刑事×怪盗はハコの中

カルキ酸

文字の大きさ
上 下
2 / 5

発情

しおりを挟む
「ずっと、勃ってるんです」

 股間をマントで隠しながら座り込む怪盗を目前に、刑事は頭が真っ白になった。ただでさえ、男同士でセックスしなければ出られないという、訳の分からない部屋に監禁された挙句、相手は既に興奮状態だなんて。

「ふ、ふざけんな」
 刑事は深呼吸はしながら、パイプ椅子に座る。
「自分で抜けば良いだろ」
肘をつき、組んだ手の上に額を置く。素顔も知らない怪盗なんかと、性行為が出来るわけない。怒りのせいか、頰が火照る。

「実は、刑事が起きる前に、一度出したんですが、ダメで」
 怪盗は、息を荒くしながら、こっそり自分の股間をスラックスの上からなぞった。膨張したものが生地を引っ張り、テントのようになっていた。圧迫された先端が擦れて少し痛む。

「お前・・・男と出来るのか?」
顔を上げずに、刑事が静かに問う。

 怪盗は、ゴクリと生唾を飲み込み、覚悟を決めて口を開いた。
「えぇ、今なら、出来ると思います」
怪盗は、自分のそれにドクドクと血液が流れるのを感じた。より熱くなり、ジワリと下着が湿る。
 仕方ないからする、というより、むしろ・・・・・・。

 ダァンッ!!
 不意に、刑事は机を強く叩いた。怪盗は、ビクッとして目を丸くする。

「こんなの、間違ってるだろ」
震える声で、刑事は机に伏せる。呼吸が乱れ、肩が上下していた。
 そんな彼の、耳まで真っ赤にしているのが見えた怪盗は、ニヤリとして立ち上がった。

「刑事も、効いてきましたか?」
 怪盗は、刑事の背後から近づき、そっと耳元で囁く。
「うわっ、何をっ!」
驚いた刑事は、咄嗟に身体を捩って逃げ、パイプ椅子から転げ落ちた。尻餅をついた際、大きく開脚した刑事を、怪盗は満足そうに見下ろす。

「このままだと、お互い辛いですし、しませんか?私が女役引き受けますから」
刑事の両肩を掴んだ怪盗は、そのままゆっくり押し倒しながら、彼の耳を喰んだ。
 左耳に走った、くすぐったいような快感に、刑事は身体を硬くした。
 怪盗は、自らの下腹部を、刑事の下腹部に擦り付けながら、体重を掛けていく。同時に、ワザと丁寧に耳を舐めたり、音を立てて口付けをしたりする。

 刑事は、胸が締め付けられるような感覚に襲われながらも、
「やめろっ!」
と顔を背けた。

「本当に、やめて欲しいですか?」
両手で刑事の頰を包みながら、自分の方に顔を向けさせる。

 怪盗の幼さが残る端整な顔と、刑事の太眉と大きなつり目のハッキリした顔が対面する。あと20cm近付けば、唇が触れる距離に刑事は困惑するも、目が離せなくなっていた。

 半分目を閉じながら、怪盗は更に顔を近付けていく。
 ここまでか。刑事は覚悟して、ぎゅっと目を閉じ、口を一文字に結んだ。

 唇に柔らかいものが押し当てられる。怪盗は、そのまま刑事の顎を親指で押さえ、無理やりに口を開けると、舌をねじ込んだ。

「んんっ!」

 刑事は抵抗して、怪盗の肩を掴むが、引き剥がせずに、しばらくは口腔内を掻き乱されていた。


 ようやく唇を離れると、刑事は、水面にやっと顔を出したときのような声を上げて呼吸を再開した。糸を引く唾液を、手の甲で拭う。

 睨むように、けれど熱っぽい視線で見上げる刑事に、怪盗は、ニヤつきながら
「刑事って、童貞でしょ」
と言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

笑って誤魔化してるうちに溜め込んでしまう人

こじらせた処女
BL
颯(はやて)(27)×榊(さかき)(24) おねしょが治らない榊の余裕が無くなっていく話。

風邪ひいた社会人がおねしょする話

こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。 一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?

処理中です...