい…?」

唐突になつからの質問が飛んできた。答えなど一択に決まっている。

けい「したい!!」

なつ「じゃぁこっち」

なつに連れられある建物に到着した。まるで東南アジアの建物を思わせる不思議な建物だ。例えるなら某ネズミランドの魅惑のチキルームだ。そんなことを思いながら後について入っていく。

なつ「どの部屋がいい?」

けい「どれでもいいよ?なつの好きなとこで」

なつ「じゃぁスイートで」

「スイート???」圭一は心の中で驚きの声を上げた。田舎者の圭一にはスイート=高級な部屋というイメージしか無かったからだ。
恐る恐る値段をのぞき込む。意外と安かった…「いや、ラブホだとバカ高くないか?」心の中でそんな葛藤をしている間に、なつはご自由にお取りくださいと書かれた棚からケーキを持っていた。

なつ「何かいる?」

けい「いや、大丈夫…」
システムが分からなすぎて圭一は混乱していた。フワフワした頭のまま部屋に入る。

けい「おお、綺麗な部屋だね!」

なつ「でしょ?有名なホテルなんよ!女子会とかでも結構使ってるんだぁ!」

けい「女子会でラブホ…」
圭一にとっては驚きでしか無かった。圭一にとってラブホテルは「いやらしいことをする場所」その選択肢しかもちあわせていなかった。

けい「今どきは女子会でも使うのかァ、へぇ


なつ「うんwとりあえずぎゅーしよ!おいで!」

圭一はなつに促されるままベッドに座るなつに抱きついた。全てがどうでも良くなるような魔法の匂いに包まれる。
なつは決して胸がふくよかな部類では無い。全身スレンダーなタイプだ。
それでも、なんとも言われぬやわらかさを感じ圭一は冷静さを失っていく。

けい「会いたかった、愛してる」

なつ「私も…」

1ヶ月ぶりに会ったカップルが激しく求め合うことになんの矛盾もありはしないだろう。
全てを終えお互いが冷静さを取り戻す。

けい「もうお昼だね…」

圭一はタバコをふかしながらなつに話しかけた。
疲労でベッドにうつ伏せになったなつが答える。

なつ「ここのホテルは外出もできるし、ルームサービスも美味しいよ?」

けい「外出出来るのかぁ…でも、ルームサービス見てみようかなぁ。」

テレビのリモコンを操作しサービスのメニューを選ぶ

けい「野菜が乗ってるの気に入らないけど全部美味しそ…」

なつ「野菜は私が食べるよw」

圭一は美味しそうなメニューを一通り頼む

なつ「頼みすぎじゃない?結構大きいよ?」

けい「え?」

圭一の頭の中では田舎のホテルがおまけ程度で提供している料理のイメージしか無かったのだ。

しばらくすると料理が運ばれてきた。

なつ「ほらぁ多いw絶対食べきれないよw」

けい「た、食べれるし!」
圭一は強がって見せたが、やはり食べ切ることは出来なかった。

なつ「この後どうしよっかぁ、ぶらぶらしてもいいし。このままホテルで過ごしてもいいよ?」

圭一は都合のいい耳を持っていた。ホテルで過ごしてもいい、つまり、

けい「もっといちゃつきたいってことだね!頑張るよぉ!」

なつ「え?ちがっ?そういう意味じゃ…」

言葉を遮るように圭一はなつに襲いかかる。
気づけば外は夕暮れで、会社に戻らなければならない時間が近づいていた。

けい「ごめん。せっかくのデートだったのにホテルで一日終わっちゃった…」

なつ「けいと一緒にいられるだけで幸せだから場所はどこでもいいよw気にしないでw」

その言葉に救われた。帰りの電車に間に合うようホテルを出た。

なつ「まだ少しだけ早いかなぁ」

けい「電車の時間?んー、じゃぁタピオカ飲も!」

駅の近くのタピオカミルクティー、の店に向かう、圭一にとって若い子はタピオカ好きだろ?そんなオヤジ思考があったのだろう。

2人でミルクティーを買い駅に向かう。

なつ「次はいつ会えるかな?」

けい「そうだなぁ、まだ予定が分からないから空いてる日あったらすぐ連絡する」

なつ「待ってるね」

この時の圭一は気づきもしなかった、「待ってるね」その言葉に期限があったことに。


続く
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