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1 女装メイド
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三日月が浮かぶ夜更け。キャンドルを片手に、1人のメイドがお屋敷の廊下を歩いていた。
「うぅ、寒っ!・・・ったく変態伯爵め」
メイドは身体を震わせ、誰にも聞こえないように、文句を口にする。
屋敷の主人であるカミンズ伯爵から支給されたメイド服は、やけに短い丈のスカートに、くるぶし丈の白い靴下、ストラップ付きのパンプスだった。露出の多い下半身には、真冬の寒さが応える。
「女性は大変だな・・・パンツ履いても、太ももが剥き出しじゃあ寒いだろうに」
その声は、女性のものではなかった。というのも、彼はカミンズ伯爵家の財宝を目当てで忍び込んだ、怪盗であったからだ。
念のためスカートの下も女性物のパンティを履いているが、その通気性の良さに戸惑っていた。
ドンドンドンッ。
廊下の突き当たりにある玄関を誰かが叩く音がする。
こんな夜更けに誰だよ。今からせっかく財宝のありかを探ろうとしていたのに。
不満に思いながらも、怪盗はメイドの振りを続けた。
「どちら様ですか?」
そっと、玄関の扉を開け、女性の声を出す。目の前にいたのは、普段から怪盗の担当をしている香坂刑事と、その部下の安田涼巡査と柊美侑巡査だった。
ゲッ、と思いながらも、怪盗は必死でポーカーフェイスをする。
「夜分遅くにすみません。私、県警の香坂という者です。今しがた、怪盗がカミンズ伯爵の財宝を狙っているという情報が入りましたので伺いました。カミンズ伯爵はご在宅ですか?」
香坂刑事は、警察手帳を見せながら言う。
「え、えぇ。すぐにお呼びしますわ。少々お待ちくださいませ」
怪盗メイドは、お辞儀をして室内に下がる。
柊巡査が、
「スカート短っ」
と安田巡査に向けて囁く。
「伯爵の趣味っスかね?羨ましいなー」
と安田巡査は呟いた。
香坂刑事が目視で嗜めると、2人は不服そうに肩をすぼめた。
「うぅ、寒っ!・・・ったく変態伯爵め」
メイドは身体を震わせ、誰にも聞こえないように、文句を口にする。
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「女性は大変だな・・・パンツ履いても、太ももが剥き出しじゃあ寒いだろうに」
その声は、女性のものではなかった。というのも、彼はカミンズ伯爵家の財宝を目当てで忍び込んだ、怪盗であったからだ。
念のためスカートの下も女性物のパンティを履いているが、その通気性の良さに戸惑っていた。
ドンドンドンッ。
廊下の突き当たりにある玄関を誰かが叩く音がする。
こんな夜更けに誰だよ。今からせっかく財宝のありかを探ろうとしていたのに。
不満に思いながらも、怪盗はメイドの振りを続けた。
「どちら様ですか?」
そっと、玄関の扉を開け、女性の声を出す。目の前にいたのは、普段から怪盗の担当をしている香坂刑事と、その部下の安田涼巡査と柊美侑巡査だった。
ゲッ、と思いながらも、怪盗は必死でポーカーフェイスをする。
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と安田巡査に向けて囁く。
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