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第1章 終わりの始まり
「感染爆発」
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屋上の扉を開けて周辺を見渡してみるとーー
目に映ったのは……悲惨な光景だった。
見えるのは美しい青空と美しい街並みーーではなく、見渡す限り何件もの家から出火しており、学校の近くのコンビニエンスストアには車が突っ込んでいる。
運動場を見ると門が完全に倒され、何人かが学校に入ってくるのが見えた。
その近くにはうつ伏せで倒れている人も見受けられる。
そしてその周りには、血が迸っている。
思っていた通り、危険な状態のようだ。
俺は、自然の大災害でも見ているような気持ちになった。
今までそこにあった『文明』が全て『食い止められない流れ』によって消え去ったような喪失感が俺を襲う。
ゲームの世界で起きていることが現実でも起きている...
そのせいか、少しは高揚感もあったのかもしれない。
だが、この光景をみてここがゲームではないと理解させられた。
俺だけでなく、先に到着してその光景を見ていた博も、ただ何も言えずに立ち尽くすことしか出来なかったのだった。
そんな時、美結の声ではっと我に返る。
「もう...…あんた達の運動神経っ!……どう!……なってんのよっ!」
扉の方を見ると、美結は扉の前で肩で息をしている
周りも冷静に見渡せれるほど余裕のないくらいゼェゼェ言っている。
……たった二階分の階段を駆け上がるだけで肩で息をするのもどうかと思うのだが。
足腰の弱いおばあちゃんみたいだ。
ただそんな美結に、生粋の陽キャである博も「また太ったんじゃないの?」と冗談を言う余裕もなかった。
すると突然、美結の後ろにいた女子が俺のように周辺を見渡したのだろうかーー
「な、なにこれ?なんかの撮影?」
「こんな大規模な撮影あるわけないだろ!?なんなのこれぇ!?」
その横で軽くパニックになっている男子が一人。
クラスが変わったばかりなので、二人とも名前が分からない……
「とりあえず、屋上の鍵を閉めてから話そう。」
この光景を見て心底戸惑ってはいるが、不思議と頭は冷静を保っていた。
俺はそう言って、屋上の鍵を閉めようとした瞬間ーー
校舎の中から叫び声が上がり、耳を劈く。
一瞬フリーズしたが、急いで鍵を閉める。
「な、なんなんだよぉ……?今の悲鳴……」
男子の方が声を震わせて言う。
美結のほうを再度見ると、少し息が整って落ち着いたのか呆然と辺りを見渡していた。
そして俺にこの異常な状況への八つ当たりをするかの如く、強い口調で言う。
「一体何が起こってるの!?ちゃんと説明して!!」
「あくまで推測だけど…ゾンビだ……!」
「はぁ!?ゾンビ?そんな非現実的なことあるわけ……」
その言葉を遮るように話を続ける。
「実際、今起きてることがゾンビゲーの感染爆発とほぼかんぜんに一致してるんだよ……!もしもそうじゃなかったら、この状況はどうやったら説明が付く?」
「ーーっ!確かにそうだけども...…本当にこんなことって有り得るの?」
「有り得ないことが起きてるから屋上に避難したんだよ!」
俺も少しストレスを感じたのか、強めに当たってしまった。
「はいは~い、ウチから質問なんだけどさ!なんで屋上に避難したの?普通避難するなら下いって外じゃない~?」
美結の後ろの女子が会話に割って入る。
喋り方にまったく危機感を感じないが、とりあえず無視した。
「えと……地震、津波とかだったら下に避難でいいかもしれないけど、建物の倒壊する危険はないし、怖いのはあくまで暴徒?ゾンビ?なんで、下に行くと余計危ないから…です?」
ああ、やっぱり……
初対面で喋るとラフに喋れない。
それに、変な喋り方になってしまった。
畜生、初会話でも気兼ねなく喋れるコミュ力ある奴が羨ましい...
「なるほどね~。確かにそうかも。やるねぇ、和尚くn」
「和尚じゃないです!小畠!翔生!です!」
まさか博以外にも和尚呼びをされるとは……
小学生時代に、変なあだ名つけられていじられて嫌な思いしたから、あんまあだ名つけて欲しくないんだけど……
「あはは、ごめんごめん。ウチさ、小畠クンの本名知らなかったんだ~(笑)」
彼女はヘラヘラと笑っている。
なるほど、その喋り方地味にムカつくがそういう名前の聞き方もあるのか、参考にしよう。
「そ~いえば、ウチの名前も多分知らないよね、じゃあ皆で自己紹介しよっか~。ウチは橋山 祐奈(はしやま ゆうな)だよ~。気軽にゆうなって呼んでいいよ~!それとこっちは……」
「山田 友也(やまだ ともや)です。よ、よろしく……」
「山田くん……もう落ち着いた……?」
「うん……ちょっとはね。小畠くん、ありがとう。でもそれが本当なら母さんとか大丈夫かなぁ…あぁ、早く家に帰りたいよぅ…」
その目からは少し涙が微塵でいる。
さぞ親を心配しているのだろう。
「俺は松屋 博だ、よろしく頼む。」
「唐田 美結です。よろしくお願いします。」
自己紹介も終わり、皆も少し落ち着いた頃。博がなにかを思い出したように「そういや!」と言って俺の方を見る。
「翔生!お前、携帯いつもポケットに入れてあるだろ!それ使って親に連絡すればーー!」
「残念、それは俺も考えた。でもゲームのし過ぎであいにく充電切れなんだ……。」
「まじか、せっかく校則違反してることが役に立つと思ったのになぁ。……ん?いま学校だよか?なんで電池きれてんだ?」
「テストの時に放置周回してました……。」
「アホか!」
博とのやりとりのおかげで少し張り詰めた空気が和らいだ気がした。
ーーしかし、それも束の間。
突然扉の方から突然、「バン!」と扉を叩く音がする……
目に映ったのは……悲惨な光景だった。
見えるのは美しい青空と美しい街並みーーではなく、見渡す限り何件もの家から出火しており、学校の近くのコンビニエンスストアには車が突っ込んでいる。
運動場を見ると門が完全に倒され、何人かが学校に入ってくるのが見えた。
その近くにはうつ伏せで倒れている人も見受けられる。
そしてその周りには、血が迸っている。
思っていた通り、危険な状態のようだ。
俺は、自然の大災害でも見ているような気持ちになった。
今までそこにあった『文明』が全て『食い止められない流れ』によって消え去ったような喪失感が俺を襲う。
ゲームの世界で起きていることが現実でも起きている...
そのせいか、少しは高揚感もあったのかもしれない。
だが、この光景をみてここがゲームではないと理解させられた。
俺だけでなく、先に到着してその光景を見ていた博も、ただ何も言えずに立ち尽くすことしか出来なかったのだった。
そんな時、美結の声ではっと我に返る。
「もう...…あんた達の運動神経っ!……どう!……なってんのよっ!」
扉の方を見ると、美結は扉の前で肩で息をしている
周りも冷静に見渡せれるほど余裕のないくらいゼェゼェ言っている。
……たった二階分の階段を駆け上がるだけで肩で息をするのもどうかと思うのだが。
足腰の弱いおばあちゃんみたいだ。
ただそんな美結に、生粋の陽キャである博も「また太ったんじゃないの?」と冗談を言う余裕もなかった。
すると突然、美結の後ろにいた女子が俺のように周辺を見渡したのだろうかーー
「な、なにこれ?なんかの撮影?」
「こんな大規模な撮影あるわけないだろ!?なんなのこれぇ!?」
その横で軽くパニックになっている男子が一人。
クラスが変わったばかりなので、二人とも名前が分からない……
「とりあえず、屋上の鍵を閉めてから話そう。」
この光景を見て心底戸惑ってはいるが、不思議と頭は冷静を保っていた。
俺はそう言って、屋上の鍵を閉めようとした瞬間ーー
校舎の中から叫び声が上がり、耳を劈く。
一瞬フリーズしたが、急いで鍵を閉める。
「な、なんなんだよぉ……?今の悲鳴……」
男子の方が声を震わせて言う。
美結のほうを再度見ると、少し息が整って落ち着いたのか呆然と辺りを見渡していた。
そして俺にこの異常な状況への八つ当たりをするかの如く、強い口調で言う。
「一体何が起こってるの!?ちゃんと説明して!!」
「あくまで推測だけど…ゾンビだ……!」
「はぁ!?ゾンビ?そんな非現実的なことあるわけ……」
その言葉を遮るように話を続ける。
「実際、今起きてることがゾンビゲーの感染爆発とほぼかんぜんに一致してるんだよ……!もしもそうじゃなかったら、この状況はどうやったら説明が付く?」
「ーーっ!確かにそうだけども...…本当にこんなことって有り得るの?」
「有り得ないことが起きてるから屋上に避難したんだよ!」
俺も少しストレスを感じたのか、強めに当たってしまった。
「はいは~い、ウチから質問なんだけどさ!なんで屋上に避難したの?普通避難するなら下いって外じゃない~?」
美結の後ろの女子が会話に割って入る。
喋り方にまったく危機感を感じないが、とりあえず無視した。
「えと……地震、津波とかだったら下に避難でいいかもしれないけど、建物の倒壊する危険はないし、怖いのはあくまで暴徒?ゾンビ?なんで、下に行くと余計危ないから…です?」
ああ、やっぱり……
初対面で喋るとラフに喋れない。
それに、変な喋り方になってしまった。
畜生、初会話でも気兼ねなく喋れるコミュ力ある奴が羨ましい...
「なるほどね~。確かにそうかも。やるねぇ、和尚くn」
「和尚じゃないです!小畠!翔生!です!」
まさか博以外にも和尚呼びをされるとは……
小学生時代に、変なあだ名つけられていじられて嫌な思いしたから、あんまあだ名つけて欲しくないんだけど……
「あはは、ごめんごめん。ウチさ、小畠クンの本名知らなかったんだ~(笑)」
彼女はヘラヘラと笑っている。
なるほど、その喋り方地味にムカつくがそういう名前の聞き方もあるのか、参考にしよう。
「そ~いえば、ウチの名前も多分知らないよね、じゃあ皆で自己紹介しよっか~。ウチは橋山 祐奈(はしやま ゆうな)だよ~。気軽にゆうなって呼んでいいよ~!それとこっちは……」
「山田 友也(やまだ ともや)です。よ、よろしく……」
「山田くん……もう落ち着いた……?」
「うん……ちょっとはね。小畠くん、ありがとう。でもそれが本当なら母さんとか大丈夫かなぁ…あぁ、早く家に帰りたいよぅ…」
その目からは少し涙が微塵でいる。
さぞ親を心配しているのだろう。
「俺は松屋 博だ、よろしく頼む。」
「唐田 美結です。よろしくお願いします。」
自己紹介も終わり、皆も少し落ち着いた頃。博がなにかを思い出したように「そういや!」と言って俺の方を見る。
「翔生!お前、携帯いつもポケットに入れてあるだろ!それ使って親に連絡すればーー!」
「残念、それは俺も考えた。でもゲームのし過ぎであいにく充電切れなんだ……。」
「まじか、せっかく校則違反してることが役に立つと思ったのになぁ。……ん?いま学校だよか?なんで電池きれてんだ?」
「テストの時に放置周回してました……。」
「アホか!」
博とのやりとりのおかげで少し張り詰めた空気が和らいだ気がした。
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突然扉の方から突然、「バン!」と扉を叩く音がする……
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