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閉店後に会いましょう
しおりを挟む薄暗い中で佑は目覚めた。頬に毛布の柔らかさを感じる。
しまった!勤務中!
慌てて上半身を飛び起こす。
辺りを見渡す。見慣れた本番室の中だった。
お風呂で承和さんとシて、そのまま疲れて眠ってしまったのか。よく覚えていない。
そして、承和さんは。もう帰ってしまったのか。
毛布を払い、ベッドからおりる。何も身につけていない肌に寒さを感じた。
「やあ。起きたのかい」
洗面所の方から、ワイシャツのカフスボタンを留めながら承和さんが歩いてきた。
「すみません、承和さん。僕・・・」
目線を落とす佑に、承和さんは首を振った。
「こちらこそ無理をさせたね。身体は大丈夫?」
承和さんは、そっと佑の肩に手を置いた。いつもの優しい目が佑を見つめる。
「は、はい。大丈夫・・・です」
淡く頬を染めながら佑は目を泳がせた。
「・・・それより、もう時間が」
ベッドの側にある時計を見ながら佑は言う。コースの時間はとっくに過ぎていた。そして、閉店時間の朝5時10分前だった。
「あぁ。時間ね」
同じく時計を見ながら承和さんは言う。
「佑くんを放っておけなくて、延長したんだ」
スーツの上着を羽織りながら、承和さんは言う。
「延長料金を頂いたのに・・・!」
眠っていただけなんて、申し訳ない。佑は言葉に詰まった。
佑の気持ちを察したのか、承和さんはニコリと笑顔を作り直した。
「それじゃあ、次回会った時に、たっぷりサービスしてもらおうかな?」
承和さんは佑の頭を撫でた。
「またね」
囁くように言うと、承和さんは部屋から出て行った。
佑は、しばらくの間、呆然と立ち尽くしていた。
**********
「お疲れ様でしたー」
タイムカードを切って店を出る。暗い路地裏を小走りで抜ける。
肛門にはまだ違和感がある。まだ承和さんと繋がっているみたいだ。スキニージーンズで押さえられた股が熱い。家に着いたらまた承和さんを想いながら慰める必要がありそうだった。
「佑くん」
聞き覚えのある声にドキリとして立ち止まる。
空耳?幻聴?
こんなところに承和さんが居るわけ・・・
「佑くんってば」
そっと振り返ると、道の隅で佇む承和さんの姿があった。
目が合って、承和さんは小さく手を振った。
「・・・どうして」
長年会えなかった人に会えたように胸が高鳴る。さっきまで見ていた顔なのに、凄く綺麗に見える。
「やっぱり心配になって・・・」
バツの悪そうに承和さんは目を逸らした。
「いや、本当は、凄く会いたくなって・・・さっき別れたばかりなのに、変だろ?」
承和さんは自嘲するような薄笑いをした。
「・・・わっ」
佑は考えるより先に、承和さんに抱きついていた。
承和さんは戸惑ったようにしていたが、やがてそっと佑を抱きしめ返した。
「僕も、承和さんに会いたいって思ってたんです」
佑は抱きついた腕に力を込めた。今が一番幸せかもしれない。本気でそう思えた。
***********
「それで?今からどうしたい?」
ハンドルを握りながら、承和さんは尋ねた。
駐車場を出ると、朝陽が眩しくて佑は目を細めた。
「・・・承和さんの家」
「え」
「承和さんの家に、行ってみたいな」
「・・・佑くんって、大胆だよね」
ウインカーの音がカッチ、カッチと鳴る。大通りに入るため、2人を乗せた車は右折した。
「・・・駄目、ですよね」
佑は小さくため息をついた。
「・・・いいよ」
正面を向いたまま、承和さんは言う。
「え。・・・やった」
佑は自分の前にかかったシートベルトを握りしめた。
「何もない部屋だけどね」
照れ隠しのように承和さんは言って、アクセルを強く踏んだ。
************
承和さんの部屋は、綺麗なマンションの8階にあった。シンプルな家具が置いてあるだけの、片付いた部屋だった。
リビングで、ソファに座った佑は落ち着きなく、辺りをキョロキョロとしていた。
「落ち着きなよ佑くん。・・・すぐには襲わないよ」
コーヒーを出しながら承和さんは冷静に言った。
「・・・ありがとうございます」
佑は出されたコーヒーに少し口つけた。
本当は今すぐにでも押し倒し、あるいは押し倒されたかった。じわりと尿意も感じ、性器を触りたい欲求を必死に抑えた。
「コーヒーに、利尿剤を入れたって言ったらどうする?」
ニヤリとしながら承和さんは言い、自らもコーヒーを飲んだ。
「喜んで飲み干しますよ」
佑は目を輝かせながら答えた。意識すると、より尿意が強まってきた。下腹部を押せば、通常の1回分のおしっこは出せそうだ。
「フフ、佑くんが癖がある子で良かった。・・・でも安心して。利尿剤は入ってないよ。もう店でも散々飲んでるだろ。身体に悪いからね」
承和さんは更にコーヒーを飲んだ。
「・・・承和さんは、いつからオシッコ好きなんですか?」
佑は、承和さんをじっと見つめながら尋ねた。
「・・・うーん、そうだなぁ。いつからか厳密には分からないけれど、小学生の頃から友人が立ちションするのを見たい、とかは思ってたかな」
承和さんが真顔で性癖を語るのが可笑しくて、佑は少し笑った。
「そういう佑くんは?なんで好きなの?」
足を組み替えながら承和さんは言う。
「僕は・・・小学6年?の時だったかな。クラスメイトがチンチン触ったら気持ち良いぜっていうのを聞いて、トイレでやってみて・・・」
佑は太腿を擦り合わせてモジモジとさせた。
「初めてだから、その、勃起しても全然出なかったんですけど、長時間がんばって、諦めてオシッコしたら尿道?が痛気持ちいい気がして・・・たぶんそれからです」
佑は目線を落とした。股間は少しテントを張っていて、圧迫感があった。
「あー、分かる。オナニー後におしっこしたら痛いよね」
コーヒーを飲み干した承和さんはカップを机に置いて、祈るように口元で指を組んだ。
「・・・承和さんもやっぱ、オナニーするんですね」
佑はコーヒーカップを両手でしっかり包んだ。ほどよく冷めたコーヒーが温かい。
「見てみたいな」
独り言のように呟く。
「・・・うーん」
承和さんは照れたように目を逸らしながら首をかいた。
「・・・じゃあ、見せ合いっこなら、良いかな」
承和さんはソワソワしたように足を組み直した。
「承和さん可愛いこと言いますね」
佑は飲みかけのカップを机に置いた。
「・・・いつでも、お見せしますよ」
ベルトのバックルに手を伸ばし、佑は見せつけるように股を開いた。
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