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60.カルキ―ってどんな鳥?
天空の魔女 リプルとペブル
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60.カルキーってどんな鳥?
リプルたちを乗せた馬車は山道をゆっくりと進んでいく。
ふもとで見た時は、かなり標高が高そうな山に見えたが、実際に足を踏み入れてみると、なだらかな坂がくねくねと曲がりながら続いているのだった。
坂道の分だけ、馬車もゆっくりと進むので、今日はペブルも馬車酔いしていなかった。
それどころか、荷台の横から幌を持ち上げて、景色をにらみつけるように見つめている。
ペブルは、幻の鳥、カルキーをさがしているのだ。
「なあ、ペブル。カルキーってどんな鳥なんだよ」
ロッドが尋ねる。
「これよ」
と、ペブルが見せた紙に描かれていたのは、丸い頭に楕円の体がついた茶色い鳥の絵。
「何だこれ、子どもの絵じゃん。これじゃわかんねーよ。なんか特徴とかないのか?」
「えーそうかな? 宿の女将さんに聞きながら描いたんだけど……。あ、そうそう、頭に赤・黄色・赤って三本長い羽根が生えてるって言ってた。それから、尾っぽは白くて、せんすを広げたみたいな形だって言ってたかな」
「それ、全く絵に反映されてないわね」
マーサがくすくすと笑いながら言った。
「わー! 」
「何ごと? ペブル」
マーサが驚いてたずねる。
「あ! 今、なんか木の上に茶色い鳥がいた。きっとカルキーだよ」
騒いでいるペブルの隣にロッドが飛んで行き、
「どこだ?」
と聞く。
「あそこ、あの大きな木の……あー見えなくなっちゃった」
「ったく、ホントに見たのか? 人騒がせな」
ロッドが舌打ちしながら立ち上がった時、急に馬車が止まったので、ロッドは、
「うわっ」
と、言いながらペブルの上に背中から倒れこんでしまった。
「痛いし、重い、早くどいて」
今度はペブルが背中の上のロッドに言う番だった。
御者席からリプルの声が飛んできた。
「みんな手伝って」
ペブルとロッド、マーサもわけが分からないまま、荷台の外へと飛び降りていく。
すると、馬車の前方で、大きな灰色の鳥が子鹿を襲っているのが見えた。
ジールとファングは、すでにその子鹿を助けるために走っていっており、腰から剣を引き抜いたところだった。
リプルも少し遅れて駆けながら離れた位置から魔法を唱えた。
子鹿を鋭い鳥のくちばしや爪から守る「ガード」の魔法をかけたのだ。
ジールと遅れて駆けつけたロッドが、刀を手に鳥を追い払おうとしていたが、なにしろ羽根のある相手なので、かんたんには、攻撃が当たらない。
「あの鳥をやっつけたらいいんですの?」
そう言うと、イザベスが、足元に落ちていた長い木の枝に炎魔法をかけた。
もうもうと燃える木の枝を鳥めがけて投げつける。
すると、それはまっすぐに鳥の横腹へと突き刺さり、その鳥は、ギャーっとものすごい声を上げながら地面に落ちた。
「オホホ、わたくしの力を持ってすれば、この程度の狩りなんて朝飯前ですわ」
イザベスは、御者台の上に仁王立ちになり、高笑いをした。
リプルたちを乗せた馬車は山道をゆっくりと進んでいく。
ふもとで見た時は、かなり標高が高そうな山に見えたが、実際に足を踏み入れてみると、なだらかな坂がくねくねと曲がりながら続いているのだった。
坂道の分だけ、馬車もゆっくりと進むので、今日はペブルも馬車酔いしていなかった。
それどころか、荷台の横から幌を持ち上げて、景色をにらみつけるように見つめている。
ペブルは、幻の鳥、カルキーをさがしているのだ。
「なあ、ペブル。カルキーってどんな鳥なんだよ」
ロッドが尋ねる。
「これよ」
と、ペブルが見せた紙に描かれていたのは、丸い頭に楕円の体がついた茶色い鳥の絵。
「何だこれ、子どもの絵じゃん。これじゃわかんねーよ。なんか特徴とかないのか?」
「えーそうかな? 宿の女将さんに聞きながら描いたんだけど……。あ、そうそう、頭に赤・黄色・赤って三本長い羽根が生えてるって言ってた。それから、尾っぽは白くて、せんすを広げたみたいな形だって言ってたかな」
「それ、全く絵に反映されてないわね」
マーサがくすくすと笑いながら言った。
「わー! 」
「何ごと? ペブル」
マーサが驚いてたずねる。
「あ! 今、なんか木の上に茶色い鳥がいた。きっとカルキーだよ」
騒いでいるペブルの隣にロッドが飛んで行き、
「どこだ?」
と聞く。
「あそこ、あの大きな木の……あー見えなくなっちゃった」
「ったく、ホントに見たのか? 人騒がせな」
ロッドが舌打ちしながら立ち上がった時、急に馬車が止まったので、ロッドは、
「うわっ」
と、言いながらペブルの上に背中から倒れこんでしまった。
「痛いし、重い、早くどいて」
今度はペブルが背中の上のロッドに言う番だった。
御者席からリプルの声が飛んできた。
「みんな手伝って」
ペブルとロッド、マーサもわけが分からないまま、荷台の外へと飛び降りていく。
すると、馬車の前方で、大きな灰色の鳥が子鹿を襲っているのが見えた。
ジールとファングは、すでにその子鹿を助けるために走っていっており、腰から剣を引き抜いたところだった。
リプルも少し遅れて駆けながら離れた位置から魔法を唱えた。
子鹿を鋭い鳥のくちばしや爪から守る「ガード」の魔法をかけたのだ。
ジールと遅れて駆けつけたロッドが、刀を手に鳥を追い払おうとしていたが、なにしろ羽根のある相手なので、かんたんには、攻撃が当たらない。
「あの鳥をやっつけたらいいんですの?」
そう言うと、イザベスが、足元に落ちていた長い木の枝に炎魔法をかけた。
もうもうと燃える木の枝を鳥めがけて投げつける。
すると、それはまっすぐに鳥の横腹へと突き刺さり、その鳥は、ギャーっとものすごい声を上げながら地面に落ちた。
「オホホ、わたくしの力を持ってすれば、この程度の狩りなんて朝飯前ですわ」
イザベスは、御者台の上に仁王立ちになり、高笑いをした。
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