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42.ジールの秘密

天空の魔女 リプルとペブル

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42.ジールの秘密

 リプルたちは、ジールとロッドを魔女学園の中等部へと案内した。

 ホキントン先生に、ジールたちを引き合わせると先生は、ひざを折り腰をかがめ、深々と頭を下げた。
「まあ、わざわざお運びくださって……」
 と、感激の面持ちである。

 先生のうやうやしい態度を見たジールは、あわてた様子でリプルたちに手を振り
「案内してくれてありがとう。ここで、失礼するよ」
 と、ロッドともに先生の後について、校舎の奥へと消えていった。

「彼、何か隠してるよね」
 ペブルがジールたちの後ろ姿を見ながら腕組みをした。
 ペブルはジールを怪しんでいる様子である。

「でも、悪い人にはみえなかったわ」
 リプルは、笑顔だ。

 その横で、夢見心地だったのがイザベス。
「いいえ、悪いどころか、なんて素敵なお方なの。お父様、私ついに見つけましたわ。私、イザベス=ド・リュースラーにふさわしい殿方を……これが、運命というものなのでしょうか」



 と、一人芝居を始めたイザベスを脇においてマーサが言う。
「私たちもそろそろ寮の部屋に帰りましょ。今日の宿題全くやってないし」
 宿題という言葉に、思わず耳をふさぐペブルだった。

 そのころ、ジールたちは校長室に向かって歩いていた。
「先ほどは、失礼しました。ホキントン先生。彼女たちには、身分を明かしていないものですから」
 ジールが歩きながらそう説明した。

「それはまたどのような理由で?」
 先生は、意外なことを聞いたといわんばかりの不思議そうな顔。

「王子にもただの一人の男子として、生きたい時があるのですよ、先生」
 と、ロッドがジールに代わって説明をした。

「なるほど、ではこちらにいらっしゃる間は、恐れ多いことながら、ジールとお呼びすることにいたしましょう」
 先生は、すべて理解したというふうにほほえんだ。

「ありがとうございます」
 ジールは、ほのかに頬を赤らめながら先生に軽く頭を下げた。

「ところで、今回はなぜこのような辺境の地にお見えになったのですか?」
「じつは、先ほど私たちも遭遇したのですが、ここ最近、闇の天魔たちの活動が活発化しています。私とロッドは、この学校に保管されてる聖なる力を備えた武器をお借りしにきたのです」

 ホキントン先生は、ジールの言葉に顔をひきしめた。
「ええ、私も先日、学外での授業中に闇の天魔に遭遇しました。この平和な地にも、天魔たちが現れるとは。もう事態はそこまで深刻になっているのですね」

「今すぐにヤツらが襲来してくることはないと思いますが、しかし『備えておくことは大切だ』と王が私たちをつかわされたのです」
「そういう理由だったのですね。わかりました。こちらが校長室です」
 ホキントン先生に導かれたジールとロッドは校長室へと入っていった。

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