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1巻
1-3
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「クク様は『狙撃手』ですか、早急に銃を手配しましょう……サクラ様? この個人技能にある『腐敗思想』って何ですか?」
「……さあ、身に覚えがないわ」
サクラ達と会話するクリュスに夜行が話しかける。
「姫さん。俺のカード、認証してもステータス出てこないんだけど」
「え? ああ……初期不良ですかね、たまにあるんです。振ったり叩いたりすれば大体直りますよ」
昔の電化製品かよ。
そんなことを思いながら、夜行は言われた通りにしてみる。
やがてチカチカとカードが明滅し、切れかけの蛍光灯のような光で危なっかしくステータスが映し出される。
クリュスと、そして自分のステータスを確認し終えたクラスメイトも、夜行のカードを覗き見た。
===================
『戌伏 夜行』
レベル1
クラス:!#$%&=?
称号:無し
HP:100/100
MP:0/0
SP:290/290
STR:45
VIT:15
INT:20
RES:10
DEX:120
AGI:100
▼個人技能
料理レベル5:調理技術とその知識。アマチュア以上プロ以下。
刀剣目利きレベル3:刀剣限定の鑑定能力。大まかな性能くらいは分かる。
金属アレルギー:重度。金属系防具の装備不可能。
魔力拒絶:中度。魔力に対する拒絶体質。魔力を含む武器防具の装備不可能。呪い無効。
▼クラス技能
不明
===================
…………。
何と言うか、これは。
「クラスが文字化けしてるんですけど……」
困惑した風に、夜行が呟く。
かくして彼の異世界生活は、その1歩目から暗礁に乗り上げたのであった。
Ψ
夜行達7人が、人間界で最大の国である『ラ・ヴァナ帝国』の勇者として召喚されてから、早いもので2週間が経った。
クラス能力を最大限伸ばせるよう、個別に訓練を受けた結果、鍛錬と呼ぶにはあまりに短すぎるその2週間で、各々の能力は大幅に向上している。
既に彼等は、日本に居た頃には考えられないほどの力を身に付けていた。
日を跨ぐ毎に強くなる成長力に、周囲の者達は畏怖と憧憬の念を抱く。
これが勇者の力か、と。
それは7人の中で唯一『クラス』の正体が分からない夜行もまた、例外ではなかった。
今日も今日とて彼は、己が力を引き出す為の訓練に励んでいるのだ。
「よし、完成! 満漢全席異世界エディションお待ち!」
中華鍋を剣の如く振り回し、鮮やかな手並みで料理を皿に盛り付ける。
無数の料理が並べられたテーブルには、箸を手に待ち構えるクリュスの姿があった。
「中々の量ですね。腕もお腹も鳴ると言うものです」
「ハッ! 食い尽くせるものなら食ってみな、幾ら胃袋ブラックホールな姫さんでも、これは流石に――」
「御馳走様でした」
「!?」
横綱5人が1日かけても食べ切れるか危うそうな量が、一瞬で消えた。
更に言えば、それを成したのは小柄且つ痩躯な、中学生くらいの外見をした女である。
化け物だ。人の皮を被ったポリバケツか何かだ。
およそ信じ難い眼前の光景に絶句し、慄き、後ずさる夜行。
それを尻目に、ナプキンで口元を拭くクリュスがドヤ顔を見せた。
「ふふん。どうしましたヤコウ様、この程度ですか?」
「ッ……上等だこの暴食プリンセス。晩飯は覚悟してろ、懐石御膳フルコースを当社比20倍のスケールで堪能させてやる!」
「楽しみです」
余裕たっぷりなクリュスに歯噛みしつつ、今度こそギャフンと言わせてやると夜行は決意した。
「今すぐ晩の仕込みに入るぞ! スピーディーにこなせよ、お前達!」
「「「ハイ、料理長!」」」
声の揃った返事と共に、配下の料理人達がテーブルに並ぶ空いた皿を片付け始める。
夜行自身は己の言葉通り、仕込みの為に厨房へ戻ろうとするが――。
「…………って」
途中でくるりと踵を返し、優雅にお茶など飲んでいるクリュスの方へ向かう。
そして。
「何で姫の専属料理人をしとるんだ俺はぁぁぁぁッ!!!?」
被ったコック帽を床に叩き付け、あらん限りの叫び声を上げる夜行。
訓練開始から2週間。彼が現状に対し、初めてツッコミを入れた瞬間である。
「随分と長いノリツッコミでしたね、ヤコウ様」
「戦闘訓練とか言って、当たり前のように厨房に案内されたからね! なんか意味あるのかと思って、ここ数日はすっかりその気になってたわ!」
テーブルに掛け紅茶を飲みながら、夜行は荒々しい声で悪態を吐いた。
対してクリュスは、相変わらずのぽーっとした顔でデザートの杏仁豆腐を食べている。
……自分で作っておいてなんだが、子供1人ぐらいなら余裕で収まるサイズの器に一杯の量なのだ。
それを見る見る胃袋に収めていく様は、見ているだけでこちらのお腹が苦しくなりそうな光景だった。
「嘘は申しておりません。料理人にとって調理場は戦場、包丁こそが彼等の剣です」
「俺、料理人じゃないんだけど」
「たとえ新兵であっても軍人は軍人。今まで料理を1度もしたことが無かろうと、包丁を手にすれば料理人なのですよ、ヤコウ様」
「上手いこと言って誤魔化そうとしてないか、アンタ」
疑わしさを前面に押し出したジト目で、クリュスを見る夜行。
クリュスは心外だとでも言わんばかりに、レンゲをくわえたまま頬を僅かに膨らませた。
「だって仕方ないじゃないですか。ヤコウ様のクラスが未だ分からない以上、どのような訓練を課す必要があるのかを考えることさえ出来ないのですから」
「……そいつは、そうだが」
もっともであるクリュスの言い分に、夜行はなんとも言えない気持ちで頬を掻いた。
召喚されたあの日。ステータスがまともに開かれなかった理由は、パーソナルカードの不具合ではなかった。
夜行の個人技能に記されていたある項目――『魔力拒絶』と名付けられた、一種の特異体質によるものだった。
その名の示す通り、魔力や魔力を含む物品による干渉を弾く技能の影響を受け、カードの機能が阻害されバグが生じたのだ。
「とは言え、幸いヤコウ様の拒絶体質は中度。今現在、開発のメンバーがパーソナルカードのアップデート作業をしていますから、その内クラスも判明しますよ」
「魔法関連のクラスだったら最悪だな、オイ。ただでさえ等級の高い強力な武器防具は、9割方魔力を含んでて装備できないって話なのによ」
「あの残念INT値で、魔法関連と申しますか」
「残念言うな! ちー君よりはマシだ!」
マシとは言っても、15と20の差である。そろそろ少なくなってきた杏仁豆腐を惜しみながら、クリュスは五十歩百歩だと言い切った。
「んぐ……けれど魔力拒絶は、デメリットばかりでもありませんよ? 呪いの類が無効化される、なんてプラス面もあります。何であれ使いようですね」
最後にざぱー、と杏仁豆腐を流し込み、満足そうにお腹を叩くクリュス。
この細身の何処に、あれだけの量を収める容量があるのだろうか。
「……姫さんの言いたいことはまあ、分かったけど……だからって料理ばっかしてても何にもならないだろーが」
「でもレベルは上がってるでしょう?」
「…………」
そう。そうなのだ。
夜行はこの2週間、料理以外のことなど殆どしていない。
にも拘らず、ステータスはこの世界へ来た当初と比べて明らかな成長を見せていた。
一応は機能するパーソナルカードをポケットから取り出し、ステータスを表示させる。
===================
『戌伏 夜行』
レベル1→7
クラス:!#$%&=?
称号:無し→『帝国皇女専属料理人』
HP:100/100→130/130
MP:0/0
SP:290/290→420/420
STR:45→52
VIT:15→18
INT:20
RES:10→12
DEX:120→168
AGI:100→133
▼個人技能
料理レベル5→7:調理技術とその知識。今すぐにでも店を開けるレベル。
刀剣目利きレベル3:刀剣限定の鑑定能力。大まかな性能くらいは分かる。
金属アレルギー:重度。金属系防具の装備不可能。
魔力拒絶:中度。魔力に対する拒絶体質。魔力を含む武器防具の装備不可能。呪い無効。
▼クラス技能
不明
===================
「やたらDEXとAGIに偏ってるけど……なんで料理やっててレベルが上がるんだ?」
「戦うことだけが人間の能ではありません。人生全てが経験値なのです」
一見もっともらしいが、少し考えたら極当然のことを、クリュスは何故か胸を張って偉そうに語った。
幾ら張っても残念な胸が、涙を誘う。
「つーかMPは体質的にしょうがないとして、INTも上がってないんだけど」
「それがヤコウ様の限界ってことじゃないですかね」
「…………」
勇者として召喚された夜行には、素質や能力に大きく補正がかかっている筈である。
なのに知力は一般兵士の平均以下。しかもそれが限界値だなど、首を吊りたくなるような話だ。
「――なんて冗談はともかくとして、料理の経験によるレベルアップですからね。関連した数値が上がりやすいのは当然ですよ」
「だよな!? 俺の知力がここで頭打ちとか、そんなワケじゃないよな!?」
「それは……」
「黙り込むな! 否定しろよ、否定して下さい!」
土下座しそうな勢いの夜行から、クリュスは気まずそうに視線を逸らす。
マイペースな暴食プリンセスのそんな態度に、夜行は本気で泣きたくなった。
Ψ
「しかし、勇者様方のレベルアップは異常な早さですね」
食事を終え、連れ立って宮殿内を歩く夜行とクリュス。
その最中で呟かれたクリュスの言葉に興味を持ち、夜行は聞き返した。
「やっぱ早いのか? 確かに、日に日に自分の能力が上がってるって自覚できるくらいのスピードだが」
これは料理を何度もこなす内に感じていたことだった。
昨日よりも緻密に指先が動き、一昨日よりも目に見えて速く身体が動く。
どうやら自分のステータスは速さと器用さ特化らしい。それでも1日2日で明確に差が分かるのは普通じゃないと、何となく思っていた。
「人生全て経験なんて言いましたが、レベルを上げるのに1番なのはやっぱり戦闘です。その戦闘訓練に日夜勤しむ兵士達でさえ、1ヶ月にひとつレベルが上がればいい方ですよ」
低レベルの内は確かにレベルアップしやすい。
だがほんの2週間、それも料理による経験で6もレベルが上がるのは、クリュスにとっても信じ難いらしい。
「加えて、一般兵士の平均レベルは40台半ば。近衛兵クラスともなれば、60を超える者もザラです。その点ヤコウ様達は未だレベル10に届いてさえもいないのに、既に将軍級の能力を備えているのです」
「はあ……そいつは凄いな」
具体的にどれくらい凄いのかは分からないが、少なくとも「勇者」の素質を備えていることは理解できた。
現に眠たげな表情で凄い凄いと繰り返すクリュスの声音は、とても嬉しそうであった。
「良かった良かった。帰還の門も1度閉めたら当面は開けられないって話だし、もし役立たずだったら放り出される所だった」
「失礼ですね、そんなことしませんよ。もし戦えるだけの力をお持ちでなかったら、次に門を開けるまでこちらで生活して頂いた後、元の世界にお返ししてました」
「ほーん」
ぷくっと頬を膨らませるクリュスに、気の抜けるような声を返す夜行。
流行の小説なんかだと、召喚後、役に立たなかったら即ポイされるのが王道であっただけに、少し肩透かしを食らった気分だった。
でも考えてみれば、王族貴族だから横暴だなんて決め付けは、それこそ偏見だろう。
確かに自分達のような得体の知れない輩が宮殿内をうろついていることに対して、良くない顔をしている連中も居るには居るらしい。
しかし親切な人だって多いし、そもそも一般ピープルにも攻撃的な人間は居るのだ。
「やはり召喚の儀を執り行う際、お供え物を惜しまなかったことが功を奏しましたね」
「はい? お供え?」
クリュス曰く、勇者召喚の際には神への捧げ物をするのが通例なのだと言う。
それが多ければ多いほど、高価ければ高価いほどに、召喚される勇者に与えられる才能や能力が強力になるらしかった。
「この法則を最初に発見した第3代皇帝ペルセウス様は、これを『カキン』と呼んでいたそうです」
「カキン? ……あ、課金?」
ネットゲームかよ、と夜行は呟いた。
まあ実際ステータスだの何だのがあるこの世界は、日本人からしてみればゲームの中にでも入ったみたいなものかもしれない。
「地獄の沙汰も金次第、勇者の素養も金次第ってことですね」
「夢も希望もあったもんじゃない……」
金次第の素養って一体……だがその恩恵で、自分達は加速度的に強くなっているのだろう。
複雑な心境を抱えながら、夜行は通路の突き当たりを曲がった。
「それでヤコウ様、何となくついてきましたけど、これからどちらへ?」
「ん? いや、そろそろ皆と顔合わしとこうと思って。忙しくて初日以降会ってなかったし」
「なるほど。わたしも皆様の成長振りを確認しておきたかったので、ちょうど――」
「こんな所に居られましたか、姫様」
クリュスの言葉を遮る形で、落ち着きのある女性の声音が響く。
夜行達が振り返ると、そこに居たのは背の高い女性だった。
178センチある夜行とほぼ変わらない身長、本来なら男性が身に纏うであろう執事服。
しゃらりと腰まで伸びた金紗の髪を揺らし、彼女は一礼した。
「セバスチャン。どうしたんですか?」
「姫様。何度も申し上げている通り、私めの名はホイットニーで御座います」
この宮殿で執事長を務める妙齢の美女、ホイットニー。
彼女は目蓋を閉じているのではと見紛うほどの糸目をクリュスに向けると、慣れた風に訂正する。
「そして、どうしたも何も、政務のお時間になっても部屋へお戻りにならなかったので、こうして探しに参った次第に御座います」
「あー」
すっかり忘れていた、とばかりにポンと手を叩くクリュス。
これで第2皇女なのだから、思わず帝国の将来が心配になる夜行であった。
「すみませんヤコウ様。そんな訳なので、わたしはこれで」
「おー」
クリュスはスカートの裾を摘んで一礼、踵を返す。
手をひらひらとさせながら、夜行はホイットニーに軽く頭を下げた。
「じゃ、綾崎さんもお仕事頑張って」
「ヤコウ様まで……私はホイットニーです、妻か恋人でも呼ぶような甘い声音で、そう囁いて下さいまし」
「どんな声だよ、それ……」
クリュスと別れた夜行は、2週間振りのクラスメイト達の様子を想像しつつ、まずは第3練兵場へと向かうのであった。
Ψ
第3練兵場は、本殿の裏手に設けられている。
主に宮殿勤務である近衛隊所属の兵士用の訓練場で、夜行がここへ来るのは初めてであった。
「こりゃ、中々に壮観だな……デカい城だけあって、訓練場も広いもんだ」
数百人が一斉に槍を振り回しても尚、余裕のありそうな敷地では、鎧に身を纏った屈強な近衛兵が、そこかしこで鍛錬に励んでいた。
「…………」
何と言うか、正直暑苦しい。こうして遠目に眺めていても、熱気が伝わって来るくらいである。
近衛隊と言えば確かに紛れも無いエリート集団だが、それにしたって凄まじい気合いの入れようだった。
ついでに言えば、見渡す限り野郎ばかり。男女の身体能力差を考えれば構成が偏るのは仕方の無いことだろうけれど、多少の華はあっても罰は当たらないのではないか。
そしてこんな所で訓練をしなければならない我が親友は可哀相なもんだと、夜行はかぶりを振って同情した。
野太い掛け声を上げながら、手にした得物を素振りするムサい集団の中から千影の姿を探すべく、辺りを見回す夜行。
クリュスの話によれば、此処に居る筈なのである。
しかし軽く練兵場を見て回るも、それらしい姿が見当たらない。
「あっれ……ちー君何処だ?」
必要以上に重そうな鎧を着込んで走っている若者。違う。
右手、左手、時には両手で、さながら身体の一部が如く豪槍を振り回す、苦み走ったナイスミドル。違う。
上半身裸で凄まじい筋肉の鎧を晒し、背に2人も大柄な男を乗せて腕立て伏せをしている巨躯の男。絶対違う。
幾ら探しても見付からないので、場所を間違えたかと首を傾げた夜行は、手近に居た兵士を呼び止めた。
「……さあ、身に覚えがないわ」
サクラ達と会話するクリュスに夜行が話しかける。
「姫さん。俺のカード、認証してもステータス出てこないんだけど」
「え? ああ……初期不良ですかね、たまにあるんです。振ったり叩いたりすれば大体直りますよ」
昔の電化製品かよ。
そんなことを思いながら、夜行は言われた通りにしてみる。
やがてチカチカとカードが明滅し、切れかけの蛍光灯のような光で危なっかしくステータスが映し出される。
クリュスと、そして自分のステータスを確認し終えたクラスメイトも、夜行のカードを覗き見た。
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『戌伏 夜行』
レベル1
クラス:!#$%&=?
称号:無し
HP:100/100
MP:0/0
SP:290/290
STR:45
VIT:15
INT:20
RES:10
DEX:120
AGI:100
▼個人技能
料理レベル5:調理技術とその知識。アマチュア以上プロ以下。
刀剣目利きレベル3:刀剣限定の鑑定能力。大まかな性能くらいは分かる。
金属アレルギー:重度。金属系防具の装備不可能。
魔力拒絶:中度。魔力に対する拒絶体質。魔力を含む武器防具の装備不可能。呪い無効。
▼クラス技能
不明
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…………。
何と言うか、これは。
「クラスが文字化けしてるんですけど……」
困惑した風に、夜行が呟く。
かくして彼の異世界生活は、その1歩目から暗礁に乗り上げたのであった。
Ψ
夜行達7人が、人間界で最大の国である『ラ・ヴァナ帝国』の勇者として召喚されてから、早いもので2週間が経った。
クラス能力を最大限伸ばせるよう、個別に訓練を受けた結果、鍛錬と呼ぶにはあまりに短すぎるその2週間で、各々の能力は大幅に向上している。
既に彼等は、日本に居た頃には考えられないほどの力を身に付けていた。
日を跨ぐ毎に強くなる成長力に、周囲の者達は畏怖と憧憬の念を抱く。
これが勇者の力か、と。
それは7人の中で唯一『クラス』の正体が分からない夜行もまた、例外ではなかった。
今日も今日とて彼は、己が力を引き出す為の訓練に励んでいるのだ。
「よし、完成! 満漢全席異世界エディションお待ち!」
中華鍋を剣の如く振り回し、鮮やかな手並みで料理を皿に盛り付ける。
無数の料理が並べられたテーブルには、箸を手に待ち構えるクリュスの姿があった。
「中々の量ですね。腕もお腹も鳴ると言うものです」
「ハッ! 食い尽くせるものなら食ってみな、幾ら胃袋ブラックホールな姫さんでも、これは流石に――」
「御馳走様でした」
「!?」
横綱5人が1日かけても食べ切れるか危うそうな量が、一瞬で消えた。
更に言えば、それを成したのは小柄且つ痩躯な、中学生くらいの外見をした女である。
化け物だ。人の皮を被ったポリバケツか何かだ。
およそ信じ難い眼前の光景に絶句し、慄き、後ずさる夜行。
それを尻目に、ナプキンで口元を拭くクリュスがドヤ顔を見せた。
「ふふん。どうしましたヤコウ様、この程度ですか?」
「ッ……上等だこの暴食プリンセス。晩飯は覚悟してろ、懐石御膳フルコースを当社比20倍のスケールで堪能させてやる!」
「楽しみです」
余裕たっぷりなクリュスに歯噛みしつつ、今度こそギャフンと言わせてやると夜行は決意した。
「今すぐ晩の仕込みに入るぞ! スピーディーにこなせよ、お前達!」
「「「ハイ、料理長!」」」
声の揃った返事と共に、配下の料理人達がテーブルに並ぶ空いた皿を片付け始める。
夜行自身は己の言葉通り、仕込みの為に厨房へ戻ろうとするが――。
「…………って」
途中でくるりと踵を返し、優雅にお茶など飲んでいるクリュスの方へ向かう。
そして。
「何で姫の専属料理人をしとるんだ俺はぁぁぁぁッ!!!?」
被ったコック帽を床に叩き付け、あらん限りの叫び声を上げる夜行。
訓練開始から2週間。彼が現状に対し、初めてツッコミを入れた瞬間である。
「随分と長いノリツッコミでしたね、ヤコウ様」
「戦闘訓練とか言って、当たり前のように厨房に案内されたからね! なんか意味あるのかと思って、ここ数日はすっかりその気になってたわ!」
テーブルに掛け紅茶を飲みながら、夜行は荒々しい声で悪態を吐いた。
対してクリュスは、相変わらずのぽーっとした顔でデザートの杏仁豆腐を食べている。
……自分で作っておいてなんだが、子供1人ぐらいなら余裕で収まるサイズの器に一杯の量なのだ。
それを見る見る胃袋に収めていく様は、見ているだけでこちらのお腹が苦しくなりそうな光景だった。
「嘘は申しておりません。料理人にとって調理場は戦場、包丁こそが彼等の剣です」
「俺、料理人じゃないんだけど」
「たとえ新兵であっても軍人は軍人。今まで料理を1度もしたことが無かろうと、包丁を手にすれば料理人なのですよ、ヤコウ様」
「上手いこと言って誤魔化そうとしてないか、アンタ」
疑わしさを前面に押し出したジト目で、クリュスを見る夜行。
クリュスは心外だとでも言わんばかりに、レンゲをくわえたまま頬を僅かに膨らませた。
「だって仕方ないじゃないですか。ヤコウ様のクラスが未だ分からない以上、どのような訓練を課す必要があるのかを考えることさえ出来ないのですから」
「……そいつは、そうだが」
もっともであるクリュスの言い分に、夜行はなんとも言えない気持ちで頬を掻いた。
召喚されたあの日。ステータスがまともに開かれなかった理由は、パーソナルカードの不具合ではなかった。
夜行の個人技能に記されていたある項目――『魔力拒絶』と名付けられた、一種の特異体質によるものだった。
その名の示す通り、魔力や魔力を含む物品による干渉を弾く技能の影響を受け、カードの機能が阻害されバグが生じたのだ。
「とは言え、幸いヤコウ様の拒絶体質は中度。今現在、開発のメンバーがパーソナルカードのアップデート作業をしていますから、その内クラスも判明しますよ」
「魔法関連のクラスだったら最悪だな、オイ。ただでさえ等級の高い強力な武器防具は、9割方魔力を含んでて装備できないって話なのによ」
「あの残念INT値で、魔法関連と申しますか」
「残念言うな! ちー君よりはマシだ!」
マシとは言っても、15と20の差である。そろそろ少なくなってきた杏仁豆腐を惜しみながら、クリュスは五十歩百歩だと言い切った。
「んぐ……けれど魔力拒絶は、デメリットばかりでもありませんよ? 呪いの類が無効化される、なんてプラス面もあります。何であれ使いようですね」
最後にざぱー、と杏仁豆腐を流し込み、満足そうにお腹を叩くクリュス。
この細身の何処に、あれだけの量を収める容量があるのだろうか。
「……姫さんの言いたいことはまあ、分かったけど……だからって料理ばっかしてても何にもならないだろーが」
「でもレベルは上がってるでしょう?」
「…………」
そう。そうなのだ。
夜行はこの2週間、料理以外のことなど殆どしていない。
にも拘らず、ステータスはこの世界へ来た当初と比べて明らかな成長を見せていた。
一応は機能するパーソナルカードをポケットから取り出し、ステータスを表示させる。
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『戌伏 夜行』
レベル1→7
クラス:!#$%&=?
称号:無し→『帝国皇女専属料理人』
HP:100/100→130/130
MP:0/0
SP:290/290→420/420
STR:45→52
VIT:15→18
INT:20
RES:10→12
DEX:120→168
AGI:100→133
▼個人技能
料理レベル5→7:調理技術とその知識。今すぐにでも店を開けるレベル。
刀剣目利きレベル3:刀剣限定の鑑定能力。大まかな性能くらいは分かる。
金属アレルギー:重度。金属系防具の装備不可能。
魔力拒絶:中度。魔力に対する拒絶体質。魔力を含む武器防具の装備不可能。呪い無効。
▼クラス技能
不明
===================
「やたらDEXとAGIに偏ってるけど……なんで料理やっててレベルが上がるんだ?」
「戦うことだけが人間の能ではありません。人生全てが経験値なのです」
一見もっともらしいが、少し考えたら極当然のことを、クリュスは何故か胸を張って偉そうに語った。
幾ら張っても残念な胸が、涙を誘う。
「つーかMPは体質的にしょうがないとして、INTも上がってないんだけど」
「それがヤコウ様の限界ってことじゃないですかね」
「…………」
勇者として召喚された夜行には、素質や能力に大きく補正がかかっている筈である。
なのに知力は一般兵士の平均以下。しかもそれが限界値だなど、首を吊りたくなるような話だ。
「――なんて冗談はともかくとして、料理の経験によるレベルアップですからね。関連した数値が上がりやすいのは当然ですよ」
「だよな!? 俺の知力がここで頭打ちとか、そんなワケじゃないよな!?」
「それは……」
「黙り込むな! 否定しろよ、否定して下さい!」
土下座しそうな勢いの夜行から、クリュスは気まずそうに視線を逸らす。
マイペースな暴食プリンセスのそんな態度に、夜行は本気で泣きたくなった。
Ψ
「しかし、勇者様方のレベルアップは異常な早さですね」
食事を終え、連れ立って宮殿内を歩く夜行とクリュス。
その最中で呟かれたクリュスの言葉に興味を持ち、夜行は聞き返した。
「やっぱ早いのか? 確かに、日に日に自分の能力が上がってるって自覚できるくらいのスピードだが」
これは料理を何度もこなす内に感じていたことだった。
昨日よりも緻密に指先が動き、一昨日よりも目に見えて速く身体が動く。
どうやら自分のステータスは速さと器用さ特化らしい。それでも1日2日で明確に差が分かるのは普通じゃないと、何となく思っていた。
「人生全て経験なんて言いましたが、レベルを上げるのに1番なのはやっぱり戦闘です。その戦闘訓練に日夜勤しむ兵士達でさえ、1ヶ月にひとつレベルが上がればいい方ですよ」
低レベルの内は確かにレベルアップしやすい。
だがほんの2週間、それも料理による経験で6もレベルが上がるのは、クリュスにとっても信じ難いらしい。
「加えて、一般兵士の平均レベルは40台半ば。近衛兵クラスともなれば、60を超える者もザラです。その点ヤコウ様達は未だレベル10に届いてさえもいないのに、既に将軍級の能力を備えているのです」
「はあ……そいつは凄いな」
具体的にどれくらい凄いのかは分からないが、少なくとも「勇者」の素質を備えていることは理解できた。
現に眠たげな表情で凄い凄いと繰り返すクリュスの声音は、とても嬉しそうであった。
「良かった良かった。帰還の門も1度閉めたら当面は開けられないって話だし、もし役立たずだったら放り出される所だった」
「失礼ですね、そんなことしませんよ。もし戦えるだけの力をお持ちでなかったら、次に門を開けるまでこちらで生活して頂いた後、元の世界にお返ししてました」
「ほーん」
ぷくっと頬を膨らませるクリュスに、気の抜けるような声を返す夜行。
流行の小説なんかだと、召喚後、役に立たなかったら即ポイされるのが王道であっただけに、少し肩透かしを食らった気分だった。
でも考えてみれば、王族貴族だから横暴だなんて決め付けは、それこそ偏見だろう。
確かに自分達のような得体の知れない輩が宮殿内をうろついていることに対して、良くない顔をしている連中も居るには居るらしい。
しかし親切な人だって多いし、そもそも一般ピープルにも攻撃的な人間は居るのだ。
「やはり召喚の儀を執り行う際、お供え物を惜しまなかったことが功を奏しましたね」
「はい? お供え?」
クリュス曰く、勇者召喚の際には神への捧げ物をするのが通例なのだと言う。
それが多ければ多いほど、高価ければ高価いほどに、召喚される勇者に与えられる才能や能力が強力になるらしかった。
「この法則を最初に発見した第3代皇帝ペルセウス様は、これを『カキン』と呼んでいたそうです」
「カキン? ……あ、課金?」
ネットゲームかよ、と夜行は呟いた。
まあ実際ステータスだの何だのがあるこの世界は、日本人からしてみればゲームの中にでも入ったみたいなものかもしれない。
「地獄の沙汰も金次第、勇者の素養も金次第ってことですね」
「夢も希望もあったもんじゃない……」
金次第の素養って一体……だがその恩恵で、自分達は加速度的に強くなっているのだろう。
複雑な心境を抱えながら、夜行は通路の突き当たりを曲がった。
「それでヤコウ様、何となくついてきましたけど、これからどちらへ?」
「ん? いや、そろそろ皆と顔合わしとこうと思って。忙しくて初日以降会ってなかったし」
「なるほど。わたしも皆様の成長振りを確認しておきたかったので、ちょうど――」
「こんな所に居られましたか、姫様」
クリュスの言葉を遮る形で、落ち着きのある女性の声音が響く。
夜行達が振り返ると、そこに居たのは背の高い女性だった。
178センチある夜行とほぼ変わらない身長、本来なら男性が身に纏うであろう執事服。
しゃらりと腰まで伸びた金紗の髪を揺らし、彼女は一礼した。
「セバスチャン。どうしたんですか?」
「姫様。何度も申し上げている通り、私めの名はホイットニーで御座います」
この宮殿で執事長を務める妙齢の美女、ホイットニー。
彼女は目蓋を閉じているのではと見紛うほどの糸目をクリュスに向けると、慣れた風に訂正する。
「そして、どうしたも何も、政務のお時間になっても部屋へお戻りにならなかったので、こうして探しに参った次第に御座います」
「あー」
すっかり忘れていた、とばかりにポンと手を叩くクリュス。
これで第2皇女なのだから、思わず帝国の将来が心配になる夜行であった。
「すみませんヤコウ様。そんな訳なので、わたしはこれで」
「おー」
クリュスはスカートの裾を摘んで一礼、踵を返す。
手をひらひらとさせながら、夜行はホイットニーに軽く頭を下げた。
「じゃ、綾崎さんもお仕事頑張って」
「ヤコウ様まで……私はホイットニーです、妻か恋人でも呼ぶような甘い声音で、そう囁いて下さいまし」
「どんな声だよ、それ……」
クリュスと別れた夜行は、2週間振りのクラスメイト達の様子を想像しつつ、まずは第3練兵場へと向かうのであった。
Ψ
第3練兵場は、本殿の裏手に設けられている。
主に宮殿勤務である近衛隊所属の兵士用の訓練場で、夜行がここへ来るのは初めてであった。
「こりゃ、中々に壮観だな……デカい城だけあって、訓練場も広いもんだ」
数百人が一斉に槍を振り回しても尚、余裕のありそうな敷地では、鎧に身を纏った屈強な近衛兵が、そこかしこで鍛錬に励んでいた。
「…………」
何と言うか、正直暑苦しい。こうして遠目に眺めていても、熱気が伝わって来るくらいである。
近衛隊と言えば確かに紛れも無いエリート集団だが、それにしたって凄まじい気合いの入れようだった。
ついでに言えば、見渡す限り野郎ばかり。男女の身体能力差を考えれば構成が偏るのは仕方の無いことだろうけれど、多少の華はあっても罰は当たらないのではないか。
そしてこんな所で訓練をしなければならない我が親友は可哀相なもんだと、夜行はかぶりを振って同情した。
野太い掛け声を上げながら、手にした得物を素振りするムサい集団の中から千影の姿を探すべく、辺りを見回す夜行。
クリュスの話によれば、此処に居る筈なのである。
しかし軽く練兵場を見て回るも、それらしい姿が見当たらない。
「あっれ……ちー君何処だ?」
必要以上に重そうな鎧を着込んで走っている若者。違う。
右手、左手、時には両手で、さながら身体の一部が如く豪槍を振り回す、苦み走ったナイスミドル。違う。
上半身裸で凄まじい筋肉の鎧を晒し、背に2人も大柄な男を乗せて腕立て伏せをしている巨躯の男。絶対違う。
幾ら探しても見付からないので、場所を間違えたかと首を傾げた夜行は、手近に居た兵士を呼び止めた。
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