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9話

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 僕は今コーダ伯爵様と話をしていた。貴族と思い、もっと偉ぶった感じだと思っていたが、全く違いかなり優しそうな雰囲気だった。記憶がないことを話すと、

「そうか・・・リョータ殿もかなり苦労したのだな。」

 と真面目にそういったので少し心が痛んだ。そして今回呼ばれた本題に移った。

「して、リョータ殿は本当に龍を倒したのか?」
「あ、それは本当ですね。」
「どうやって倒したのだ?あの無敵とまで呼ばれた体に傷をつけるとは!?」
「それは、自分の能力を使ってですね。」
「能力だと?確か記憶がないのではなかったのか?」
「はい。僕は記憶がないのですが、自分の能力や自分のことは知っている。ただ、今までどこで何をやっていたのかまでは覚えてないんですよ・・・・」
「そうか、それでその能力と言うのは?」
「あんまり、人には言わないでくださいね?僕の能力は簡単にいえば無から有を生み出すといってもいいでしょう。」
「無から有を?それはどういうことだ?」
「はい。その前に一つ聞きたいのですが、この世界にアイテムボックスはありますか?」
「アイテムボックス?なんだそれは?」
「いえ知らないのでしたらいいのです。例えば今この場で生成できるとしたら、アイテムでいいでしょうか?」

 僕はアイテム生成を使いリストを開く。どうやらこのリストは他人には見えないようだ。

 アイテム生成

 ランク1 九級ポーション 蝋燭 鉄の金床 鉄のハンマー 砥石 布袋 
 ランク2 八級ポーション 七級ポーション 六級ポーション 革袋 上級砥石 銀の金床 銀のハンマー
 ランク3 五級ポーション 鋼の金床 鋼のハンマー ミニボックス
 ランク4 四級ポーション プラチナの金床 プラチナハンマー 布のリュック 革のリュック 
 ランク5 三級ポーション 二級ポーション 一級ポーション ミスリルの金床 ミスリルのハンマー 大型リュック 特級砥石
 ランク6 ハイポーション ボックス 奇跡の金床 奇跡のハンマー 奇跡の砥石
 永遠の蝋燭 マップ

 うわ!ランク6まで生成可能って・・・とりあえず一級ポーションにしよう。そちらの方が、信憑性が高いし。アイテム生成、一級ポーション!最近になって心の中で言っても生成されることが分かった。体からものすごい力が出ていくような感じがしたが、机の上には瓶の中に入った、赤い液体が現れた。

「これは・・・・なんだ?」
「一級ポーションだと思うのですが、一様鑑定していただいてもいいですか?」
「一級ポーション!?早く鑑定するのだ!」
「はい!」
『鑑定』
「どうだ?本物か?」
「はい・・・伯爵様これは本物の一級ポーションです。」
「そう・・・か・・・・リョータ殿このことはあまり人に言う出ないぞ。悪いやつらにばれれば、いいように使われて死ぬのが落ちかもしれん。」
「はい・・・・」
「それより、疲れているようだが大丈夫か?」
「どうやら、生成するときにはランクが高ければ高いほどmpを使う量が多くなるようです。」
「そうか、とりあえずその能力を使って龍を倒したのだな?」
「ええ、そうですよ。」

 ステータスを開き、mpを見ると
 
 mp10908/108

 僕はとても驚いた。一級ポーションを作っただけで10800も持ってかれたのだから。これからは、もっとmpを上げてから、ランク6以上は生成しよう。そうじゃないと、mpが足りなかったときが怖い。

「ふむ、リョータ殿我の所に来ないか?」
「えっと、家来になれという事ですか?」
「いや、そういう事ではないが、まぁ言い方を変えればそうだが・・・・」
「あ、伯爵様が自分を守ってくれるという事ですか?」
「あぁ、そうだ。ところでリョータ殿は今何歳なのだ?」
「僕ですか?僕は十七歳ですが?
「そうか、そうか。よし、リョータ殿、我の名を使うことを許そう!他の貴族にお抱えになれと言われたときに我の名を言うといい。その代わりに娘・・・ティアラのことを守ってやってくれぬか?」
「はい!ティアラとはチームを組んでいるので命を預けあっているといってもいいです。なので僕は、ティアラのことを守りますよ。」
「よろしく頼む。よかったなティアラよ!」
「はい!」
「え・・・・聞いてた・・・・の?」
「盗み聞きは良くないとわかってはいるのですが、父がお前も聞いておいた方がいいだろうと。」

 僕は顔がどんどん赤くなっていくのがわかる。まさか、守るといったのがティアラにも聞かれていたとは思っていなかったからだ。とにかく恥ずかしかった。

「私も、今は弱いかもしれませんが、絶対に強くなってリョータさんのことを守ります!」
「ありがとうな。ティアラ。そういえば何故ティアラは冒険者をやっているのでか?」
「うん?言ってなかったか。我の家の家系は騎士なのだよ。だから、ティアラにも修行のために冒険者をやってもらっているのだよ。」
「そうだったんですか。」
「とりあえず、今日は疲れているだろうから、休むといい。何か忘れているような気がするのだが?そうだ!リョータ殿はどうやってここまで来たのだね?どうやら馬車に乗ってこなかったようだが?」
「それはもちろん僕の能力で、ですよ。」
「ふむ、リョータ殿の能力は万能だな!」

 そう言った後にコーダ伯爵はベルを鳴らす。チリンチリン!

「お呼びでしょうか?ご主人様。」
「うむ。リョータ殿部屋まで連れていってくれ。」
「かしこまりました。ご主人様。リョータ様こちらへ。」
「はい。それでは失礼します。」

 僕は部屋から出ていった。

「して、ティアラ?彼のことをどう思っているのかな?」
「え!?リョータさんのことですか?」
「彼以外誰がいるというのだ。それで、好きなのか?」
「うぅ・・・・・それ、は・・・・・」
「好きなのだったら、早く言うか、行動に起こさんとな。それでどこが好きなのだ?」
「うぅ・・・父上の・・・・馬鹿ーーーーーー!」

 バタン!

「ふむ、そうかそうか、家の娘もそういう年ごろか・・・それに歳も近いしな。」

 伯爵は満足そうに一人で頷いた。
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