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第5話
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魔神様がいきなり黙ってしまったので、私が戸惑っていると、魔神様は面倒だと言わんばかりにチッと舌打ちをする。
『まずい。どうやら見張りが戻ってくるようじゃ。』
そういえば、確かに先程まで地下牢の奥の方で騒がしかった声が聞こえない。
『この話は後だ!見張りが戻ってくる前にさっさと契約するぞ。』
『け、契約ってどうするの?』
『今から魔法陣を床に展開してやる。そうしたら、お主はその真ん中に血を足らせ。たった一滴で良い。それで終わる。』
ちょうど今日の拷問で受けた傷もまだ充分塞がっていない状態で放置してあったので血についてはどうにかなりそうだが、契約の手順とかもう少し教えてくれても………
『ではいくぞ。』
魔神様はいきなりそう言ったかと思うと、次の瞬間、床一面に大きな華の様な紫色の光を放つ魔法陣が出現した。まるで床一面が綺麗な宝石の様にうっすら光り輝いている。
『我が名はハデス……妾は己の名において、汝、マリアを我が契約者として認めん。………ほれ!血を垂らさぬか!』
魔法陣の美しさにしばらく見とれていたが、魔神様の声に慌てて我に返ると、人差し指の傷口から絞り出すように血を出し、四つ這いになった状態で魔法陣の中央にある華のような紋様の中央に垂らした。すると、檻の中は先程両親が魔神様を召喚した時とは比べ物にならないくらいの紫色の光が溢れた。
『ふふっ。これで契約成立じゃ。』
光が消えた後、私が血を垂らした場所には、深紫色の髪をツインテールにした満足気な顔をしている女の子が目に入った。
「魔神……様……?」
私は彼女に近寄ろうとしたが、身体に上手く力が入らずそのままうつ伏せで倒れた。もう死ぬのだろうか…?最期に綺麗な光景を見れて……嬉しかっ……た……
「不味い!契約時のほんの僅かな魔力消費でここまで衰弱するとは思わなんだ。これ!マリア!しっかりせんか!!!」
魔神様が必死に声をかけていたが、段々その声も聞こえなくなっていき、とうとう私は意識を失ってしまった。
『まずい。どうやら見張りが戻ってくるようじゃ。』
そういえば、確かに先程まで地下牢の奥の方で騒がしかった声が聞こえない。
『この話は後だ!見張りが戻ってくる前にさっさと契約するぞ。』
『け、契約ってどうするの?』
『今から魔法陣を床に展開してやる。そうしたら、お主はその真ん中に血を足らせ。たった一滴で良い。それで終わる。』
ちょうど今日の拷問で受けた傷もまだ充分塞がっていない状態で放置してあったので血についてはどうにかなりそうだが、契約の手順とかもう少し教えてくれても………
『ではいくぞ。』
魔神様はいきなりそう言ったかと思うと、次の瞬間、床一面に大きな華の様な紫色の光を放つ魔法陣が出現した。まるで床一面が綺麗な宝石の様にうっすら光り輝いている。
『我が名はハデス……妾は己の名において、汝、マリアを我が契約者として認めん。………ほれ!血を垂らさぬか!』
魔法陣の美しさにしばらく見とれていたが、魔神様の声に慌てて我に返ると、人差し指の傷口から絞り出すように血を出し、四つ這いになった状態で魔法陣の中央にある華のような紋様の中央に垂らした。すると、檻の中は先程両親が魔神様を召喚した時とは比べ物にならないくらいの紫色の光が溢れた。
『ふふっ。これで契約成立じゃ。』
光が消えた後、私が血を垂らした場所には、深紫色の髪をツインテールにした満足気な顔をしている女の子が目に入った。
「魔神……様……?」
私は彼女に近寄ろうとしたが、身体に上手く力が入らずそのままうつ伏せで倒れた。もう死ぬのだろうか…?最期に綺麗な光景を見れて……嬉しかっ……た……
「不味い!契約時のほんの僅かな魔力消費でここまで衰弱するとは思わなんだ。これ!マリア!しっかりせんか!!!」
魔神様が必死に声をかけていたが、段々その声も聞こえなくなっていき、とうとう私は意識を失ってしまった。
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