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94.洞窟のその先には?
天空の魔女 リプルとペブル
しおりを挟む94.洞窟のその先には?
動物たちとの別れもすんで、リプルたちは、不気味な穴へと入ることにした。
中は真っ暗だったが、リプルが落ちていた木の枝を拾ってそれに火をともした。
たちまち洞窟の中がぼうと明るく光って、自分たちの影が壁に大きく映し出される。
「たいまつ一本だけだと後ろの方は暗いかな?」
リプルが後ろをふりかえるとペブルと目が合った。
「大丈夫、明かりを目印に歩くから。あ、もう迷子にならないよう気をつけます」
前回、洞窟で迷子になったことを反省しているらしいペブルの言葉に、クスッとリプルが笑う。
「それより先を急ごうぜ。それにしても、リプルはすごいな。誰かさんと違って」
ロッドが皮肉なことばをペブルの背中になげつける。
「悪かったわね。私は基本魔法すら使えないダメ魔女で」
ペブルが振り返って、むすっとした声で答える。
ジールの平和な声が前のほうから聞こえてきた。
「そうか、魔女学校のみんなが基本魔法を使えるってわけでもないんだね」
「うわぁ、ジール。そっちの言い方の方が軽く傷付くかも」
「ごめん、ペブル。そんなつもりじゃなかったんだけど」
「いいよ、ジールは、イヤミとか言わないもんね。誰かさんと違って」
ペブルは皮肉まじりの声で言いつつロッドを振り返った。
「なんだよ、ペブル。さっきの仕返しかよ」
「へへーん。ちょっと、ロッド、私の肩、触らないでよ」
「バッ、バカッ、お前の肩なんか触るわけねーだろ。それより、お前こそ早く歩けよ。さっきからなんか、バサバサ音させて、何やってんだよ」
そんな二人の会話、いや口ゲンカを聞きながらリプルは、肩をすくめた。
「ペブルとロッド、ほんと近くにいるとケンカばっかりね」
「けんかするほどなんとかって言うから。それよりリプル、さっきの基本魔法の続きだけど、みんな基本魔法の使い方は勉強するんだよね」
ジールは魔法の勉強の仕方が気になったみたいだ。
「小学部で基本魔法を全て学んだわ。でも、みんなそれぞれ得意不得意があるみたいで、マーサは水魔法が得意よね」
「ええ、私は基本魔法の中では水が得意。でも、リプルはオールラウンドなの。私たち魔女学校中等部の中でも火、水、風、土の基本魔法を全て使いこなせるのは、リプルくらいかもしれないわ。リプルは本当にすごい才能があるの。天才ってリプルのこと言うんだと思う」
「ありがと、マーサ。でもあんまり買いかぶらないでね」
その時、リプルが急に立ち止まった。くしゃみが出そうになったのだ。
(くしゃみが出るってことは、この洞窟の中も魔力に満ちてるのね。またオオカミの耳が出ちゃうかも)
リプルはあわててフードを深くかぶった。かぶったとたんに、クシュンとくしゃみがでて、そして耳がピンと立った感覚がした。
(よかった間に合った)
そして、オオカミの耳が立ったとたん、聴覚が鋭くなったリプルの耳にいろいろな音が飛び込んできた。
コロコロ、ヒューン。これは一体何の音だろう。何か物が、落ちるような……落ちる?
「あぶない! みんな止まって!!」
と、リプルが叫んだ時には遅かった。
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