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第1章 終わりの始まり
「信号」
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「皆!懐中電灯取ってきたよ!」
佐橋先生は山田くんにライトを手渡した。
山田くんは懐中電灯をつけたが…
「え…なにこれ…。こんなの僕に渡されてもどうすればいいか分からないよ?」
山田くんは困惑している。
「多分…モールス信号じゃないか?」
佐橋先生がそう言うと山田くんは俺の方を見た。
「小畠くん。出来る?」
全員の視線が俺に集まる。
「えっ…!?いや…まぁ、できるし…?」
俺は咄嗟に見栄を張ってしまった…
皆に注目されると緊張してあることないことを言う自分を殴りたくなった。
本当は俺も《S・O・S》くらいしかモールス信号は分からない。
まだ向こうはチカチカと俺らに向かって光を点滅させている。
だが、言ってしまった以上「できない」とは言えないので、仕方なく《SOS》と手で塞いだり離したりして、光の点滅で送ってみた。
すると、向こうは光らせるのをやめ、少しするとまた点滅し始めた。
「ねぇ、向こうはなんて伝えてるの?」
やばい、やばいやばい…嘘ついたのがバレる…!
俺は美結に更に嘘を重ねた。
「今、解読中だよ。…美結、メモを用意してくれ。」
「わ、わかった!」
美結は生徒手帳を取り出してメモ欄を開いた。
…相変わらず光は長く、時には短く点滅している。
俺はモールス信号は分からないんだって!
何か…相手に《光》で信号を伝える方法…他にないのか…?
いや、あるにはあるが…相手が気づいてくれるのだろうか…?
だが、やるしかない…!
でないと嘘をついたのがバレる!!
俺はすぐに光をを1~7回点滅させる作業をした。それを何回か繰り返した。
すると向こうはまた光を消した。
10秒くらいまったが、まだ光らない。
「え…これ…大丈夫なの…?」
山田くんは俺に疑いの目を向けた。
他のクラスメイトからの視線も痛い…
「大丈夫だ。問題ない。」
俺はPVに負けないほどの信憑性の薄い台詞を吐き捨て、窓のほうを見た。
暫くすると、またチカチカと点滅し始めた。
今度は短い点滅だ。
どうやら意図を汲み取ってくれたようだ。
「美優!『いろはにほへと』の歌を七音ずつ改行して書いて、今から言う数字をメモしてくれ!」
美結は近くの机にあった筆箱からボールペンを取り出し、急いでメモをとってくれた。
そして俺は暗号を読み取った。
「二六、三三、四一、七四、一一、一七、二七、一一…。」
美結は俺の言った数字を正確にメモした。
光が点滅し終わったので、俺はすぐに表を見た。
「ええと、つまり…《われら せいとかい》…?」
「「「「生徒会!?」」」」
一同は声を揃えて言った。
「まだ生き残っている人がいたのか…良かった…」
佐橋先生は胸を撫で下ろし、安堵した。
そして、俺は美結の書いた表を見ながら、光を点滅させた。
《いきのこり いくつ こちら こにん 》
また数十秒したあと、光が点滅したのを読み取った。
《しゅうろく》
多分、16人だろう。
「16人、まだ生きてる。」
「本当に!?良かった~…あ!ねぇ、せっかくだし松屋くんがそっちにいるかどうか聞かない~?いるかもよ?」
「それもそうだな!」
俺は橋山さんに意気揚々と返事をて、光を点滅させた。
《まつや ひろ いますか》
数十秒して、返事が返ってきたーーーが
「六七、七五…」
「…え?」
美結が声を上げて、力が抜けたように床にへたりこんだ。
俺は今送られてきた暗号を確認したが、それは…
《し す》
「死す…!?」
一瞬その場が凍りついた。
信じたくない。
間違いであって欲しい。
頭では何となく分かってはいた。
だが…それでもっ…!
俺は、抜けそうになった力を何とかこめて、窓の方を見た。
すると、また点滅し始めた。
「私が代わりに書こう。」
佐橋先生が美結の代わりに代筆してくれるようだ。
「四七、二六、六七…!」
《くわしいこと あした ひる はなす はしこ つかい したに おりて こい》
そしてそれ以降、光は途絶えたーーー。
佐橋先生は山田くんにライトを手渡した。
山田くんは懐中電灯をつけたが…
「え…なにこれ…。こんなの僕に渡されてもどうすればいいか分からないよ?」
山田くんは困惑している。
「多分…モールス信号じゃないか?」
佐橋先生がそう言うと山田くんは俺の方を見た。
「小畠くん。出来る?」
全員の視線が俺に集まる。
「えっ…!?いや…まぁ、できるし…?」
俺は咄嗟に見栄を張ってしまった…
皆に注目されると緊張してあることないことを言う自分を殴りたくなった。
本当は俺も《S・O・S》くらいしかモールス信号は分からない。
まだ向こうはチカチカと俺らに向かって光を点滅させている。
だが、言ってしまった以上「できない」とは言えないので、仕方なく《SOS》と手で塞いだり離したりして、光の点滅で送ってみた。
すると、向こうは光らせるのをやめ、少しするとまた点滅し始めた。
「ねぇ、向こうはなんて伝えてるの?」
やばい、やばいやばい…嘘ついたのがバレる…!
俺は美結に更に嘘を重ねた。
「今、解読中だよ。…美結、メモを用意してくれ。」
「わ、わかった!」
美結は生徒手帳を取り出してメモ欄を開いた。
…相変わらず光は長く、時には短く点滅している。
俺はモールス信号は分からないんだって!
何か…相手に《光》で信号を伝える方法…他にないのか…?
いや、あるにはあるが…相手が気づいてくれるのだろうか…?
だが、やるしかない…!
でないと嘘をついたのがバレる!!
俺はすぐに光をを1~7回点滅させる作業をした。それを何回か繰り返した。
すると向こうはまた光を消した。
10秒くらいまったが、まだ光らない。
「え…これ…大丈夫なの…?」
山田くんは俺に疑いの目を向けた。
他のクラスメイトからの視線も痛い…
「大丈夫だ。問題ない。」
俺はPVに負けないほどの信憑性の薄い台詞を吐き捨て、窓のほうを見た。
暫くすると、またチカチカと点滅し始めた。
今度は短い点滅だ。
どうやら意図を汲み取ってくれたようだ。
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美結は近くの机にあった筆箱からボールペンを取り出し、急いでメモをとってくれた。
そして俺は暗号を読み取った。
「二六、三三、四一、七四、一一、一七、二七、一一…。」
美結は俺の言った数字を正確にメモした。
光が点滅し終わったので、俺はすぐに表を見た。
「ええと、つまり…《われら せいとかい》…?」
「「「「生徒会!?」」」」
一同は声を揃えて言った。
「まだ生き残っている人がいたのか…良かった…」
佐橋先生は胸を撫で下ろし、安堵した。
そして、俺は美結の書いた表を見ながら、光を点滅させた。
《いきのこり いくつ こちら こにん 》
また数十秒したあと、光が点滅したのを読み取った。
《しゅうろく》
多分、16人だろう。
「16人、まだ生きてる。」
「本当に!?良かった~…あ!ねぇ、せっかくだし松屋くんがそっちにいるかどうか聞かない~?いるかもよ?」
「それもそうだな!」
俺は橋山さんに意気揚々と返事をて、光を点滅させた。
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「六七、七五…」
「…え?」
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俺は今送られてきた暗号を確認したが、それは…
《し す》
「死す…!?」
一瞬その場が凍りついた。
信じたくない。
間違いであって欲しい。
頭では何となく分かってはいた。
だが…それでもっ…!
俺は、抜けそうになった力を何とかこめて、窓の方を見た。
すると、また点滅し始めた。
「私が代わりに書こう。」
佐橋先生が美結の代わりに代筆してくれるようだ。
「四七、二六、六七…!」
《くわしいこと あした ひる はなす はしこ つかい したに おりて こい》
そしてそれ以降、光は途絶えたーーー。
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