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第1章 終わりの始まり
「安息」
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ーーーその日の夜、俺はふと目が覚めた。
博の一件であまりぐっすりと眠れなかった。
あの交信のあと、電気を完全に消していたからか少しづつ眠くなり、誰かが少し休もうと、言って、佐橋先生がブランケットを持ってきて…その後の記憶が無いので寝てしまったのだろう。
周りを見渡してみると疲れているのか、みんな深く眠りについていた。
俺はのっそりと起き上がり、なるべくみんなを起こさないように配慮して教室の扉をゆっくりと開けた。
扉は少し軋んだが、そこまで大きい音は出なかった。
すると、見えたのは目玉が二つーーー
俺はびっくりして反射的に構えてしまった。
そしてライトが俺の顔を照らした。
俺は眩しくて腕で顔を覆った。
「…あぁ、なんだ小畠くんか。」
男らしい、どっしりとした声が聞こえた。
逆光で姿は見えない…が、俺は正体がわかった。
「佐橋先生…?」
「あ、あぁ、そうだよ?」
「見ればわかるだろ?」と言わんばかりに、佐橋先生は素っ頓狂な声で言った。
「…あぁ!ごめん、眩しかったよね!」
と言い放ち、佐橋先生は手に持っていた懐中電灯の光を俺の顔から逸らした。
だんだん目が慣れてくると、やはりそこには佐橋先生の姿があった。
「先生、なんで…外に…?」
「松屋くんが本館の方に<奴ら>をおびき寄せたから、本館へ通じる扉を閉めたり、みんな寝ちゃったから…見張り番とかをしてたんだよ。」
「あ…!」
そういえば、忘れてた。
博がせっかく本館の二階の階段におびき寄せたのに光に反応をしてしまったらまたこっちに戻って来て、博の囮役が完全に無駄になってしまう…
たまたまこっちに戻ってくる<奴ら>もいるはずだ。
幸いにも、教室の電気をつけても本館の<奴ら>はこっちに来てないので、目がほとんど見えていないのはわかった。
「俺トイレ行くんで…その…それ終わったら見張り…変わりますよ?」
先生といえどやはりコミュ障なので吃る。恥ずかしい…
さっきまで普通に話せてたのは…多分、自分が主人公気分でいたからなのだろう。
「さっきまで寝てたから大丈夫。生徒の健康的に過ごさせるのも先生の仕事なんだから、早く寝なさい。」
「こんな先生もいるんだなぁ」と心の中で感心した。
「あ、ありがとうございます。」
俺はそう言ってトイレを済ませた。
俺がトイレに行っている間、入口で懐中電灯を照らしてくれたおかげである程度は見えた。
そして足早に教室に戻ろうとしたとき…
佐橋先生は小声で言った…
「小畠くん…見栄は…あまり貼ると損するよ??」
「えっ…」
ばれてる?ばれてるよね?
俺がモールス信号まったく知らないこと!
「いつから気づいてたんですか…」
「メモを取り始めたあたりからかな。普通、モールス信号に『いろはにほへと』は使わないよね…多分だけど橋本さんも気づいてるよ?」
「あっ…」
アホだ、俺は馬鹿だ。
なんで声を上げて「メモをとって!」なんて美結に言ったんだ…
俺は恥ずかしくなってそそくさと教室に戻り、ブランケットにくるまった。
そして別のことを考えようと努めた。
あの機械音は空耳だったのか、明日はどうするべきかーーー目を瞑りながら恥ずかしさを紛らわしているうちに、意識は闇に沈んで行った…
博の一件であまりぐっすりと眠れなかった。
あの交信のあと、電気を完全に消していたからか少しづつ眠くなり、誰かが少し休もうと、言って、佐橋先生がブランケットを持ってきて…その後の記憶が無いので寝てしまったのだろう。
周りを見渡してみると疲れているのか、みんな深く眠りについていた。
俺はのっそりと起き上がり、なるべくみんなを起こさないように配慮して教室の扉をゆっくりと開けた。
扉は少し軋んだが、そこまで大きい音は出なかった。
すると、見えたのは目玉が二つーーー
俺はびっくりして反射的に構えてしまった。
そしてライトが俺の顔を照らした。
俺は眩しくて腕で顔を覆った。
「…あぁ、なんだ小畠くんか。」
男らしい、どっしりとした声が聞こえた。
逆光で姿は見えない…が、俺は正体がわかった。
「佐橋先生…?」
「あ、あぁ、そうだよ?」
「見ればわかるだろ?」と言わんばかりに、佐橋先生は素っ頓狂な声で言った。
「…あぁ!ごめん、眩しかったよね!」
と言い放ち、佐橋先生は手に持っていた懐中電灯の光を俺の顔から逸らした。
だんだん目が慣れてくると、やはりそこには佐橋先生の姿があった。
「先生、なんで…外に…?」
「松屋くんが本館の方に<奴ら>をおびき寄せたから、本館へ通じる扉を閉めたり、みんな寝ちゃったから…見張り番とかをしてたんだよ。」
「あ…!」
そういえば、忘れてた。
博がせっかく本館の二階の階段におびき寄せたのに光に反応をしてしまったらまたこっちに戻って来て、博の囮役が完全に無駄になってしまう…
たまたまこっちに戻ってくる<奴ら>もいるはずだ。
幸いにも、教室の電気をつけても本館の<奴ら>はこっちに来てないので、目がほとんど見えていないのはわかった。
「俺トイレ行くんで…その…それ終わったら見張り…変わりますよ?」
先生といえどやはりコミュ障なので吃る。恥ずかしい…
さっきまで普通に話せてたのは…多分、自分が主人公気分でいたからなのだろう。
「さっきまで寝てたから大丈夫。生徒の健康的に過ごさせるのも先生の仕事なんだから、早く寝なさい。」
「こんな先生もいるんだなぁ」と心の中で感心した。
「あ、ありがとうございます。」
俺はそう言ってトイレを済ませた。
俺がトイレに行っている間、入口で懐中電灯を照らしてくれたおかげである程度は見えた。
そして足早に教室に戻ろうとしたとき…
佐橋先生は小声で言った…
「小畠くん…見栄は…あまり貼ると損するよ??」
「えっ…」
ばれてる?ばれてるよね?
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「メモを取り始めたあたりからかな。普通、モールス信号に『いろはにほへと』は使わないよね…多分だけど橋本さんも気づいてるよ?」
「あっ…」
アホだ、俺は馬鹿だ。
なんで声を上げて「メモをとって!」なんて美結に言ったんだ…
俺は恥ずかしくなってそそくさと教室に戻り、ブランケットにくるまった。
そして別のことを考えようと努めた。
あの機械音は空耳だったのか、明日はどうするべきかーーー目を瞑りながら恥ずかしさを紛らわしているうちに、意識は闇に沈んで行った…
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