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第六話 プロポーズを計画していた次期魔王
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結婚式の三日前、国民への告知と同じタイミングで結婚式の日取りを伝えられた。
城下町にお忍びで行き、その日に飲むお酒を選んでいる時、突然店の外が騒がしい事に気付き、近くにいた人に話を聞いたら、人族の国の王女エクシアと魔族の国の次期魔王アレクの結婚式の日取りが決まった事を知らされたのだ。
俺は慌てて城に帰り、その足で両親の部屋に向かい猛抗議した。
「何で国民と同時に自分の結婚式告知されるんだよ!?準備とか色々あるのにおかしいだろ!?」
「だって…ねぇ?」
「そりゃ、お前……」
「「…逃げるでしょ?」」
どうやら俺は両親から信頼されていなかったらしい。それにどうやらエクシアとの結婚自体嫌がってると思われていそうだ。流石に結婚式で逃亡なんてしないのに…。
その後、何度ももう少し結婚式までの日にちを設けて欲しいと訴えたが、「日取りは半年前から決まっていたから無理だ」と言われ、仕事が進まないからと部屋から追い出されてしまった。
部屋から追い出された後、俺は結婚式前にプロポーズしようと覚悟を決めた。国とは関係無しに、俺の意思でエクシアと結婚するという事を彼女自身に知って欲しかった。
そこで人族の街の飲み屋で理想のプロポーズについて情報収集した結果、「プロポーズするなら薔薇の花束!」と言う人族の女性が多かったので、飲み友達夫婦であるレオとアンが営んでいる城下町の花屋にお願いし、今日の朝一番にバラの花束を準備してもらう事になっていたのだ。
金銭は前払いしており、あとは取りに行くだけだったのだが、そこを運悪くエクシアに見つかってしまった。本当に運が悪い…。
「……私、てっきり嫌われたんだと思ってました。最近遊びに誘ってくれる事も無くなったし、昨日も街に行ったら可愛い女の子連れて歩いてるし…。」
エクシアはポツリと呟く。どうやら彼女は何か誤解をしているらしい。俺は慌てて彼女の方を向く。
「待て待て!あの時も言ったが、アイツは俺の友達だ!それにアイツは既に既婚者だし、あの後すぐ彼女の旦那と合流したろ!?」
ついこの間、プロポーズの件で協力してもらうレオとアンにお礼として飲み屋でお酒でも奢ろうとしたのだが、当日になってレオが仕事で遅れて来ると言うのでアンと先に店へ向かっていたところ、お忍びで買い物に来ていたエクシアに遭遇してしまったのだ。
彼女が俺の静止を無視し、黙って愛剣ならぬ愛鎌を異次元空間から取り出した時は本当に殺されるかと思ったが、俺が彼女に刺される直前でレオが来てくれてどうにか誤解は解けた....はずだ。レオとアンはその後も自分達の買い物で俺に意見を聞きたかったと誤魔化してくれたからプロポーズの事はバレなかったし。
「それでも私は不安だったのです.....。母様からも子供の頃から、『好きな人に優しくしないと嫌われるわよ?』と言われてきましたが、貴方となら全力で好きな遊びが出来るのでついつい本気で遊んでしまったので嫌われたのではないかと...。それでも貴方が好きだったので、将来は彼と結婚したいと両親に訴え、やっと婚約が叶った時どれだけ嬉しかったか、貴方は分かりますか?.....それでも貴方は不機嫌にしてたから...。」
彼女は左手にした指輪を右手で弄りつつ、当時のことを思い出しているのか、悲しそうな顔をしていた。
「いや、だって友達からいきなり婚約者になったんだぜ?恥ずかしかったに決まってるだろ?それに........親から婚約を打診されるのではなく、好きな子には自分から告白して付き合いたかったんだ。」
俺はプライドをかなぐり捨て正直に言うことにした。
城下町にお忍びで行き、その日に飲むお酒を選んでいる時、突然店の外が騒がしい事に気付き、近くにいた人に話を聞いたら、人族の国の王女エクシアと魔族の国の次期魔王アレクの結婚式の日取りが決まった事を知らされたのだ。
俺は慌てて城に帰り、その足で両親の部屋に向かい猛抗議した。
「何で国民と同時に自分の結婚式告知されるんだよ!?準備とか色々あるのにおかしいだろ!?」
「だって…ねぇ?」
「そりゃ、お前……」
「「…逃げるでしょ?」」
どうやら俺は両親から信頼されていなかったらしい。それにどうやらエクシアとの結婚自体嫌がってると思われていそうだ。流石に結婚式で逃亡なんてしないのに…。
その後、何度ももう少し結婚式までの日にちを設けて欲しいと訴えたが、「日取りは半年前から決まっていたから無理だ」と言われ、仕事が進まないからと部屋から追い出されてしまった。
部屋から追い出された後、俺は結婚式前にプロポーズしようと覚悟を決めた。国とは関係無しに、俺の意思でエクシアと結婚するという事を彼女自身に知って欲しかった。
そこで人族の街の飲み屋で理想のプロポーズについて情報収集した結果、「プロポーズするなら薔薇の花束!」と言う人族の女性が多かったので、飲み友達夫婦であるレオとアンが営んでいる城下町の花屋にお願いし、今日の朝一番にバラの花束を準備してもらう事になっていたのだ。
金銭は前払いしており、あとは取りに行くだけだったのだが、そこを運悪くエクシアに見つかってしまった。本当に運が悪い…。
「……私、てっきり嫌われたんだと思ってました。最近遊びに誘ってくれる事も無くなったし、昨日も街に行ったら可愛い女の子連れて歩いてるし…。」
エクシアはポツリと呟く。どうやら彼女は何か誤解をしているらしい。俺は慌てて彼女の方を向く。
「待て待て!あの時も言ったが、アイツは俺の友達だ!それにアイツは既に既婚者だし、あの後すぐ彼女の旦那と合流したろ!?」
ついこの間、プロポーズの件で協力してもらうレオとアンにお礼として飲み屋でお酒でも奢ろうとしたのだが、当日になってレオが仕事で遅れて来ると言うのでアンと先に店へ向かっていたところ、お忍びで買い物に来ていたエクシアに遭遇してしまったのだ。
彼女が俺の静止を無視し、黙って愛剣ならぬ愛鎌を異次元空間から取り出した時は本当に殺されるかと思ったが、俺が彼女に刺される直前でレオが来てくれてどうにか誤解は解けた....はずだ。レオとアンはその後も自分達の買い物で俺に意見を聞きたかったと誤魔化してくれたからプロポーズの事はバレなかったし。
「それでも私は不安だったのです.....。母様からも子供の頃から、『好きな人に優しくしないと嫌われるわよ?』と言われてきましたが、貴方となら全力で好きな遊びが出来るのでついつい本気で遊んでしまったので嫌われたのではないかと...。それでも貴方が好きだったので、将来は彼と結婚したいと両親に訴え、やっと婚約が叶った時どれだけ嬉しかったか、貴方は分かりますか?.....それでも貴方は不機嫌にしてたから...。」
彼女は左手にした指輪を右手で弄りつつ、当時のことを思い出しているのか、悲しそうな顔をしていた。
「いや、だって友達からいきなり婚約者になったんだぜ?恥ずかしかったに決まってるだろ?それに........親から婚約を打診されるのではなく、好きな子には自分から告白して付き合いたかったんだ。」
俺はプライドをかなぐり捨て正直に言うことにした。
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